肥満心代謝異常無しと非肥満心代謝異常ありは多い in USA

肥満者だからといって、心血管リスクが高いわけではない。アメリカ国全体から見たら、正常体重での心代謝リスクを有する人達の多さ、逆に、肥満者なのに心代謝リスクの少ない人達の多さは無視できないほどである。
体のサイズというphenotypeをもとに、20歳以上の成人の心臓へのリスクを有する代謝異常の頻度をもとめたもの。


The Obese Without Cardiometabolic Risk Factor Clustering and the Normal Weight With Cardiometabolic Risk Factor Clustering
Arch Intern Med. 2008;168(15):1617-1624.
【背景】adiposity関連の心代謝異常の発症抵抗性の肥満患者と心代謝リスク要因を有する正常体重者の頻度と相関について不明であった

【方法】BMI区分(正常体重,<25.0; 過体重; 25-29.9、肥満; ≧30.0)と心代謝異常区分(正常、異常一つ、2以上)を横断研究サンプル(5440名のNational Health and Nutrition Examination Surveys 1999-2004)で評価
心代謝異常:血圧増加、TG増加、FPG増加、CRP増加、HOMA-R増加、HDL低下

【結果】アメリカでは、20歳以上で、正常体重成人の23.5% (約1630万成人) で代謝的異常。一方、過体重において51.3%(約3590万成人)、肥満において31.7%(約1950万成人)が代謝的に正常。

正常体重者のうちの心代謝異常集積は、加齢とともに、身体活動レベルとともに、ウェスト周囲径とともに独立して相関する。

過体重・肥満者の心代謝異常0、1という区分集積は、若年者ほど、非ヒスパニック系黒人・民族、身体活動性が高いほど、ウェスト周囲径が少ないことと相関する。


【結論】US成人において、正常体重者の心代謝異常の集積頻度があり、過体重・肥満者で代謝的に正常である人が多い。
異なるphenotypeに起因する生理学的メカニズムや健康へのインパクトのさらなる研究が必要




民族・人種的な要因というのが問題で、HbA1cでさえその影響をうける・・・リスク比較などというのは、心血管合併症・死亡率でなければ結局は比較できないと思う・・・のだが


日系アメリカ人の内臓肥満(×腹部皮下脂肪)による将来インスリン抵抗性発症リスク増大
Visceral Adiposity, not Abdominal Subcutaneous Fat Area, Is Associated with an Increase in Future Insulin Resistance in Japanese American
Hayashi et al. Diabetes.2008; 0: db07-1378v1-0

さて、ほんとに内臓肥満だけで、説明できるか?・・・一部は可能かもしれないが

by internalmedicine | 2008-08-12 09:34 | 呼吸器系  

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