肺癌:新築家屋内ラドン濃度基準値設定はコスト効果的である ・・・ 日本はどうするの?

University of Oxfordの疫学研究

Lung cancer deaths from indoor radon and the cost effectiveness and potential of policies to reduce them
Published 6 January 2009, doi:10.1136/bmj.a3110
BMJ 2009;338:a3110

【デザイン】 Cost effectiveness analysis.

【場所】 United Kingdom.

【データ源】 Epidemiological data on risks from indoor radon and from smoking, vital statistics on deaths from lung cancer, survey information on effectiveness and costs of radon prevention and remediation.

【主要アウトカム測定】 室内ラドンによる肺癌死亡推定数、様々なラドンコントロール介入前後での肺癌からの生涯死亡リスク、様々なラドンコントロール施策により増加するQALY、肺癌死亡率減少の可能性

【結果】 UKの家での平均ラドン濃度は21ベクレル/m3(Bq/m3)
肺癌による約1100名死亡、肺癌全体の3.3%が家屋内でのラドン由来。
100 Bq/m3未満のラドン濃度によるものが85%超でほとんどで、これは、ほとんどラドンと積極的喫煙によるジョイントによるものである。
選択的なエリアで新築でのラドン予防のための基準値を設ける現行の施策は非常に超すと効果的で、UK全体に広がってもそのような基準値のコスト効果は維持されるだろう。
QALYあたりのコスト増加£11 400 ( {euro}12 200; $16 913)
既存家屋内に対する現行の施策では、高ラドン濃度のままだが、コスト効果的でなく(QALY あたりのコスト増加 £36 800)、肺癌死亡率減少に効果もない

【結論】新築家屋内に対するラドン基準値をもうける施策はUK全体でもコスト効果的で、喫煙を減少する事とともに必要である。
高ラドン濃度を既存居宅に施策は多くのラドン関連死予防に役立たず、多くの家ではその曝露は中等度となるためであろう。
この結論は、UKより曝露可能性が高いであろう多くの発展途上国に適用されるだろう。




UK家宅のラドン濃度の分布、ラドン関連肺癌死亡数


75歳までの肺癌累積死亡リスク



多くの国で、肺癌がもっとも多い致死的癌となっている。肺癌の多くは喫煙によるが、他にも発ガン原因があり、吸入ラドン-222(半減期 4日)が知られており、地殻に存在するuranium-238から生じるradioactive decayがもとである変に存在する自然の大気汚染物質である。
戸外のではきわめてその濃度は低いが、屋内では高く、特に居宅無い、小ビルで高い。多くの国で、natural ionising radiation曝露源である。
吸入されると、固相存在ラドンは気管支上皮に沈着し、α irradiationが細胞内でなされる。



ここに掲げられている各国家屋内ラドン濃度をみると国によってはUK以上に深刻である。
 ↓
http://rcwww.kek.jp/kurasi/page-45.pdf


世の中には、ラドン浴などと称して、自称高ラドン環境の密閉空間にわざわざ金を出して行き、健康になったと喜んで浴びている人達のいる国があるのだが・・・

http://plaza.rakuten.co.jp/osame/diary/200605230000


”屋内ラドンの規制に対する日本保健物理学会の提言”(http://wwwsoc.nii.ac.jp/jhps/j/groups/adhoc_radon/adhoc_radon.pdf)はクビをかしげる

規制強化を否定する前提が、「我が国のラドン濃度レベルなどについては、過去に全国調査が行われ、全国平均の値として15.5 Bq m-3が得られた。この値はこれは欧米諸国に比べて低い結果となっている」である

上記資料見ても、この値は欧米並みなのに・・・日本保健物理学会の人たち頭おかしいのでは?

密閉性の住居に日本は変わりつつあるにもかかわらず、基準値設定さえ渋る理由は、関係業者の保護が主なのだろうか?英国研究が住民健康本意でQALYあたりのコストで行政施策をきめているのにくらべ、日本という国の施策は、いきあたりばったり+業者本位・・・

この国の施策の進め方は根本的に間違えているし、その提言をするところの学会がまともな提言をできないところが悲しい・・・

by internalmedicine | 2009-01-07 15:47 | がん  

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