肺がん:侵襲度のより少ない内視鏡的病期診断

肺がん疑診例において、縦隔リンパ節の有無は、治療予後の重要な決定因子となる。病期分類の方法はいくつか方法が存在、たとえば、縦隔鏡などの全身麻酔を必要とする侵襲的方法などが診断の標準と認められている。TBNA(個人的に懐かしい・・・20年ほど前指導されたことがある・・・)のような方法もあるが、ブラインドであり必ずしも確実とは言い難い。

侵襲性の少ない3つの診断方法の正確性を比較したもの
1)従来の経気管支鏡的経皮的針吸引細胞診(TBNA)
2)経内視鏡的超音波ガイド微小吸引細胞診(EBUS)
3)経食道的エコーガイド微小針吸引細胞診(EUS-FNA)


Minimally Invasive Endoscopic Staging of Suspected Lung Cancer
JAMA. 2008;299(5):540-546.
【主な測定項目】 病理的な確認による縦隔リンパ節検知とクライテリアスタンダードによる6-12ヶ月フォローによる感度検討
【結果】138名の全ての研究クライテリアに合致症例で、42名(30%)に悪性所見あるリンパ節の存在。
EBUS-FNAはTBNAより感度が良く、29(69%) vs 15(36%)(P = .003)

EUS-FNAとEBUS-FNAの組み合わせ(EUS+EBUS)は、各々の単独より推定感度が高く(93% [39/42]; 95% 信頼区間, 81%-99%) 、NPVも高い(97% [96/99]; 95% 信頼区間l, 91%-99%)

EUS + EBUSはまた、どの部位でのリンパ節病変や胸部CT上病変無しのケースでも感度・NPVとも高い。




EUSを用いたNSCLCのステージングに関して・・・Impact of Preoperative Endoscopic Ultrasound on Non-small Cell Lung Cancer Staging(Chest. 2007; 132:916-921)では“手術時縦隔リンパ節陽性は、EUS施行:症例 3/44、EUSなし対照41/132で”という報告があった。

Improving the Inaccuracies of Clinical Staging of Patients with NSCLC: A Prospective Trial(Ann. Thorac. Surg., October 1, 2005; 80(4): 1207 - 1214. )にて、縦隔リンパ節診断の現在の限界が言及され、Endoscopic Ultrasound-Guided Fine-Needle Aspiration in Patients With Non-Small Cell Lung Cancer and Prior Negative Mediastinoscopy(Ann. Thorac. Surg., October 1, 2005; 80(4): 1231 - 1239. )にてEUS-FNA は縦隔鏡を1/3減少させる可能性が報告されていた。



それ以前のガイドライン、"Diagnosis and Management of Lung Cancer: ACCP Evidence-Based Guidelines"(http://www.chestjournal.org/content/vol123/1_suppl/)は、PET所見に偏ったものであった。

by internalmedicine | 2008-02-06 08:22 | がん  

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