急性脳出血患者の血圧管理:INTERACT研究

急性脳内出血後の血圧コントロールというのは昔っからの問題

単純な問題ではないのだが、司法の暴走の危険が伴う現在の日本・・・血圧コントロールをしたがために逆に責任追及される事態もありえるご時世なので比較的ナーバスにならざる得ない問題でもある

ここでのガイドラインとは・・・
Guidelines for the Management of Spontaneous Intracerebral Hemorrhage in Adults: 2007 Update: A Guideline From the American Heart Association/American Stroke Association Stroke Council, High Blood Pressure Research Council, and the Quality of Care and Outcomes in Research Interdisciplinary Working Group
(Circulation. 2007;116:e391-e413.)



トライアルとしては、Antihypertensive Treatment in Acute Cerebral Hemorrhage (ATACH)<NIH基金による>では、目標収縮期血圧を170-200、140-170、110-140 mm Hgと分けてトライアル と 今回発表のINTERACT pIII研究が注目されていた

結論からいえば、クリアカットなものではなかった

6時間以内で収縮期血圧増加(150-220 mm HG)の患者を対象に、早期強化治療(目標血圧 140 mm Hg)と標準治療群(目標血圧 180 mm Hg)に割り当て検討

24時間後の主要有効性エンドポイントは血腫容積比率変化


Intensive blood pressure reduction in acute cerebral haemorrhage trial (INTERACT): a randomised pilot trial
Lancet Neurology 2008; 7:391-399
患者のベースライン特性は群間同様だが、平均血腫容積は強化群 (12·7 mL, SD 11·6) よりガイドライン群で (12·7 mL, SD 11·6) 小さい

1時間までランダム化、平均収縮期血圧は153mmHgでガイドライン群で167mmHg
(difference 13·3 mm Hg, 95% CI 8·9–17·6 mm Hg; p<0·0001)
1-24時間まで、血圧は強化群で146mmHg、ガイドライン群で157mmHg(10.8 mmHg 94%CI 7.7-13.9 mmHg, P<0.001)

24時間後、血腫容積比率増大はガイドライン群で36.3%、強化群で13.7%(差 22·6%, 95% CI 0·6–44·5%; p=0·04)

初回血腫容積・発症からCTまでの時間補正後、血腫容積比率増大中央値の左派1.7 mL(95%CI -0.5~3.9 P=0.13)

血腫増大相対リスク ≥33% or ≥12·5 mL はガイドライン群より強化群で36%(95%CI 0-59%, P=0.05)少ない。

絶対リスク減少は8%(95%CI -1.0~17%, p=0.05)

強化血圧低下治療群は副事象リスクや、二次臨床的アウトカムに影響を与えない



Antihypertensive Treatment in Acute Cerebral Hemorrhage (ATACH)
http://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT00415610?term=cerebral+haemorrhage&rank=1



高血圧性脳出血の非手術的治療(MINDS)
【推奨】
1.脳出血急性期の血圧に関しては、収縮期血圧>180mmHg、拡張期血圧>105mmHg、または平均血圧>130mmHgのいずれかの状態が20分以上続いたら降圧を開始すべきである(グレードC1)。収縮期血圧<180mmHgかつ拡張期血圧<105mmHgでは降圧薬をすぐに始める必要はない(グレードC1)。
2.外科治療(後述)を考慮する際には、より積極的な降圧が推奨される(グレードC1)。
3.降圧薬の種類としては特に推奨できるものはないが、脳血管を拡張する可能性のある薬剤は脳圧亢進を引き起こすため慎重な投与が望まれる(グレードC1)。

by internalmedicine | 2008-04-30 09:20 | 動脈硬化/循環器  

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