重症喘息とキチナーゼ様蛋白の関わりは臨床的に重要

YKL-40は喘息患者の特定のサブグループで量的に増加し、それらの人たちでは、chitnaseの発現はその喘息重症度と相関する。YKL-40は喘息の分子レベルの原因もしくは歩哨的役割と考えられるという報告

喘息コホート臨床研究で確認されたということはインパクトが大きい


そして、実際の分布図をみると、重症例の選別に役立つかもしれないという印象をもつ
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Chitinase-like Protein in the Lung and Circulation of Patients with Severe Asthma
N.Engl.J.Med. Vol. 357:2016-2027 Nov. 15, 2007 No. 20

血中YKL-40は有意に喘息患者で増加
Parisコホートで、肺YKL-40は増加し、循環中YKL-40値と相関 (r=0.55, P<0.001)し、気道リモデリング(上皮下基底膜幅)と相関(r=0.51, P=0.003)した。
これら3つのコホートで、血中YKL-40値は喘息重症度と相関し、FEV1と逆相関した。

YKL-40の値増加は有意に頻回の吸入rescue-use回数、頻回の経口ステロイド使用回数、頻回の入院率が多い。



序文を訳してみる

Chitinases は環境的に多糖chitinの豊富な開裂する能力を持ったhydrolaseを保有するファミリーの一つである。ほ乳類はchitinを合成できないが、chitinaseを合成できる。著者らは、動物の喘息モデルで、chitinaseが気道の炎症に重要なeffector分子であることを報告(Science 2004;304:1678-1682など)している。

他の研究では、真のchitinase、酸性ほ乳類chitinaseは、TH2細胞由来の炎症に対してcriticalな役割をはたすことが示され、喘息患者の組織で過剰発現が見られることが示されている(Br J Rheumatol 1993;32:949-955. など)。

chitinase-like proteinであるYKL40 (a chitinase homolog, also called human cartilage glycoprotein 39 [HCgp-39] and chitinase 3–like 1, that lacks chitinase activity) 発現は、Th2 typeの炎症の間増加している。

YKL-40は炎症、組織リモデリングに関して役割を果たすという多くの動物研究はあるが、まだヒトでは研究されていなかった。

YKL-40の発現は喘息患者で増加し、重症度とともに増加するという仮説を喘息の3つのコホートで調査し、重症度、YKL-40の測定値、気道のリモデリング測定(上皮下基底膜の幅)とともに調査したもの




キチナーゼ Chitinase; キチン分解酵素 というのは、私には初見(恥ずかしながら・・・)

キチンの分解と喘息の関係(Chitin Degradation and Asthma) という報告が記載されていたようだ
キチナーゼは、下等真核生物および原核生物において、寄生生物に対する防御を含む複数の機能を有する。哺乳動物キチナーゼの同様の機能はまだ見いだされていないが、ヒトにおける抗寄生生物免疫と喘息との間の強い類似性により、Zhuたち(p.1678)は、喘息の病因におけるキチナーゼについて考えるに至った。酸性の哺乳動物キチナーゼ(AMCase)は、喘息のヒト肺組織および誘発喘息のマウスモデルの両方において増加した。マウスモデルにおけるAMCaseの阻害は、Tヘルパー-2経路に関与するサイトカイン、具体的にはインターロイキン-13に対するその作用により、炎症を減少させる。よって、AMCaseおよびその他のキチナーゼは、喘息やその他のアレルギー症状において、利用価値のある治療対象となるだろう。(NF)
Acidic Mammalian Chitinase in Asthmatic Th2 Inflammation and IL-13 Pathway Activation
Zhou Zhu, Tao Zheng, Robert J. Homer, Yoon-Keun Kim, Ning Yuan Chen, Lauren Cohn, Qutayba Hamid, and Jack A. Elias
p. 1678-1682.



by internalmedicine | 2007-11-15 09:52 | 呼吸器系  

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