COPDと運動:鶏か卵か?

鶏か卵か?・・・エディトリアルだが・・・私の関心領域なので・・・一部訳

結論から言えば、この編者は、”呼吸機能低下→運動・筋力低下”というプロセスを主と考えているようだ。

Chicken or egg: physical activity in COPD revisited
Eur Respir J 2009; 33:227-229
COPDと骨格筋減少症(sarcopenia)の関係が取りざたされることが多くなった。
最近、大規模コホートにて、自己報告身体活動量がCOPDの予後を推測させ、肺機能低下に大きなインパクトを与えるという報告(Am J Respir Crit Care Med 2007;175:458–463.)がなされている。
日常活動性、筋力・筋パフォーマンスは相互関連がある。

pedometeractigraphなどが最初で、モニタリングの発展により、sophosticateされたデバイスが利用可能となっている。“triaxial accelerometer”(Am J Respir Crit Care Med 2004;169:A594)なども直接比較にて、日常生活評価を患者の想起に頼っているのにくらべより正確となった。客観的運動活動性指標がゴールドスタンダードとなるだろう。


骨格筋筋力低下は疾患のらせん低下の経過を導き、運動時の嫌気的代謝や大腿四頭筋疲労や活動性低下を導く。急性悪化によりさらに悪化。Donaldsonらは、アウトドアで過ごす時間は急性悪化出現を減らし、その後5週まで減少効果が続くということを報告している。
逆に急性悪化入院後、身体活動は急激に減少(to a mean walking time of 6–7 min·day–1) し、1ヶ月は回復にかかる(Chest 2006;129:536–544.)。同様のパターンが卒中などでもみられる。

呼吸リハビリテーションは有効性が高く、best modest effectである
quadriceps strengthを主体とし、急性増悪後のリハビリテーションは、その後の急性増悪イベントや救急受診を減らす。
Pittaらは、運動能力と大腿四頭筋筋力は3ヶ月後増加したが、身体活動量の増加を伴ってないと指摘。しかし、さらに3ヶ月リハビリテーション追加(計6ヶ月)で有意に6分間歩行距離で
6分間歩行距離は“Leuven concept”(筋肉を鍛えるのに3ヶ月、脳を鍛えるのに6ヶ月という概念)故という説明となる。

COPDの概念は、多くの合併症を有する病態+全身性の合併症を引き起こす可能性のある病態と変遷している。


だが、筋の脆弱性は、一般的な筋萎縮のメカニズム・身体パフォーマンス全身性炎症から生じる可能性があるというhistorical revewがあるが、これは仮説未満である。
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まず、筋力低下が悪液質に先行し、bioimpedenceで判断された栄養不足は約2/3だが、大腿四頭筋筋力低下は約1/3という大規模研究が2つある。
次に、CIPDの筋力低下は横隔膜、腹部筋肉、上肢筋肉をspareする。全身性過程とするには説明できない。
三番目に、横隔膜・三角筋生検では大腿四頭筋に見られる変化が見られない。これも同様。
最後に、直接しらべること、すなわち、大腿四頭筋の炎症性サイトカインの発現は観察できないか、もしくはあっても大腿四頭筋の筋力低下と逆相関する。

身体活動減少は早期COPDの特徴であり、ERJで報告された論文にて、Watz(Eur Respir J 2009; 33: 262–272、Am J Respir Crit Care Med 2008;177:743–751.)らは、GOLD病期を通して運動不足がそれに応じて低下することを示した(関連:
COPD:やせと身体活動、病期分類、BODE指数のパズル:Stage IIから積極的身体運動指導を 2009年 01月 31日)。

by internalmedicine | 2009-02-03 11:08 | 呼吸器系  

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