カフェインによるアルツハイマー予防効果:脳脊髄関門破壊の防御作用

BBCでも報道されたようだ・・・





疫学的には、
ロジスティック回帰モデルでは、カフェインはアルツハイマー病と逆相関(オッズ比 0.40 95%CI 0.25-0.67)で、他の要因、高血圧、糖尿病、卒中、頭部外傷、喫煙習慣、飲酒、NSAIDs、ビタミンE、胃疾患、心臓疾患、教育、認知症家族歴との相関は見られなかった報告がある。(European Journal of Neurology Volume 9 Issue 4 Page 377-382, July 2002


認知症予防に決定的なものがない現在、カフェインは数少ない予防の方法ということとなる。ただ、以下の動物実験の量は人間で考えるととんでもない量になりそうだが・・・そのアルツハイマー病予防機序

Chen X, et al "Caffeine blocks disruption of blood brain barrier in a rabbit model of Alzheimer's disease"
J Neuroinflammation 2008; 5: 12.

高コレステロール値とBBBの破壊は、アルツハイマー病のpathogenesisに関連すると疑われている。動物・ヒトでの研究結果、アルツハイマー病に対してカフェインが防御的に働くがそのメカニズムは不明であった。
コレステロールの多いえさを与えたウサギにて、この仮説を確認

New Zealand rabbitを2%コレステロール量のえさとカフェイン3gを投与して12週後に比較。血中コレステロール濃度とカフェイン濃度を測定。

嗅球(と視床下部、大脳皮質も同様に)BBBのリークを評価し、組織免疫染色・immunoblottingによりBBBのtight junction蛋白発現値、astrocyteの活性、microglia濃度を評価した

カフェインが高濃度コレステロール食事によるIgG、fibrinogen濃度の増加、Evan's blue染色の量出増加、tight junction proteinであるoccludinとZO-1の減少、IgG漏出時に存在する、astrocyte活性化の増加、microgllia濃度の増加を阻害する。

高コレステロール食時のカフェインの慢性摂取は、BBB破壊を防止し、カフェインとカフェインに類似した薬剤はアルツハイマー病治療に有効かも知れない。



これ以外にも、カフェインの作用機序に関しては今まで多くの報告があるようだ・・・
Neuroprotection by caffeine and adenosine A2A receptor blockade of bold italic beta-amyloid neurotoxicity
British Journal of Pharmacology (2003) 138, 1207–1209. doi:10.1038/sj.bjp.0705185

Enhanced caffeine-induced Ca2+ release in the 3xTg-AD mouse model of Alzheimer's disease
Journal of Neurochemistry Volume 94 Issue 6 Page 1711-1718, September 2005

Caffeine protects Alzheimer’s mice against cognitive impairment and reduces brain β-amyloid production
Neuroscience Volume 142, Issue 4, 3 November 2006, Pages 941-952

by internalmedicine | 2008-04-07 14:28 | 精神・認知  

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