“アナフィラキシー様ショック” → NSAIDS不耐症・過敏症

某薬剤の「使用上の注意の改訂」を見ていたら、「アナフィラキシー様ショック」と「ショック」と併記してあった。不思議に思い、製薬会社に聞いてみた・・・
"発現機序としてIgE抗体を回するものと介さないものがあり、以前は前者をanaphylaxis、後者をanaphylactoidと称していたが、症状に区別がつかないうえ、何れも最終的にはマスト細胞からの化学伝達物質や酵素の遊離によって起きると考えられるので、現在はanaphylaxis、あるいはanaphyatic shock に統一されてきている”(医学と薬学 24巻3号・1990年9月24日(3):541-549)


・・・と記載され、"アナフィラキシー様ショック"という言葉は使われない方向であることは確かなようである。


【従前の分類】
“アナフィラキシー様ショック” → NSAIDS不耐症・過敏症_a0007242_17393272.jpg

上段がIgEと関連したもの=アナフィラキシーショック
下段がIgEと直接関連しないもの=アナフィラキシー様ショック



だが、Postgradmed.comのCMEラーニングで“アナフィラキシー・アナフィラキシー様ショックのメカニズム、原因として多いもの、緊急治療方法”にはしっかりとアナフィラキシー様ショックが記載されており、まぁこんなもの
POSTGRADUATE MEDICINE VOL 111 / NO 5 / MAY 2002 /
アスピリンなどのNSAIDsはcyclooxygenase活性の阻害によりアナフィラキシー様発作が起こると言われ、高浸透圧放射線造影剤も直接の好塩基球・肥胖細胞からのメディエーター遊離作用がある。



話は変わるが、NSAIDs処方する先生方にとって必読のサイトがある。
 ↓
NSAIDS(解熱鎮痛薬)不耐症・過敏症(相模原病院 臨床研究センター)


NSAIDs(解熱鎮痛薬)不耐症、過敏症とはプロスタグランディン合成酵素阻害(=シクロオキシゲナーゼ阻害)作用を持つNSAIDs(解熱鎮痛薬)全般に対する過敏症状を指します。・・・なお混乱しやすい用語としてNSAIDsアレルギーがありますが、これは単一(1種類)のNSAIDに対するアレルギーを指し、NSAIDs不耐症には含まれません。

NSAIDs不耐症には喘息型と蕁麻疹型があり、重症の場合も多く、このカードを参考に作成渡すと良いだろう。



詳細は→http://www.hosp.go.jp/~sagami/rinken/crc/nsaids/condition01/card.html

不耐性反応のメカニズムとして、主なメディエーターは「CysLT:システィニルロイコトルエン」で間違いなさそう。尿中LTE4がストレス試験時増加することなどが根拠。CysLT産生を担うのはマスト細胞であり、種特異的なPGD2産生との関係で、AIAなどではPGD2産生増加もマスト細胞活性化の証拠として同時に認められる。

“アナフィラキシー様ショック” → NSAIDS不耐症・過敏症_a0007242_8411783.jpg

(International Review of Asthma Vol.9 No.4から)

by internalmedicine | 2007-12-20 17:32 | 医療一般  

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