妊娠糖尿病に対する薬物治療第一選択はメトフォルミン?

NEJM論文序文:現時点では、母胎の高血糖持続なら、インスリン追加がスタンダードということで書かれていることをまず注記しておく。具体的には・・・
Intervention to change lifestyle and, if maternal hyperglycemia persists, treatment with additional insulin have been shown to improve perinatal outcomes(N Engl J Med 2005;352:2477-2486. ,Am J Obstet Gynecol 2005;192:989-997. ). Women who begin insulin therapy require education to ensure the safe administration of insulin. Use of insulin is also associated with hypoglycemia and weight gain. The use of safe and effective oral agents may offer advantages over insulin.



“MiG Trial” については、糖尿病リスク状態へのメトフォルミン治療:メタアナリシス 2008-02-29 でもちょっとふれた。


妊娠糖尿病は妊娠の約5%で存在し、母子ともに影響を与える。ライフスタイル介入の次に治療としてインスリン介入がなされており、周産期アウトカムの改善をもたらす。ただ、インスリン治療には低血糖、体重増加などの配慮がより必要で、経口剤使用により安全性・有効性の期待がもたれていた。

小規模後顧的コホート研究(Diabet Med. 2000 Jul;17(7):507-11.)で、周産期死亡と子癇前症の増加の報告があった。メトフォルミンが胎盤通過性があり、胎児へ生理的影響の可能性を示唆。2つの小規模ランダム化トライアル(Hum Reprod 2004;19:1734-1740. BMJ 2003;326:762-762.)で妊娠中使用の検討が行われただけであった。

Metformin versus Insulin for the Treatment of Gestational Diabetes
N Engl J Med. Vol. 358:2003-2015 May 8, 2008

妊娠糖尿病治療における、open-labelトライアルで、メトフォルミンとインスリン比較研究
新生児合併症率は2群同様であった。治療者側の好みはインスリンよりメトフォルミンであった。
薬物治療必要な女性の妊娠糖尿病初期治療として、メトフォルミン治療を支持する



妊娠中の糖尿病において第一選択となっても、日本の医師たちにはやはり潜在的に恐怖感が伴う

Standards of Medical Care in Diabetes—2008(Diabetes Care 31:S12-S54, 2008)
乳酸アシドーシスのリスクのある場合として、入院患者リスクは、心疾患・とくにうっ血性心不全、hypoperfusion、高齢、COPDである。外来ではリスク要因は多いが稀である。
低酸素、hypoperfusion、腎不全が最も多く、このような場合は避けるのが望ましい。

“Metformin and Fatal Lactic Acidosis”
1000人年0.06の頻度で、特に、腎機能低下例(sCr>0.16 mmol/L)や軽度腎機能低下例でも報告がある。慢性肝疾患でも注意が必要とされている。低酸素状態、recent MIや心不全、肺疾患、手術、アルコール症患者でも注意が必要

吐き気、意識変容、、腹痛、口渇などといった非特異的症状に注意が必要である。
治療はHDにて除去できる。血中HCO3-濃度、代謝性アシドーシス(AG+)
正確な機序は不明だが、pyruvate dehydrogenase活性の減少とミトコンドリアのtransportへの影響、嫌気的代謝を促進・・・
(参考:http://www.medscape.com/viewarticle/417792_3


糖尿病合併妊娠及び妊娠糖尿病マネージメント(GDM):SDM 2008

①食事療法

妊娠前期 標準体重1kgあたり30kcal+150kcal食
妊娠後期 標準体重1kgあたり30kcal+350kcal食
授乳時  標準体重1kgあたり30kcal+600kcal食
肥満妊婦の場合 1200kcal食(ケトーシス防止のため6回食とする)

②薬物療法
食事療法で血糖値が下記目標値を達成できない時にはインスリンを用いる。
妊娠中は経口血糖降下薬は用いない。
③インスリン療法:GDM(糖尿病例をのぞく)の約4~10%にいインスリン療法を要すること有り


目標 食前、就寝前 70~100 mg/dL
    食後 1 時間<140 mg/dL、 食後2時間<120mg/dL

by internalmedicine | 2008-05-08 08:38 | 糖尿病・肥満  

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