Functional Somatic Syndrome,機能性身体症候群(FSS)

線維性筋痛症、慢性疲労症候群、顎関節症、低髄液圧症、化学物質過敏症など、マスコミが医者の不勉強のせいで誤診が・・・と騒ぐ病名である。こういった疾患は、FSS(機能性身体症候群)との合併あるいはFSSの部分症状である場合がある。
テレビ番組などでよく、30軒~100軒めの病院でやっと正確な診断されたなどと主張する事例では、“重症疾患やイメージ化された病態”を要求するFSSの特性が観察される。だが、係わった医療機関・医師はメディアでは患者の都合の良い病名をつけた病院以外はやぶ医者およびやぶ病院扱い

FSS患者そのものを仮病扱いしてはまずいので、腫れ物扱いにせざる得ない医師や医療関係者、そういうことでさらにFSSの病態の固定化がはじまる

・・・さらにやっかいなのは、メディアの存在
メディアが関与し、集団的疾病利得が出現、科学的信憑性の検討がないまま、疾患概念が暴走し、専門家を無視して元々知ろうと集団である行政を動かし、司法判断まで影響を与えてしまうことがある・・・こうなると社会現象でもある。

FSS(Functional Somatic Syndrome,機能性身体症候群)についてのレビューがLancetに掲載された:
The Lancet Volume 369, Number 9565, 17 March 2007
疾患概念としては・・・

FSSは適切な検査でも構造的、特異的病理で充分説明できない身体的訴えが持続するのが特徴


過敏性腸症候群、線維筋痛、慢性疲労症候群、NUD、緊張性頭痛、非特異的胸痛、慢性骨盤痛、閉経後症候群、顎関節症、慢性背部痛などとFSSはオーバーラップしたものであるが、治療研究では単独症候群に限定しており、信頼性のある一般的に受容されている診断クライテリアがないのである。

2001年からのFSSのレビューを試み、合併症のないFSSと合併症のあるFSSの分離する段階的ケアアプローチを推奨している。

非薬物治療は運動・心理療法などであり、注射・手術を含む、受動的身体測定を含むものより有効に見える。

CNS活動への薬物治療は末梢的な心理機能障害の改善をねらう薬剤より有効であるようである。

生化学、向臓器的、認知的個別アプローチのバランスがこの真の心理身体的インターフェースに対するもっとも適切な方法であろう


FSS維持に関する医原的要素に関して、医師中心の介入、医師患者関係の密接な観察が特に重要である。




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Functional Somatic Syndrome,機能性身体症候群の推奨マネージメント

<評価>
・身体症状を伴う患者ではFSSの可能性を考える;仮病と同等に扱わない
・現在の疾患で説明できない訴えや自分の専門外の訴えを超えた、身体・情緒的苦悩を示唆する患者の手がかりに注意を払うこと
・機能、患者の期待、疾患行動を評価すること
・患者や自分を慰めるだけの繰り返しの検査はさけること
・合併症のないsingle FSS単独と合併症有りのcomplicated FSSを区別
single FSSを超えた身体・精神症状があるかどうか?
機能障害が過剰でないか?
疾病利得や疾患行動がないか?



<Differential stepped care>
Step 1a: 合併症無しの FSS
・FSSをポジティブに説明して安心感を与える;テスト結果異常なしと言うのみではいけない
・疼痛改善のような症状測定
・より程度の高い活動性亢進をアドバイスする。安静より運動を勧める


Step 1b: complicated FSS

・現行症状でstep 1aの測定を行う
・抗うつ治療を考慮
・機能障害要因や病的行動についてアドバイスし、科学心理社会的フレームワーク内での症状の再構築を勧める(例えば、患者の信じている臓器症状と心理的・状況要因がある程度影響を与えているということを結合するやり方など)
・適切であれば、患者の自発的診療でなく、定期的なアポイントをとること


Step 2: step 1aやstep 1bで十分でない場合

・再アポイントをとって、心理治療者や精神疾患スペシャリストの紹介を準備すること
・外傷性ストレッサー、訴訟問題などの背景因子の持続などを確認すること
・患者の自発的診療でなく、定期的なアポイントをとること(この場合は適切有無関係なく)
・さらなる治療計画や問題点について心理治療師や精神医学専門かと連絡をとること



Step 3: step 2でさらに不十分で、あなたの国で適切なら
・自覚症状測定、活動心理治療、精神治療を含む多職種的治療


Panel 3: FSS管理の研究に関わる問題
・医療専門家の間で、診断クライテリアや医療について、信頼性と一般的に受け入れられること
・研究されてない症候群への良好な質のエビデンスを広げること
・エビデンスに基づく医者中心の、そして、背景中心の介入を広げること
・トライアルデザインでは、オーバーラップケースと心理行動的特性を系統的に考慮すること(治療の特異的注目点以外の効果の検討を含める)
・明確なアウトカムクライテリアを決定する(症状なのか、機能なのか)
・プラセボ反応の因子の影響を調査する
・症候特異的クリニックと専門化されたコンサルテーション相談クリニックのFSS全般治療で効果に違いがあるか(症状対処が得意なクリニックか、FSSという病気が得意なクリニックかという問題?)
・一次医療か二次医療での治療効果の違いがあるかどうか




気に入った疾患を求めてFSS患者が無駄な検査医療機関受診をくりかえさないように、この疾患の勉強は全分野医師にとって重要と思う。

by internalmedicine | 2007-03-17 09:37 | 医療一般  

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