国は、ナイシトールなどの麻黄含有製品を放置し続けるつもりか?

メタボ対策と言いながら、盛んにコマーシャルしている・・・「ナイシトール85」・・・中身は防風通聖散料乾燥エキス 2.5gである。


成分のひとつは麻黄であり、この防風通聖散もmao (ephedra herb)のひとつであることは皆知っているのだろうか?

* 防風(ボウフウ) 0.60
* 黄ごん(オウゴン) 1.00g
* 大黄(ダイオウ) 0.75g
* 芒硝(ボウショウ) 0.60g
* 麻黄(マオウ) 0.60g
* 石膏(セッコウ) 1.00g
* 白朮(ビャクジュツ) 1.00g
* 荊芥(ケイガイ) 0.60g
* 連翹(レンギョウ) 0.60g
* 桔梗(キキョウ) 1.00g
* 山梔子(サンシシ) 0.60g
* 芍薬(シャクヤク) 0.60g
* 当帰(トウキ) 0.60g
* 川きゅう(センキュウ)  ?
* 薄荷(ハッカ)  0.60g
* 滑石(カッセキ) 1.50g
* 生姜(ショウキョウ) 0.15g
* 甘草(カンゾウ)  1.00g


川きゅう(センキュウ)  以外は、ツムラのと同じか?


“肝臓でのTG合成の抑制,脂肪細胞でのTG分解および褐色脂肪組織での熱産生の亢進”


またまた、麻黄問題が・・・小児へのかぜ薬、鎮咳薬中止すべき? 2007-03-03 に続いて・・麻黄はいうまでもなくEphedraであり、PPAと類似した作用である。

麻黄湯を安直に使用してよいのか?・・・厚労省はこのまま放置するのか?

米国では、2003年FDAでエフェドラ含有薬剤の規制をアナウンスし、2004年4月から、エフェドラ(麻黄、Ephedra)とエフェドリン(ephedrine)のサプリメントが、実質的に販売できなくなりました


当然ながら、日本の厚労省もエフェドラの安全情報問題を提示しているし、Dietary Supplements Containing Ephedrine Alkaloids Final Rule Summary(http://www.fda.gov/oc/initiatives/ephedra/february2004/finalsummary.html) を日本語訳している。
ここの結論は
多くの研究で、エフェドリンアルカロイド含有栄養補助食品は他の交感神経興奮剤と同様、血圧上昇及び心拍数増加が証明されている。これらの製品の使用者は、持続的な血圧上昇(死亡の可能性もある脳卒中や心臓発作のような重篤な疾病・障害など)を含むリスクがある。心不全増悪及び不整脈誘発作用による罹患率・死亡率の増加もみられる。不整脈誘発作用は通常、感受性の高い人だけに起こるが、血圧上昇による長期のリスクは健康な人にでも起こり得る。
 エフェドリンアルカロイド含有栄養補助食品の利便性がリスクに比べてより勝っているとはいえない。これらの製品には意味のある健康上の利益はない。利益に関して最良の臨床的根拠は減量である。しかし、そこでも証拠は幾分短期的な減量のみであり、体重超過や肥満に関係する心血管系のリスクや健康状態に影響を与えるとするには不十分である。
 運動能力増強、エネルギー増加、敏捷性など考えられる他の利便性についても科学的根拠を欠いており、リスクに比べれば些少な一時的利益があるのみである。



厚労省は、国民に害のある薬剤を放置し続け、コマーシャルを制限することもない!

ナイシトールの注意書きには申し訳程度に・・・瀉下剤との併用注意、授乳禁止とともに、妊婦・妊娠可能性婦人、胃腸症状・下痢気味、高血圧、医師の治療を受けているひとと書かれている。

褐色細胞腫や甲状腺機能亢進、うっ血性心不全、腎機能障害などの潜在患者(認識されてない人たち)に対して、はたしてOTCのままでよいか!全国の医師たちも注意をはらい、麻黄含有薬剤で悪化した心血管イベントの報告を逐一すべきだろう。今後、こういう薬剤の販路が広がる予定になっているようで、コンビニで購入できるかもしれない・・・なんと恐ろしいことだ

by internalmedicine | 2008-07-16 11:22 | くそ役人  

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