ハリーポッターの頭痛

Dr. Fred Sheftell と  Dr. Timothy Steinerの共著とのこと

“Harry Potter”の作品で描かれている頭痛シーンの検討

Harry Potter and the Curse of Headache
The Journal of Head and Face Pain, Volume 47, Number 6, June 2007 , pp. 911-916(6)

偏頭痛は子供や思春期でコモンな疾患である。若い男の子の魔法使いでも偏頭痛により行動制限を受ける。
JK RowlingのシナリオにあるHarry Potterの偏頭痛を記載したもの
さらに、それを分類している。
残念なことに、著者らを含め我々は、頭痛の分類の魔法界に詳しくなく、ICHD-II(International Classification of Headache Disorders, 2nd edition)
というMuggle(魔法を使えないものたち=普通の人間)を適用した。

Harryの頭痛は再発性であり、基本てきなstereotypeに準じており、場所も一定だが、6年の間に進行傾向を示すものであった。成長とともに、症状の範囲が多彩になっている。

通常あり得ない特徴もあるが、偏頭痛のICHD-IIクライテリアに一つをのぞいてすべて合致しており、“1.6 Probable migraine”と判断している。


地球上の子供や大人の頭痛へのインパクトへの反映としてHarryの苦悩が描かれている。成人の50%が頭痛で悩み、子供たちも同様であり、7-15歳で頭痛50%、片頭痛が10名に1人存在する。頭痛の影響は大で、学校での学習や注意力、出席数まで影響を与える。
先進国では100万人あたり就学日数や勤務日数40万もの損失が存在する。

Steiner博士は、「ハリーは完全に何もできない状態の激しい頭痛を経験している。Voldemort卿は常に近くにおり、頭痛により何もできない状態はHarryにとって非常に危険なであった。発作の明らかな重症さに関わらずCornelius Fudge (魔法省大臣)はハリーの状態を認識せず、静かにHarryga頭痛に悩んでいたことは明らかである。頭痛により日常生活に支障をきたす状態は、一度経験すれば、理解されるものであろう。」と述べている。

Harryの状況は全世界の問題の反映であり、頭痛はリアルに、生涯人々の能力低下をもたらせ、消耗させる。世の中には認識されず、治療されず、増悪し、治療法があらぬ方向にすすむ人々が数百万いる。有効な治療法は存在するのに、必要な人たちに到達しない。
頭痛持ちの人々をかさ上げをする必要性を説いている。

・・・そういう面でHarry Potterを利用しているのだろう




ICHD-II ( pdf )

by internalmedicine | 2007-08-07 14:41 | 内科全般  

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