重症COPD患者の運動負荷試験法:5-9分程度で終了する方法選択を

重症COPD患者の運動負荷試験は6MWT、ISWT、エルゴメーターなどを使ったCETといったものが行われており、いづれも同様な運動ピークを示す。だが、前2者の方が運動による低酸素血症検知および酸素投与必要性判断においてより感度が高いという報告(Chest. 2004 Sep;126(3):766-73.)がある。心拍や呼吸困難のパターンから判断すれば、6MWTは患者自身が運動耐容ピークに到達する前に自己調整してしまう可能性があるため、ISWTが標準的な方法として望ましいと思うのだが、未だ普及されていない現状である。

CETではどの程度の時間になるような負荷方法が望ましいのか?

Optimal Protocol Selection for Cardiopulmonary Exercise Testing in Severe COPD
(Chest. 2007; 132:1500-1505)
【背景】健康成人の結果から、最大酸素消費量推定のためのymptom-limited maximal cardiopulmonary exercise testing (CPET) として8-12分間のが推奨され、重症COPD患者では推奨されてはいない。
重症COPD患者の一群でピーク酸素摂取量の推定のためのCPETの適切な時間はどの程度なのかを注意深く行われた負荷試験により検討したもの

【方法】重症COPD(平均FEV1 予測値32% 95%CI 27-38%)

ランダム選択によるエルゴメーターによる4種のプロとコールの漸増式症状制限運動試験 (4、 8、16 W/min continuous ramp protocolと 8 W/min step protocol)

【結果】
44回の平均時間は6.3 分 (95% CI, 5.0 ~ 9.0 min)

仕様プロとコールにより運動試験時間は異なる
・16-W ramp protocol, 4.0 min (95% CI, 3.0 ~ 5.1 min)
・8-W ramp protocol, 6.6 min (95% CI, 5.0 ~ 9.0 min)
・8-W step protocol, 6.0 min (95% CI, 4.0 ~ 8.0 min)
・4-W ramp protocol, 8.7 min (95% CI, 4.4 ~ 13.0 min; p < 0.001)

最大負荷量は有意にramp slopeで4・8・16W/minと 増加するにつれて増加する(最大負荷 35.6 vs 50.7 vs 64.3 W, respectively; p < 0.001)

最大換気数、心拍数、Borg rating、酸素ピークは4つのプロとコールで差がない。
rampとstepプロとコールでの差もなかった。


【結論】重症COPD(GOLDIII-IV)では現行のガイドラインで推奨されている8-12分より5-9分を時間ターゲットにしたプロとコールがより望ましい。
最大負荷はramp漸増率がより強く依存するが、ピーク酸素消費量とは逆である。

by internalmedicine | 2007-11-14 10:13 | 呼吸器系  

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