ムカデ刺症、クラゲ刺症

急に暑くなったからか、ムカデ刺症が来院・・・ちょっと続いた。

メモ代わり

ムカデ刺症でも、蕁麻疹やアナフィラキシー・ショック、横紋筋融解症になるようだ。死亡例は稀。

受診前処置は特異的なものはない。疼痛や全身症状があれば受診必要
氷局所投与で痛み軽減する場合もある。
あくまで逸話的に、局所的に温めることや、温水につけることなどが行われている


救急外来では
・ムカデ刺症マネージメントは支持療法のみ
・痛みは、必要なら全身性の鎮痛剤
・局所麻酔注射で管理する場合もある
局所的に投与、部分的神経ブロックなど、成書テクニックに応じて
・破傷風ワクチンのアップデート
・予防的抗生剤は必ずしも必要ないが、二次感染では培養し、適切な治療(グラム陽性菌をカバー)を行うべき
・二次感染や壊死のサインを見のがなさない
・患者は約4時間全身性毒性がないことを観察すべき
eMedicine


舳倉島におけるムカデ咬傷の20例 http://pws.prserv.net/jpinet.takodam/mukade.html
わが国には,トビズムカデ,アオズムカデ,タイワンオオムカデ Scolopendra morsitans の3亜種が生息するが,ヒトを咬むのはトビズムカデとアカズムカデのみで,沖縄以北の日本中に広く棲息する。

一般にムカデは肉食性であり,昆虫その他の小動物を食している10)が,人に対しては偶然の機会に触れられた際に防御のためにすみやかに咬む。

その毒成分としてはハチ毒に似ており,溶血毒,サッカラーゼ,ヒスタミン,ヒアルロニダーゼ,セロトニン,p-ベンゾキノン誘導体,蛋白分解酵素などが知られている。

ムカデ咬傷としての特異的な症状は無く,受傷部の激痛,しびれ感のほか,局所症状として*爪(著者注:*は「足」へんに「付」)刺入による受傷部位の2個の小血点や皮膚の紅斑,浮腫,腫脹,水疱形成といった症状がみられる。重症の場合は,潰瘍化したり壊死を起こすことがある。疼痛は早期に軽減する。また,発熱,頭痛,嘔吐を伴うことがある。一般的には比較的軽症であるが,反復受傷により症状が次第に重症化した症例やハチ刺症でショックを起こしたことのある患者がムカデ咬傷でもアナフィラキシーショックを起こしたという報告も存在する。また,頸部,顔面などの頭部を咬まれたものがショックを起こしやすいといわれている。
ムカデ咬傷の治療としては,古代ローマ時代は自分の尿を1滴指に付けて頭頂部に塗布するという俗信があり,古代中国においてはナメクジを潰したものやニワトリの尿,桑の汁や塩を塗布していたという。
今日でも特異的な治療法は無く対症療法が中心となるが,疼痛に対して局所麻酔薬の局注や局所麻酔外用剤の塗布などが有効とされている。また,二次感染予防のために局所の消毒,抗生物質外用剤の塗布や炎症を抑えるために冷湿布の貼付,ステロイド外用剤の塗布,抗炎症薬の内服を行う。そのほか,中毒治療薬の静注や内服,抗アレルギー剤内服などの有効性が示唆されている

治療に関しては,初期には抗生物質内服,中毒治療薬内服,抗アレルギー剤内服,(抗生物質含有)ステロイド外用剤塗布などを組み合わせ






トビズムカデ(Scolopendra subspinipes mutilans)




アオズムカデ(Scolopendra subspinipes japonica)



海が近いせいか、当院によく来る”くらげ刺症”

くらげ
 刺すクラゲとは、刺されて痛いクラゲをいう。テトラポッドの波間に漂う半透明椀形のミズクラゲは、刺胞動物門に属し生物学的には刺す能力がある。しかしミズクラゲの場合、刺されても痛みはないか、あっても少ないため、日常的には刺さないクラゲに属する。刺されて痛いクラゲの代表的なものは、アンドンクラゲ、カツオノエボシである。沖縄の海には、刺されると死ぬ恐れのあるハブクラゲというのもいる。実際死亡例もある。初期治療は、酢酸(食用酢)をかけることである。クラゲ触手には刺胞と呼ばれる毒針がある。酢酸は、刺胞から毒針が出るのを防ぐ効果がある。ただし、酢酸には注入されてしまった毒を解毒する働きはない。酢酸が有効なのは、正確にはハブクラゲやアンドンクラゲの場合である。クラゲの種類によっては酢酸が逆効果の場合もある。しかし症状の強いクラゲに対する治療を念頭に置くと、クラゲの初期治療としては酢酸処置がよいと考える。(www.hhk.jp/sinbun/pdf/08/1555/155503.pdf



Jellyfish Stings
http://www.emedicinehealth.com/jellyfish_stings/article_em.htm
・「BOX JELLYFISH」(有毒クラゲ)に刺された時は、腕や足に刺されたとき、圧迫包帯を刺入部周囲に巻く。血流をストップしないように注意が必要。
・他の種類によるものなら、15-30分、酢酸に浸す、もしくは、洗浄する。酢がなければ、海水、70%イソプロピルアルコールで洗浄
※淡水は決して使わない。毒素流出が止まらないから。同様な理由で、氷・温水は用いない。
・針や切子で触手を取り除く。処置するときは必ず手袋で防御を
・シェービングクリームや重曹のペーストを当てて、ひげそりやクレジットカードでクラゲを除く。
そして、酢酸やアルコールで再度行う。シェービングクリーム・ペーストは、クラゲ除去時、毒素遊離を生じない。
・目を刺したときは、市販されている食塩水で洗い、目の周りの皮膚を酢で浸したタオルでたたく。直接目に酢酸を触れてはいけない。
・口を刺したときは1/4の酢で、水3/4で薄め、飲まず、うがいをする。
・痛みのときはアセトアミノフェンを4-6時間毎、もしくはイブプロフェンを8時間ごと服用

by internalmedicine | 2008-06-05 17:36 | 医療一般  

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