脂肪酸と一秒量の関係:ドコサテトラエン酸

EPA・DHAは循環器系でかなり活発に研究されている(不整脈: Circulation, September 4, 2007; 116(10): e320 - e335.  血圧:J. Nutr. 137:973-978, April 2007 他:http://lansbury.bwh.harvard.edu/polyunsaturated_fatty_acids.htm

脂肪酸と閉塞性肺疾患の関係については、一部突拍子もない報告があったが、その後の進展もなく、必ずしも解決されてはいない。


n-3脂肪酸の摂取減少、n-6摂取増加は、COPD・喘息の疫学的要因であるとの仮説が提言されている。しかし、n-3、n-6カテゴリー内の相対的意義はひろく検討されているわけではない。個々の脂肪酸摂取と、肺機能、自己報告呼吸症状・診断を1万3千名をこえるオランダ人成人で調査


ということで、介入試験でなく、n-3、n-6の疫学調査・・・

The relation between dietary intake of individual fatty acids, FEV1 and respiratory disease in Dutch adults
Thorax 2008;63:208-214
関連因子補正後、n-3脂肪酸摂取とFEV1の予防的相関は見いだせない。
特定のn-6脂肪酸はFEV1低下と関連し、この影響はとくにドコサテトラエン酸(c22:4 n-6、DTA)で著明(最高・最低5分位比較でFEV1低下 54.5 ml (95% CI –81.6 to –27.4))

n-6脂肪酸の影響は喫煙と強く相関し、この影響は現行喫煙者で強い影響をもたらす。

個々のn-3脂肪酸摂取は一般的に昨年の喘鳴リスクと相関するが、脂肪酸摂取と、現時点の喘鳴、医師診断喘息、他の呼吸器症状の相関は無いか、あっても少ない。


脂肪酸成分表で”22対4 n-6 ドコサテトラエン酸 docosatetraenoic acid”

光学異性体に、adrenic acidがあるようだ(Am J Physiol Heart Circ Physiol 292: H2265-H2274, 2007)。血管けいれんなどと関係しており、興味深い物質だ。

以下の報告をみると、ACTHとの関係でby-standerという見方も?
”a significant increase in C22:4 (adrenic) acid was observed only for phosphatidylethanolamine under the influence of ACTH. ”
J Biol Chem. 1986 Oct 25;261(30):14118-24.


”悪者”物質なのでまぁサプリメント業者やみのもんた番にはおいしい話ではないのかもしれないが・・・

by internalmedicine | 2008-02-29 10:49 | 呼吸器系  

<< 肺がん自己抗体検討 チューインガム:術後の消化管機能改善 >>