心房細動(NVAF):周術抗凝固管理

官僚たちや臨床をほとんど行ってない日医の幹部にはわからないかもしれないが、慢性心房細動のワーファリン治療管理・・・・後期高齢者の管理料を簡単に取れない理由の一つでもあるが、日常臨床で、慢性心房細動管理を行わなければならないことが多い。眼科・歯科などからの要望などもあり、なかなかやっかいなテーマの一つとなっている。


心房細動(AF)は動脈性血栓塞栓(TE)のリスク5-6倍、ワーファリンにより卒中リスクを68%(45-82%)軽減。AFの約3分の2で卒中の高度リスクがあり、その人たちはワーファリンで治療すべき状況にある。
侵襲的手技のときに安全性を考えワーファリンを一時的に中断することがある。
年間リスクにばらつきのあるAFの患者(0.5%-20%)に、一律の抗凝固療法標準化は困難である。さらに手技に関わる出血リスクも様々である。
いくつかの戦略が提案されており、単純に術前5日にワーファリン中止する方法から、unfractionated heparinや皮下LMWヘパリン(LMWH)投与のブリッジング治療まである。


高度リスク患者(特に、AFによるTE既往のある患者)、1週間以上の経口抗凝固剤の中断を要する場合などでは、2006年のACC/AHA・ESCコンセンサスガイドラインでは、unfractionated heparinとLMWH投与を静注・皮下投与推奨されている。ただ、この推奨の根拠となるデータは少なく、非弁膜症性AFのみ限定されているものでもないということで、不満が残るものである。

Periprocedural Anticoagulation Management of Patients With Nonvalvular Atrial Fibrillation
Mayo Clin Proc. 2008;83:639-645
345名のAF患者(平均±SD年齢, 74±9歳;33%女性)で386回の手術
ワーファリン投与は44の手術

周術ヘパリン投与は204の手術で施行

PE既往をもつ患者でヘパリン投与多い(43% vs 24%;P<0.001)。CHADS(鬱血性心不全、加齢、糖尿病、卒中)スコアが高い (2.2 vs 1.9; P=.06).

4例で6回のTE(卒中3例、ACS3例;TE率 1.1%; 95%信頼区間 0.0-2.1%)エピソード

9名の患者で10回の出血イベント(重大出血率、2.7%;95%CI 1.0%-4.4%)

死亡なし、出血、TE率とも抗凝固管理戦略により相違なし



Periprocedural Anticoagulation Management
施行4-7日前に周術期抗凝固治療マネージメント推奨のため受診

出血リスクの少ない、あるいは、物理的止血が容易な、歯科やマイナーな手術の外来患者では、ワーファリン抗凝固療法を下限であるINR 2.0まで低下

卒中リスクの少ないとされる例では、手術前に4-5日前にワーファリンを中止し、術後迅速に戻す。通常量にもどし、loading doseは行わない

ワーファリンを術前4-5日中止するときは、卒中の高度リスクである場合(入院させunfractianated heparin静注治療もしくは、外来で、治療下限いきまで低下させたLMWHのbridge治療を行うか)



Procedure-Specific Risk of Major Bleeding
低リスク (<1%)
外来歯科手技
白内障手術
他のマイナーな外来手技

高リスク (>3%)
Open-heart surgery
Abdominal vascular surgery
Neurosurgery
Major cancer surgery
Urologic procedures




【歯科・眼科への返書の一部】
外来低リスクに分類される手技(大出血リスク<1%)においては
ワーファリン治療の指標であるPT-INRにて2.0前後でコントロール可とのことです
ACC/AHA・ESCコンセンサスガイドラインMayo Clin Proc. 2008;83:639-645

以下の指標があります。ご参考までに
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by internalmedicine | 2008-06-03 08:35 | 医療一般  

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