予防心臓病医学におけるスタチン:日本人発見者を紹介 NEJM誌

1976年遠藤章らの発見(Endo A, Kuroda M, Tanzawa K. Competitive inhibition of 3-hydroxy-3-methylglutaryl coenzyme A reductase by ML-236A and ML-236B fungal metabolites, having hypocholesterolemic activity. FEBS Lett 1976;72:323-326.)が心臓の予防医学に対しての扉となったと冒頭。

2008 Albert Lasker Clinical Medical Research Awardを受賞したことの解説
(参考:http://knak.cocolog-nifty.com/blog/2008/09/post-5d6a.html

LovastatinやSimvastatinで20-30%の全死亡率を改善するという劇的な知見などがスタチンによる予防エビデンスが累積してきている(Baigent C, Keech A, Kearney PM, et al. Efficacy and safety of cholesterol-lowering treatment: prospective meta-analysis of data from 90,056 participants in 14 randomised trials of statins. Lancet 2005;366:1267-1278.

血中コレステロール値が動脈硬化・冠動脈疾患の重要な要因であるという“lipid hypothesis”はskepticism扱いであって、1960年からAHAが血中コレステロールコントロール推奨し始めた。
NIHの“Coronary Primary Prevention Trial”(The Lipid Research Clinics Coronary Primary Prevention Trial results. I. Reduction in incidence of coronary heart disease. JAMA 1984;251:351-364.)というコレスチラミンによる盲検試験がなされ、20%の致死的冠動脈疾患、非致死性心筋梗塞減少を見いだした。



The Statins in Preventive Cardiology
Daniel Steinberg, M.D., Ph.D.
N Engl J Med. Vol. 359:1426-1427 Oct. 2 2008


メディアなどはノーベル賞と騒いでいるようだが・・・20年前に受賞されててもおかしくなかった。
ちょっとtoo late のような気がするが・・・


日本ではJ-LITというエビデンスレベルの低いトライアルでミスリードにて薬害として煽る風潮がある。治療機会の損失をもたらす可能性もある負の側面があるのだという認識がこういう人達にもあるべきだろう。最終的には治療者がその決定をするのではなく、処方を受けるものが決めるというスタンスが大事というのはいまもかわらないだろう。

<参照>
スタチンの有効性は、コレステロール低下とCRP低下の2つの要因で説明される 2005-01-14
スタチンは癌に対してニュートラル 2006-01-12

by internalmedicine | 2008-10-02 08:59 | 動脈硬化/循環器  

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