長生きのためには食うな!

寿命を延ばすには食べず・動かずというのがやっぱり正しいのか?


マウスなどで、栄養学的に完全なカロリーを少なくした場合に30-50%ほど長生きをするということが1930年代から知られているそうである。
ただ、カロリー制限が寿命延長につながるかという疑問には答えられてないとのこと。
加齢とともにミトコンドリア数の減少、フリーラジカル総量増加という事実がある。これと癌や動脈硬化などの加齢疾患を結びつける仮説全盛である。

カロリー制限がミトコンドリアの数を増加させ、フリーラジカル減少をもたらすというシンプルな結論が導かれている。・・・・やっぱり、寿命を延ばすには栄養素を最小限にしてカロリー制限、そして、あんまり動き回らないことがよい?

でも、・・・あんまり楽しみもないかも

Calorie Restriction Increases Muscle Mitochondrial Biogenesis in Healthy
Humans
PLoS Medicine www.plosmedicine.org March 2007 Volume 4 Issue 3 e76
p485-494

Anthony E. Civitareseらは、36名の過体重(平均BMI 27.8)平均年齢36.8歳のヒトを対象に、3群に分けて6ヶ月介入を行った

対照: エネルギー要求量100%
CR: 25%のカロリー制限
CREX:12.5%のカロリー制限+12.5%のネルギー代謝増加
対照群では、24時間エネルギー代謝は変化なし、CR、CREXは有意にエネルギー代謝総量の減少がみられた(CR -135 ± 42 kcal/d, p = 0.002 、 CREX -117 ± 52 kcal/d, p = 0.008)

いずれも適切な栄養素は含むものとした。

6ヶ月後、カロリー制限群は筋肉内のミトコンドリア数が20-35%増加し、DNA損傷が60%減少した。ミトコンドリアはこのように若返り、効率を回復したようである。


CR、CREX群はPPARGC1A、TFAM、eNOS、SIRT1、PARLといったミトコンドリア機能に関する遺伝子encoding蛋白の発現が増加した。(all, p < 0.05)

ミトコンドリア機能に関係するいくつかの遺伝子がみつかっているが、その一つがSIRT1で、動物のカロリー制限群で意味づけされたものである。

ミトコンドリアDNA増量はCRで35%±5% (p = 0.005)増加し、CREX群では21%±4%増加した (p < 0.004)。しかし、対照群では変化なし。

TCAサイクル、β酸化、電子伝達鎖(cytochrome C oxidase II)に関するミトコンドリア酵素の活動性は不変。

DNA損傷はCR (-0.56 ± 0.11 arbitrary units, p = 0.003) 、CREXともに減少 (-0.45 ± 0.12 arbitrary units, p = 0.011)。対照では変化なし。

筋管細胞 (myotube) の培養において、一酸化窒素(NO)供給体(eNOSシグナル類似)はミトコンドリアの生合成を誘導するが、SIRT1蛋白発現を誘導せず、このことはカロリー制限群のSIRT1含量を調整するなにか別にある可能性を示唆する。




カロリー制限はSIRT1発現を介して寿命延長と関連する
Calorie Restriction Promotes Mammalian Cell Survival by Inducing the SIRT1 Deacetylase
Science 305 (5682): 390-392

SIRT1を長寿遺伝子などとラベリングするむきがあるようだが、HDL=善玉コレステロールってのもHDL3などの問題もあり、非科学性が入り込む可能性がある・・・こういうラベリングはやめてほしいものだ・・・

by internalmedicine | 2007-04-06 18:03 | 動脈硬化/循環器  

<< 女性専用心血管疾患(CVD)予... 細胞はHIF-1はによるトクロ... >>