COPDは慢性全身性炎症症候群? 新しい医学用語の提唱


Lancetの解説をみると、"chronic systemic inflammatory sndrome"という概念は、呼吸器疾患分野の“メタボリックシンドローム”という第一印象はそう間違えていなかったようだ。

COPDは全身性慢性炎症と関係し、実際、合併症も“全身性炎症”をその基礎病態とするというのがその考えのようである。

From COPD to chronic systemic inflammatory syndrome?
The Lancet 2007; 370:797-799

COPDは慢性の非可逆性の気流制限で特徴づけられるが、ともに有毒粒子やガスによる肺への異常炎症反応を伴っている。


COPDの臨床症状と気流制限の程度が相関するとは言えず、包括的なアプローチ、すなわち、画像診断、運動耐容能、BMIなどの評価が必要である。

この観点から、COPDは肺のみで判断されるものでなく、慢性全身性疾患として“chronic systemic inflammatory syndrome”という用語を提唱する。



この論文では、COPD患者における慢性合併症の組み合わせについて議論してこの新しい観点について説明がなされている。





・喫煙、吸入毒性物質:COPDだけでなく、心血管疾患、メタボリックシンドローム、特定のがんに関係する。
・骨格筋異常、高血圧、糖尿病、冠動脈疾患、肺感染症、がん、肺血管疾患の合併症が多い。
COPD患者は主に非呼吸器疾患、心血管疾患やがんで死亡する。
・合併症はともに発症し、20%以上が慢性心不全を合併、7骨粗鬆症(ステロイド使用生むと無関係に)70%、身体活動性の低下を生じる。
・小規模研究であるが、COPD患者の50%以上にメタボリックシンドロームを有し、20-30%に糖尿病、20-30%に貧血があり、肺高血圧、冠動脈疾患・PADなどの合併がある。
2型糖尿病は70%で高血圧とリンクしており、80%以上で肥満を有する。
・糖尿病は、肺機能低下と独立して相関があり、肥満はさらにCOPD重症度を増加させる。

50歳での約半数にすくなくとも3つの慢性疾患があり、5分の1で、5つ以上の慢性疾患を有する合併症が増えれば医療コストは対数的に増える。COPD患者のコスト増加に関して、年齢、息切れや喘鳴などの慢性の症状、合併症が関連すrう。

喫煙、高脂血症、肥満、高血圧といったものののコモンなメカニズムは、全身性炎症であるという可能性がある。CRPは"chronic systemic inflammatory syndrome"を構成する疾患すべてで増加することはこの疾患の戦略的biomakerとなりえる。

メタボリックシンドロームはコモンな背後の病態生理的な所見(たとえば、インスリン抵抗性)をもとに定義されている。このパラダイムは有益である。

厳格に言えば、メタボリックシンドロームは、本来の立場からいえば、“syndrome”ではない。
しかし、糖尿病、肥満、高血圧、と同時発症するものを組み合わせた1つ以上のリスク要因としてのとらえ方は、包括的診断アプローチにパラダイム・シフトをもたらした。
ライフスタイルの変容という方法に帰着するという面で、同時に対処・治療しなければならないという面で重要である


・・・要するに、メタボリックシンドロームの壮大なパクリなのである。・・・こちらははやりそうもないが・・・


“Xという臓器は全身の鏡である!、Xというのはところがなんにでも当てはまり、X領域の医師たちが自分たちの仲間内で主張する”と、同窓であり同僚でもあったある医者が言った言葉である。Xは腎臓、肝臓、心臓、消化管、中枢神経、末梢神経・・・挙句には歯科まで・・・

一方、「COPD患者というのは動脈硬化になりやすいのでしょうか?」と、尊敬するCOPD・呼吸不全領域で著名な先生に聞いたことがあるが、その答えは当時は「NO!」であった。
まだ、動脈硬化炎症論が提唱されない20年ほど前の話だから仕方がないのだが・・・

by internalmedicine | 2007-09-06 09:54 | 呼吸器系  

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