疾患別特異的死亡率とBMIの関係:体重と死亡率の関係といっても、死亡原因によりそれぞれ

ショーペンハウアーの著書に「天才とは物事を一般化して考える」という一説があったと思うのだが、確認できないでいる。ドイツでは、かつて、自然科学を『一般化』、文化科学『個性化的』とする流れとしたそうだ。それを考えれば、医学は自然科学であり、医療・臨床は文化科学ということになろうか?

テレビ世代はなにごとも物事を簡略化し、視覚で訴えるものに視聴者は弱く、断言された物言いに、視聴者はその真偽を確かめることを忘れてしまう。そして日本には価値観の多様性より、善悪という二分を好む傾向がある。

やたらと、前置きが長いが、「疾患毎の特異的死亡率とBMIの関係」というとらえ方に、肥満、やせすぎの問題とともに疾患特異的な方向に研究はしばらく進むだろうし、進まねばなるまい。

日本におけるメタボリックシンドロームの施策は、「天才」である官僚・教授たちが、医療・臨床をふまえずに、我々凡人に強制するシステムなのである。日本では、事細かな疾患解析も行われることなく・・・彼ら天才の脳内で作られた架空の世界で形成され・・・(この辺でやめておこう)


以前の研究(JAMA. 2005;293:1861-1867.)で、Flegalらは、正常体重者と比較して、低体重・肥満では全原因死亡率リスク増加し、過体重ではリスク減少という報告をしている。
これらの相関をさらに検討するため、25歳以上の国民データを解析し、心血管疾患、癌、他の原因に関して、原因特異的超過死亡を計算したというもの

Cause-Specific Excess Deaths Associated With Underweight, Overweight, and Obesity
JAMA. 2007;298(17):2028-2037.

定義:低体重(BMI <18.5)、過体重 (BMI 25-<30)、肥満 (BMI ≧30)

総フォローアップにおいて、低体重は有意に非癌、非CVD原因の死亡率増加 (超過死亡23455 ; 95% CI, 11 848 ~ 35 061)したが、癌とCVD死亡率とは関連なし

過体重は非癌、非CVDによる死亡率有意に減少(超過死亡 –69299; 95% CI, –100 702 ~ –37 897) したが、癌・CVDでは関連認めず

肥満は有意にCVD死亡率を増加(超過死亡 112159; 95% CI, 87 842 ~ 136 476)したが、癌、非癌、非CVD死亡率とは関連認めず

さらなる解析で、過体重・肥満は糖尿病、腎臓病による死亡率増加と相関 (超過死亡 61248; 95% CI, 49 685 ~ 72 811) し、他の非癌、非CVD死亡率減少と関連 (超過死亡 –105572; 95% CI, –161 816 to –49 328)

肥満は、肥満と関連が深いとされる癌の死亡率増加と関連 (超過死亡 13839; 95% CI, 1920 ~ 25 758)するが、他の癌による死亡率とは関連認めず


調査間比較でみると、時代とともに、肥満とCVD死亡率の関連に関してその関連の減少が示唆された。

by internalmedicine | 2007-11-07 10:23 | 糖尿病・肥満  

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