認知症薬剤使用患者ではQT間隔測定を

老人は合併する疾患も多く、薬剤もそのため多くなる。相互作用などは乗数的に増えていく。アリセプトをターゲットにした啓発活動か?

いづれにせよ、BMJ 2007;335:557 (15 September) からの警告


76歳女性が2回の失神エピソードにて来院
心臓の症状無く、血圧は160/112だが、洞性除脈(42/min)で、モニターにて発作性心室頻拍((torsade de pointes)あり、QTの延長(QTc 590-777ms)
マグネシウム、Isoprenaline、一時的心室ペーシングにて治療


服薬歴:
donepezil 10mg(2年間):英国全体が敵視している?アリセプト(R)
omeprazole 20mg:PPI
escitalopram 10mg:SSRIのようである
propranolol 80mg


donepezil、escitalopram、propranoloを中止にて正常化


イギリスにおける処方の約3%が催不整脈作用のある薬剤であり、QT延長と関係する
たとえば、抗不整脈薬、抗ヒスタミン剤、抗性物質、三環系抗うつ薬、SSRI
アセチルコリンエステラーゼ阻害剤であるrivastigmineにQT延長作用があり
donepezilは徐脈がそして、稀だがブロックを生じる。データシートには“β遮断剤とのsynergy効果・・・”という記載がある。
EscitalopramはQT延長に関して非常に稀な作用があり、CYP2D6を抑制し、donepezil代謝に影響を与え、omeprazoleでescitalopram代謝が抑制される。



QT延長を起こす(可能性がある)薬剤
http://www.nms.ac.jp/QTdrugs/http://www.arizonacert.org/medical-pros/drug-lists/drug-lists.htm#


レセプトとかにこの相互作用システムでも加えれば良いのではないかといつも思うのだが・・・

老人はQT延長をチェックしてから処方すべきなのか?





それにしても、イギリス全体が、アリセプトを嫌ってるような感じ

イギリスのアリセプト訴訟:エーザイ勝利? ガイドラインの負けぇ? 2007年 08月 18日

・・・とかでイギリスの医師団体を敵に回したからそのいやがらせか?


アストラゼネカ、1年近くMRを見たことがないので、本社サイドに電話、相互作用について聞いた。omeprazoleとdonepezilの関係の報告はない」と返事。
えぇ・・・今朝のBMJ見ました?と聞いたところ、「その記事はまだつかんでない」とのこと。
これじゃぁ・・「・雑誌以上の情報は無理ですね」・・・で、「あなたたちの仕事は薬剤副作用についての情報を事細かく情報収集する事じゃないの?」と言った。
「こんな片田舎の開業医にすら得ている情報を自社の製品にもかかわらず情報を習得していないとは・・・情けなくないですか?」と皮肉をのべた。

by internalmedicine | 2007-09-14 10:24 | 動脈硬化/循環器  

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