チアゾリジン系のうっ血性心不全 :rosiglitazone限定的?
2007年 12月 12日
“アクトスを含むチアゾリジン系薬剤の糖尿病老人の心血管アウトカム”ということで、発表なのだが、今回の論文で、“rosiglitazoneに限定した薬剤クラス効果”ということで武田はすましたいだろうなぁ・・・
JAMA. 2007;298(22):2634-2643.
Nested case-control analysisで、66歳以上の最低位年治療された2002年ー2005年までの159026名のケースで、2006年3月31日までフォローされたもの
メインアウトカムは、鬱血性心不全によるED受診・入院
セカンダリアウトカムは、急性心筋梗塞入院、全原因死亡率
イベントのリスクはTZDs治療と他の経口血糖降下剤の組み合わせ間のイベント比較
3.8年フォローアップ中央値で、12491名(7.9%)が鬱血性心不全で病院受診、12578名(7.9%)が急性心筋梗塞で受診、30265(19%)が死亡
TZD単剤現行治療は、有意に鬱血性心不全のリスク増加と関連 (78 例; 補正比率[RR], 1.60; 95% 信頼区間 [CI], 1.21-2.10; P < .001)、急性心筋梗塞(65 例; RR, 1.40; 95% CI, 1.05-1.86; P = .02)、 死亡 (102 例; RR, 1.29; 95% CI, 1.02-1.62; P = .03)で、対照のその他経口血糖降下剤の組み合わせケースでは3478名の鬱血性心不全、3695名の急性心筋梗塞、5529名の死亡であった。
TZD使用による鬱血性心不全、急性心筋梗塞、死亡率リスク増加は、rosiglitazoneに限定しているようである
日常臨床で、アクトスによる下肢浮腫をみると、やっぱり心臓に無関係でいいのだろうか?・・・と率直な印象をもつ
Standards of Medical Care in Diabetes—2007
American Diabetes Association Diabetes Care 30:S4-S41, 2007
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現時点ではもっとも新しいガイドラインだと思うのだが、これでは「鬱血性心不全治療中の患者にmetforminも心不全禁忌で、TZDは液貯留とうっ血性心不全悪化に関与の可能性、うっ血性心不全・他の心疾患、浮腫の存在時、同時のインスリン治療時のチアゾリジン系薬剤処方時は注意が必要」と書かれている。特に、NYHAIII、IVでは禁忌と書かれている。
さて、アクトス、この縛りが緩和できるか?
関連:thiazolidinone類の心影響:FDAの内分泌代謝委員会&薬剤安全性・リスク管理委員会
by internalmedicine | 2007-12-12 09:48 | 糖尿病・肥満