パーソナルデバイス(PDA)にて、プライマリケア医のアドヒアランス改善

Guideline Adherence for Heart Health (GLAD HEART)研究

Framingham risk scoreやATP III推奨、脂質治療用量、中性脂肪値マネージメント情報を含む、personal digital assistant (PDA)提供にて、プライマリケア医の治療adherenceが向上するか?

背景としては、NCEPの医師adherenceは不良のままなのでどうにかしろと・・・


Impact of a multifaceted intervention on cholesterol management in primary care practices: guideline adherence for heart health randomized trial.
Arch Intern Med. 2009 Apr 13;169(7):678-86.
68のプライマリ・ケア家庭医・内科医を組み入れ
66をランダムに割り付け(5名辞退)
・29:ATPIII : PDA(Framinghamスコア・ATPII推奨治療、脂質治療用量情報、中性脂肪マネージメント情報を含む)
・32:代替介入(JNC-7に焦点をあてた)

全ての参加者に臨床ガイドライン配布、導入レクチャー、1回のパーフォマンスフィードバック報告、4回の介入特異的学術detailing4回訪問


脂質値検診率43.6% → 49.0%(ATP III群)、40.1% → 50.8%(対照群)(net difference, -5.3% [P = .22])

脂質至適マネージメントはATPでやや低下(73.4% → 72.3%)
対照群は著明に低下(79.7% →68.9%)

至適マネージメント総変化は介入群で良好(+9.7%; 95% confidence interval [CI], 2.8%-16.6% [P < .01])

4ヶ月以内の適切な薬剤処方は両群とも減少(ATP III:38.8% →24.8%、対照:45.3% →24.1%) net change, +7.2% [P = .37])

過剰治療は、ATPIIIで6.6%→3.9%で減少、対照群で4.2%→6.4%と増加 (net change, -4.9% [P = .01])

結論としては、多要素介入は、プライマリケア医のATPIII adherenceを改善する



NCT00224848.



adherence
アドヒアランスとは、患者が積極的に治療方針の決定に参加し、その決定に従って治療を受けることを意味する。

従来、医療者は「医療者の指示に患者がどの程度従うか」というコンプライアンス概念のもと患者を評価してきた。したがってその評価は医療者側に偏り、医薬品の服用を規則正しく守らない「ノンコンプライアンス」の問題は患者側にあると強調されていた。しかし実際の医療現場では、コンプライアンス概念で乗り越えられない治療成功への壁が存在した。そこで、患者自身の治療への積極的な参加(執着心:adherence)が治療成功の鍵であるとの考え、つまり「患者は治療に従順であるべき」という患者像から脱するアドヒアランス概念が生まれた。 日本薬学会から



コンプライアンスという言葉は隷属的な意味合いが英語使いの方にはあるようで、廃れていくのかもしれない(http://digitaldoorway.blogspot.com/2007/01/adherence-versus-compliance.html)

法令遵守という意味での使用は、法における個人・法人の関係は一方的関係なので、コンプライアンスという言葉は残るのかもしれない。

by internalmedicine | 2009-04-17 09:26 | 動脈硬化/循環器  

<< polypill (Poly... 冠動脈心疾患と食事要素:cau... >>