H. pylori感染に重要なtoxin 受容体:VacA さまざまな知見

PLoS Pathogensに報告

News Bureauに解説記事

ヒトの胃の中でいかに細菌が生存し続けることができるかという疑問にたいする回答と、あらたなる治療法へのとっかかりとなるか?胃の病理においても、この空胞の所見は今後観察所見として重要になるだろう。

パラドックス的に、H. pyloriはヒトの胃内に存在する割には酸に対して適用できていない。非常にクレバーなシステムで、胃壁の割れ目をけずって生存している。
vacuolating toxin A(VacA)と呼ばれる蛋白が、この再気ににとってもっとも重要な兵器である。

“このtoxinは胃の上皮細胞・免疫細胞に入り込み、H. pyloriを胃内の足がかりとして、長期間生存を可能とする。

このtoxinが細胞内に入り込むわけだが、細胞膜は脂質・たんぱくから構成され、締め出すような仕組みがある。特異的な膜構成成分に結合後特定の物質だけが細胞膜を通過できる仕組みであり、おなじみの受容体ということになる。

受容体は、チャンネルを解放する鍵としての役割があり、分子シグナルとしての役割、他細胞への情報伝達手段としての役割もある。

BlankeのチームはVacAが細胞膜にものをくっつける役割を果たしていることを示した。

別に、 Vijay Gupta と Hetal Patel が、VacAが人工的合成した膜の脂質に結合し、VacA結合により毒素が結合することをしめした。この脂質はsphingomyelinで、特定の動物細胞膜では重要で豊富である。ミルクや肉、魚、卵はこのsphingomyelinのおもな食事性供給源である。
受容体であるか検討するときに、2つのクライテリア、ひとつは、特定の物質に結合する、言い換えれば、特定物質に“sensitivityを有する”ことであり、VacA受容体はそれ自体が細胞内に入りこむ仮定で重要な物質である。
もう一つは、受容体を除けば、毒素は機能を失うということであり、ヒト細胞膜でこの分子がないことが見出されおり、このクライテリアを満たす可能性が示されている。

VacAは巨大液胞を形成を生みだし、膜結合部位のoversize化する。このことは顕微鏡のspotとして観察でき、細胞内のVacA活性の指標となる。

(上図:VacA toxinがsphingomyelin-richな膜を通過するところで、巨大化空胞を形成
下図:ヒトの細胞膜にsphingomyelinがない時で、膜通過できなず、空胞形成せず)

sphingomyelin膜を欠如するよう酵素処理したヒト細胞で、VacA受容体があるかどうか検討し、sphingomyelinのない細胞では、毒素がその細胞通過能をなくし、巨大空胞が消失する。

by internalmedicine | 2008-05-24 08:41 | 消化器  

<< 喘息のウィルス感染 間質性肺疾患の人工呼吸セッティ... >>