前立腺がん:75歳 PSA<3では検診継続の必要なし?

日本の検診医療は“リスク層別化”の概念が機能しておらず、せっかくの検診のコスト効果が得られてないことが多い。“後期高齢者医療”にて、検診関連の再構築がなされているが、はたしてどのような影響をあたえることか・・・関係各位の検討を待ちたい。

そういう中で、表題のごとき、意見が・・・

AUA: PSA Testing Might Not Be Necessary for Older Men
・二次ソース:http://www.medpagetoday.com/MeetingCoverage/AUAMeeting/tb/9600
・一次ソース:Carter HB, et al "Prostate specific antigen testing among the elderly: When to stop?" J Urol 2008; 179(suppl): 600. Abstract 1751.)

75歳のとき、PSA値<3 ng/mL未満の男性では、ルーチンの前立腺がん検診は中止できるということが、大規模前向きコホート研究のデータから示唆された。 
事実、前立腺がん死亡、高リスク疾患の確率はこの年齢の男性から徐々に減少すると、アメリカ泌尿器学会でJohns HopkinsのAnna E. Kettermannが述べている。
逆に、PSA 3ng /mLの場合、高リスク前リグ腺癌発症の確率が高くなるということである。


"75-80歳でPSA<2 ng/mLの男性は後年の、進行性前立腺がんの発症のリスク少なくなり、PSA検査は安全に中止できる”とKettermannは述べている

Baltimore Longitudinal Study on Aging 849名の検討にて、60-65歳での前立腺がん高リスク5年間増加は <1 ng/mLと > 3 ng/mLで層別化可能
前立腺がん高リスクを、前立腺がん死、PSA値>20 ng/mL、前立腺生検Gleason score ≧ 8、と定義
前立腺がんなしが727名、、前立腺がん35名で進行、がん保持生存と他原因の死亡87名

フォロー期間中央値10年間で、PSA測定繰り返し回数中央値4回

PSAベースライン中央値は 0.76 ng/mL

PC高リスクは1.2 ng/mLで、低リスクは 1.3 ng/ml、前立腺がんなしは 0.7 ng/mL

包括的に、18名が前立腺がんで死亡、17名は高リスク状態、35名全員が フォローアップ期間中いづれかで 3 ng/mLを超えた

前立腺がん低リスク、前立腺がんなしの87名の患者で、だれもPSA >3ng/mLを超えることはなかった。



75歳-80歳という区切りは「後期高齢者」の区分けと同一視されてはこまるので・・・ちょっと解説する。


後期高齢者医療で政党がいろいろ述べている・・・与党も野党も法案のときに真面目に検討してなかったから、今回の混乱があるということを自覚してほしいものだ。後期高齢者医療制度の問題は“人頭払い制度”導入と低所得者層へ配慮のなさにつきると思う。

ところで、民主党のある議員が75歳で年齢区分する医学的根拠はないと述べていた。
ちょっと、この言葉気になった。

“後期高齢者”というネーミングの発端は、おそらく、介護保険導入からで、“「後期高齢層」である75歳以上の高齢者が増え、2025年には総人口比の15.6%に達するとされています。「後期高齢層」では要介護状態になる可能性が高まることから、現在では280万人といわれる要介護高齢者は、2025年には520万人に増加し、うち「ねたきり」高齢者が230万人になると予想されています。”とケアマネージャー講習のテキストに書かれているごとき概念である。

この法の発案者は、“ねたきり”を念頭において一元出来な発想で、ネーミングを行ったのであろう。

by internalmedicine | 2008-05-26 10:08 | がん  

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