Apolipoprotein(a)の生理機能:炎症・血栓への作用

Lipoprotein(a) (Lp(a)) はLDLと類似するが、apolipoprotein、apo(a)を追加で含み、アポB-100とS-S結合して存在するのが特徴。いままで、無数の検討がこのLp(a)について、LDLと独立した心血管病態リスク要因として検討されてきた。このapo(a)の検討。ほぼヒト特異的なためなかなかin vivo研究が進まなかった分野。


A Physiological Function for Apolipoprotein(a): A Natural Regulator of the Inflammatory Response
Experimental Biology and Medicine 234:28-34 (2009)
Hoover-Plowらは、白血球apo(a)の役割として、in vivoにおけるnatural cell specific suppressorとして働くことを示した。
加えて、このapo(a)の新規役割として、サイトカイン産生の選択的調整を見いだし、Plgの分子擬態と独立した機能である。

Lp(a)はLDLと類似するが、Lp(a)はapoliporoteinであるapo(a)を付加的に含む。
無数の臨床研究が40年ほど行われており、心血管病態に広く、LDLと独立したリスク因子として取られられてきた。
apo(a)の病態活性の多くは、強力なプラスミノーゲン類似作用、プラスミンのzymogen、血栓退縮のプライマリ酵素というところの関心が向く。

この血栓溶解に加え、プラスミンは炎症における白血球動員に必要で、in vitro研究のいくつかでプラスミノーゲン白血球動員において、apo(a)の干渉が示されているが、in vivoでの研究ではこのエビデンスはない。

Lp(a)機能のin vivoの研究は小動物モデルがいまだ活用不能なため障害となっている。
Lp(a)はヒト、非ヒト霊長類、ヨーロッパハリネズミのみで発現する
のである。
Hoover-Plow研究グループは、プラスミノーゲン欠損あるいは補充apo(a)マウスモデルを用いて、炎症の3モデルで白血球動員を検討したもの

Hoover-Plowは「apo(a)は炎症の2モデル、thioglycollate とlipopolysaccharide による腹膜炎モデルでは白血球動員を阻害する」と述べている。
Apo(a)は好中球chemoattranctantを抑制し、好中球chemoattractant投与マウスでは好中球動員は回復する。好中球動員阻害は、プラスミノーゲンのメカニズムと独立して生じている。
apo(a)の病態機能に注目する一方、Lp(a)の生理機能はわかりにくいが、ヒト・非ヒト霊長類で役割が斟酌すべき存在であろう。
この結果、apo(a)が、プラスミノーゲンの作用と独立して、好中球動員をin vivoで証明し、細胞特異的な抑制としての機能があるということが示されたはじめての研究であるという話



リポプロテイン(a)がなかなかメジャーになれない?・・・理由がわかる解説であった。
Lipoprotein(a) [Lp(a)] は2つの側面、atherogenesisにおける独立した影響を示すlipoproteinであること と LDLに類似した分子であることである。LDL分子がglycoprotein apolipoprotein(a)[apo(a)] にくっついてできあがるもの。
このapo(a)はapo(a) gene locusのkringle IV(K-IV) の他種のrepeat数からなるsize polymorphismを示す。このpolymorphismはLp(a)値の重要な決定因子で、1000倍超の個体差を示す。LMW(低分子)apo(a)発現型のK-IV反復数小数発現のひとは、反復数多数よりLp(a)濃度が著明に平均で高い。LDLコレステロールとLp(a)ともに心血管疾患のリスク要因である強いエビデンスがある。
LDLコレステロールはHMG-CoA reductase阻害剤(スタチン)により低下するが、Lp(a)はこの治療に抵抗する。(http://www.nature.com/ki/journal/v66/n1/full/4494593a.html




by internalmedicine | 2008-12-26 10:56 | 動脈硬化/循環器  

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