アクトスなどのチアゾリジン系薬剤はほんとに大丈夫か?:心筋梗塞・心血管疾患

エディトリアル(Editorial: Rosiglitazone and Cardiovascular Risk)にも、この研究の限界がかかれている。すなわち、製薬会社からの得られるデータというのが限られているため、ややまどろっこしい手段で入手しているからである。
逆に製薬会社リードでないので変なバイアスがかかってない可能性もあるが・・・

そういうことを斟酌して論文をみてみるべきだろう

Effect of Rosiglitazone on the Risk of Myocardial Infarction and Death from Cardiovascular Causes
www.nejm.org May 21, 2007 (10.1056/NEJMoa072761)
公表文献、FDAウェブサイト、臨床トライアルの検討
メタアナリシス:24週超研究機関の研究で、rosiglitazone処方されてない対照群、心筋梗塞や新血管死亡のアウトカムデータ利用
110の研究のうち、クライテリア合致した42トライアル

fixed-effects modelによりデータ結合
42トライアルのうち、平均年齢は56歳で、HbA1d値は約8.2%
rosiglitazone群では、心筋梗塞オッズ比は1.43(95%CI 1.30-1.98 P=0.03)
心血管疾患原因による死亡オッズ比は1.64 (95% CI, 0.98 to 2.74; P=0.06)


Rosiglitazoneは有意に心筋梗塞増加と関連、心血管原因による死亡リスクの増加は境界的に有意であった。
この研究はオリジナルデータ情報源にアクセス困難という限界があった。
限界にかかわらず、2型糖尿病患者にrosiglitazoneを利用するとき、患者や医療提供側は心血管への重篤な悪影響を考慮すべきである。



Thiazolidinedione使用は2型糖尿病患者の血糖値減少のため広く用いられている。
USでは3種類であり、troglitazoneは肝障害故にマーケットから撤退され、結局2種類であり、rosiglitazone (Avandia, GlaxoSmithKline) と pioglitazone (Actos, Takeda)である。
この主の薬剤はPPAR( peroxisome-proliferator–activated receptor )γのアゴニストで、末梢組織のインスリン感受性増加を主とする核転写因子を活性化するリガンド

当初この薬剤はパワー検出不能でかつ心血管疾患への副作用などで出直しを要求されていた。しかし、抗糖尿病作用による心血管疾患アウトカムへの影響は、心血管疾患による死亡が65%を超える2型糖尿病にとってきわめて重要ということでいったいどうなのかが現在も取りざたされているわけなのである。


Ref)
内科開業医のお勉強日記 : アクトスは骨折リスク増加(FDA安全性情報)
糖尿病第一選択薬物療法はどれか?

医者たちは、製薬会社からのパンフレットや学会での偉い先生たちの意見に左右されることなく、情報源吟味により客観的に、薬剤選択を考えてみるべきだと思う・・・

by internalmedicine | 2007-05-22 07:28 | 動脈硬化/循環器  

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