抗生剤処方増加で癌増加?

前立腺癌、乳ガン、肺癌、大腸癌発症や稀な悪性疾患も抗生剤処方増加に応じてリスクが増加するという大規模観察研究結果

causal-effectについてはどうなのだろう?発症前のホストの免疫状態が、抗生剤使用の前提条件と関連していたというわけではないのだろうか?・・・などと疑問を持ちながら、この報告を見た。筆者らは抗生剤乱用を戒める方に筆をすすめているようだが・・・


Antibiotic use predicts an increased risk of cancer
(International Journal of Cancer 2008 Aug 14, doi: 10.1002/ijc.23622
3,112,624名の国家的コホート研究で、30-79歳、癌既往無しを対象
1998-2004において134,070の癌発症
Cox比例ハザード回帰推定相対リスク推定

抗生剤使用(0-1、2-5、6処方)で区分したところ、1.0、1.27(1.56-1.29)、1.37(1.34-1.40)と増加

頻度の多い癌では、前立腺、乳ガン、肺癌、大腸癌がそれぞれ 1.39 (1.31-1.48)、 1.14 (1.09-1.20)、 1.79 (1.67-1.92)、 1.15 (1.04-1.26)

卵巣は0.90(0.76-1.05)で、内分泌(甲状腺除外)は2.60(1.60-4.20)
頻度の多くない悪性腫瘍でも相関があり、非メラノーマ皮膚、十二指腸、膵臓、腎臓、膀胱、男性生殖器(前立腺を除く)、甲状腺、メラノーマ、白血病で1.5倍ほど6回以上抗生剤処方された群ではそのリスクが最少曝露群より多い。

300万人対象以上や10万例のケースという場合には、抗生剤処方の繰り返しは、癌発生を増加させる。

by internalmedicine | 2008-08-22 10:39 | がん  

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