アスリートの心電図再分極異常の長期予後

"sportsman's heart"とか、あるかないか分からないtermの存在が、アスリートの心電図評価に悪影響を及ぼしているのではないかと思うことがある。

今回の研究は、
アスリートを対象に広範に研究したところ、1%程度に異常な再分局パターンが見られ、その人たちをフォローしたところ6%で、携帯異常が無くても、後に心筋症の診断となり、年間0.3%の死亡リスクとなるというもの

逆に、心電図の再分局異常がない場合は、その危険性がきわめて少ない

・・・今後のregulationの参考になる所見なのかも知れない。


心室再分極部分であるSTの異常を中心にアスリートで検討しているが、びまん性に存在するST低下、陰性T波が主だが、中には早期再分極も含まれているようである。

12誘導心電図は若年者、訓練を受けたアスリートにおいて、repolarization異常とR- もしくは S-波voltageの増加、左室肥大示唆の所見が多く認める
一般的には無害性所見として一般的には考えているが、構造的異常の所見がないアスリートの少数だが重大なサブグループにおいて、びまん性で深い陰性T波を含む特有な異常心電図所見を認めることがある。
次第に健康アスリートにおける心電図異常が診断的な疑問をもたらしつつある。
コレラの変化が、心血管疾患の主な、あるいは、わずかな所見をしめしているのか、あるいは、全身性、強化アスリートのコンディションの良性の変化としてみていいのか?

(A)

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24歳の国家的なカヌー選手:びまん性T波陰性波:12ヶ月後心臓突然死


(B)

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26歳地域レベルのサッカー選手、心エコー上左室肥大無し
R-、S-波増高(V2-6)、深い陰性T波(I、II、III、aVFとV2-6)
このアスリートは7年後非閉塞型肥大型心筋症のphenotypeとなった



(C)

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29歳の国家レベルのサッカープレイヤーで、左室肥大や他の構造的異常を心エコーで認めず、心電図にて極度のrepolarization異常と外側・下壁誘導部位のST低下、T波陰性化をみとめる




観察研究、横断的調査にかかわらず異常パターンの臨床的有用性は不明のままであった。

若い訓練されたアスリート達の"disitinctive repolarization pattern”について特徴的な心電図異常と臨床的アウトカムを評価した論文


Outcomes in Athletes with Marked ECG Repolarization Abnormalities
N Engl J Med. vol. 358(2) 152-161 Jan. 10 2008
12550名の訓練されたアスリートから、既知の心疾患を持たない、連続した(1-27年、平均9±2年(SD))臨床的、ECG、心エコー検査をなされた、びまん性分布、深い陰性T波(少なくとも3誘導で≧2 mm)のケース81名を同定

異常心電図81名の内、5(6)は心筋症と結果的に判明、一人は24歳のとき突然死(臨床的にarrhythmogenic right ventricular cardiomyopathyということが明らかでなかった)

80名の生存アスリートの内、肥大型心筋症の臨床的・phenotype特徴として12±5ねんg 3名発症、うち1名は心臓停止未遂
5例目のアスリートは拡張型心筋症と9年後判明

一方、初期評価から9±3年の間229名の心電図正常のアスリートは、だれも心筋症の診断されていない (P=0.001)

by internalmedicine | 2008-01-10 10:38 | 動脈硬化/循環器  

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