熱波と入院増加パターン

熱波に関しては、蒸し暑い期間が長く続くことが問題で、その指標に応じた一般住民への警告が必要である。日本ではその指標は十分なのか?

気温、湿度にかかわる気象用語として身体にかかわる指標は実は少ない。不快指数でさえ、“不快指数だけでは必ずしも体感とは一致しないと言われています。気象庁の統計種目にはなっていません”と意味のなさを認めているのである。

温暖化による身体への問題に対して、気象庁はまともに動いているのか?また、気象庁を動かすように医学関係者が動いているのか?・・・疑問をもってしまう。

熱波が毎年のように出現しているわけで、警告やそのときタイムリーに対処法を広報することで犠牲者やそれにかかわるコストを若干でも軽減できると思うのだが・・



Pattern and determinants of hospitalization during heat waves: an ecologic study
BMC Public Health 2007, 7:200 doi:10.1186/1471-2458-7-200
熱波中の死亡率に関して無数の研究がされているが、定量化されたものは少ない。
夏季の病院入院と熱波の強度、期間、タイミングとを調査したもの

イタリアのVeneto Regionで4,577,408名の住人、2003年1月1日から調査開始し、約2000ベッド・60の急性期病院を調査
2002-2003年夏、連続熱波(Humidex40超3日以上と定義)5回出現
  
Fumidex Chart: 計算表
参考URL
)
露点(DewPoint :計算)




熱波期間は、その熱波期間後、心臓疾患16%(p<.0001)、腎疾患入院増加5%(p<.0001)増加と関連するが、その強度とは相関はない。

少なくとも4日連続した熱く蒸し暑い日は入院数を大きく増加させ、超過心臓疾患は2倍(p<.0001)となり、腎疾患は約50%(p<.0001)である。

心臓疾患入院は初回の熱波と、最後の熱波は同等のピークで、腎疾患も同様な動きであった。

股関節骨折や循環器入院には相関は見られなかった。



不快指数(DI:discomfort index:Harries and Stadler 1983) (= 0.81T + 0.01U(0.99T - 14.3) + 46.3 T :気温(℃) U :相対湿度(%))などの不快指数が導入されている。Canadian Indexとも呼ばれるHumidexもそのひとつ。
アメリカではHeat Index Apparent Temperature、Heat Indexという名前で知られている指標が使われ、1979年R.I. Steadmanの開発した単純化指標である。日射により15FまほどHeat Index値を増加することとなり、空気が非常に熱いとき、強い風で実際より体を温めることとなる。(Summer Discomfort:  Mixing Heat and Humidity

by internalmedicine | 2007-08-11 09:55 | 医療一般  

<< FDA Approves No... プロペシアでドーピング扱い >>