ICU人工呼吸:鎮静SEDCOM研究:プレセデックス vs ミダゾラム(ドルミカム)

JAMA Early Releaseとなっている。プレセデックス(R)がICU患者のセデーションとしてドルミカムより有益性が高いことが確認されたようだ。

ICU機械式人工呼吸患者に対するdexmedetomidine と midazolam に目標sedation時間に相違なし.比較可能レベルで、dexmedetomidine治療患者は人工呼吸時間少なく、delirium少なく、頻拍・高血圧少なかった。もっとも注目すべきdexmedetomidineの副作用は徐脈であった.

Dexmedetomidine vs Midazolam for Sedation of Critically Ill Patients
A Randomized Trial
JAMA. 2009;301(5):(doi:10.1001/jama.2009.56).
【デザイン・セッティング・対象】 前向き、二重盲検、ランダム化68センター・5ヶ国トライアル(2005年3月~2007年8月)の375医学/外科ICU患者で、24時間超の人工呼吸可能性有る患者対象
鎮静レベルや幻覚症状を評価(RASS:Richmond Agitation-Sedation ScaleとConfusion Assessment Method)
【介入】
・Dexmedetomidine (0.2-1.4 µg/kg /時間 [n = 244])
・midazolam (0.02-0.1 mg/kg /時間 [n = 122])
抜管もしくは30日間、light sedation (RASS scores : –2 ~ +1)目標

【結果】RASS範囲に到達目標内の時間比率は同等
(dexmedetomidine group :77.3% vs midazolam group75.1%; 差異, 2.2% [95% 信頼区間l {CI}, –3.2% to 7.5%]; P = .18)
治療期間中の幻覚症状頻度は、dexmedetomidine治療群 54%(n=133/244)で、medazolam治療群n(n=93/122)(差異,22.6% [95% CI, 14% ~ 33%]; P < .001)
抜管までの時間中央値はdexmedetomidineが1.9日短い(3.7 日間 [95% CI, 3.1 ~ 4.0] vs 5.6 日間 [95% CI, 4.6 ~ 5.9]; P = .01)

ICU滞在時間は同様(5.9 日間 [95% CI, 5.7 ~ 7.0] vs 7.6 日間 [95% CI, 6.7 ~ 8.6]; P = .24)

Dexmedetomidine治療患者は徐脈発症傾向 (42.2% [103/244] vs 18.9% [23/122]; P < .001)で、治療必要比率の増加は有意でない(4.9% [12/244] vs 0.8% [1/122]; P = .07)

だが、対処必要頻拍 (25.4% [62/244] vs 44.3% [54/122]; P < .001)や高血圧(18.9% [46/244] vs 29.5% [36/122]; P = .02)の尤度は少ない



プレセデックス:http://www.atol-com.co.jp/mp/di/pdf/04_05/sinseihin/8-14.pdf
デクスメデトミジンは強力かつ選択性の高い中枢性α2アドレナリン受容体作動薬であり、鎮静および鎮痛作用、抗不安作用、ストレスによる交感神経系亢進を緩和することによる血行動態の安定化作用等、広範な薬理作用を示すことが知られている。また、その後の研究で、 本剤の投与で自然に近い睡眠が得られること、本剤持続投与で十分な鎮静が得られている場合でも必要に応じて意識レベルを回復させることができ、しかも、不安や苦痛のない状態を維持できることが明らかにされた。この広範な薬理作用から、当初は周術期の使用を考慮して開発が着手されたが、1997年以降は薬物動態学的特性等も考慮し、持続投与による「集中治療における鎮静および鎮痛」を目的とした開発が進められることになった。
本剤は、呼吸抑制の誘発が認められないため、抜管中、抜管後も投与の中止を必要とせず、継続して使用することが可能である。また、鎮静作用に加えて鎮痛作用を併せ持ち、オピオイド鎮痛薬の所要量を減らし、麻薬性鎮痛薬による呼吸抑制やその他の副作用を軽減する。
さらに、本剤の優れた特性は、上記のように従来の鎮静剤とは異なるユニークな鎮静作用を示すことであり、目標とする鎮静が得られている状態でも、診察や理学療法を行うために患者を容易に覚醒させることができ、患者とコミュニケーションをとることが可能である。


<効能・効果に関連する使用上の注意>
人工呼吸管理下での患者の状態が安定しており、本剤投与から24 時間以内に抜管可能な患者を対象に投与すること。


日本では、この縛りのためICUでの使用制限を強いている・・・アホ役人

by internalmedicine | 2009-02-03 08:48 | 呼吸器系  

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