安定狭心症:PCIの意義:狭心症状の改善 COURAGEの別分析

治療というのは、かならずしも、死亡率や重篤な合併症進行予防というだけで行われるものでもない。安定期冠動脈疾患への治療としてのPCI(経皮的冠動脈形成術)はその存在意義が問われているが・・・それに関する重要な知見と思われる。

COURAGE trialにて、PCIは、適切な薬物治療に追加という条件下では、冠動脈疾患における死亡や心筋梗塞を減少させることはないと判明

だが、QOL分析では、strategyに関わらずいづれも改善したが、PCI群で、当初、より優れた改善が見られた。


Effect of PCI on Quality of Life in Patients with Stable Coronary Disease
N Engl J Med. Volume 359:(7)677-687 August 14, 2008
2287名の安定冠動脈疾患をランダムにPCI+薬物療法 と 薬物療法 にわける
狭心症特異的健康状態( Seattle Angina Questionnaire)と包括的身体・メンタル機能(RAND 36-item health survey [RAND-36])を評価

ベースラインにて、狭心症なし。3ヶ月後PCI群の53%、薬物療法の43%で狭心症なし(P<0.001)
ベースラインの平均(±SD)Seattle Angina Questionnaireスコア(良好な健康状態を最高値でしめす、0-100までの数値)は、身体制限として 66±25で、狭心症安定性54±32、治療満足度87±16、QOL 51±25

3ヶ月までは、PCI群は薬物単独群に比較して
・身体制限:76±24 versus 72±23 (P=0.004)
・狭心症安定性:77±28 versus 73±27 (P=0.002)
・狭心症頻度:85±22 versus 80±23 (P<0.001)
・治療満足度:92±12 versus 90±14(P<0.001)
・QOL:73±22 versus 68±23 (P<0.001)


一般的に、患者はPCIにおいて、6~4か月ベネフィット増加

PCI後のベネフィット増加は、RAND-36属性のすべてではないが一部で見られる。

36か月まで、治療群での健康状態で有意な相違は認められない。


慢性冠動脈疾患患者の臨床トライアルは、急性冠動脈症候群(ACS)tokotonari ,PCIのmajor心血管イベント減少予防に寄与することが示されていない。

Clinical Outcomes Utilizing Revascularization and Aggressive Drug Evaluation (COURAGE) trialでは、薬物+PCI戦略と薬物療法で比較したが、フォローアップ期間におけるエンドポイント(死亡・心筋梗塞)で4.6年で有意な差が見出せなかったという経緯があった(Optimal medical therapy with or without PCI for stable coronary disease. N Engl J Med 2007;356:1503-1516. )。

安定冠動脈疾患においてPCI適用は狭心症改善のためとされている。
COURAGEトライアルは、症状改善の役割を見出すことも目的の一つであった。




Bivalirudinはあたらしいthrombin inhibitorであるが、PCI後使用を従来の未分画ヘパリンと比較。包括的アウトカムに差はなかったようだ
Bivalirudin vs. Unfractionated Heparin during PCI
Bivalirudin versus Unfractionated Heparin during Percutaneous Coronary Intervention
NEJM Vol 359:(7) 688-696 Aug. 14, 2008

by internalmedicine | 2008-08-14 08:39 | 動脈硬化/循環器  

<< マスコミの傲慢さの一因: 一次... 肺線維症:receptor f... >>