妊娠中降圧剤と心血管奇形 :薬剤特異性無く、根本は原疾患としての高血圧が原因

Review Article :The effect of antihypertensive drugs on the fetus
Journal of Human Hypertension (2002) 16, 293-298
ではどの薬剤も安全なような記載。

だが、日本の添付文書では、CCB、ACE阻害剤、AII拮抗剤・合剤は全て禁忌
β2もインデラル・テノーミン以外は禁忌、降圧利尿剤・α遮断剤・アプレゾリンとグアンファシンをのぞく交感神経中枢抑制剤程度しか処方利用できない(http://www.okusuri110.com/kinki/ninpukin/ninpukin_04-130.html


以下のメタアナリシス報告では、降圧剤と子供の心血管奇形について相関関係が見つかったが、ベースの”高血圧”そのものが真犯人であり、薬に関してはどの種類の降圧剤と限定できない減少であると解説されている。そして、降圧剤の薬剤特異的影響は無かったとのこと。


Antihypertensive Medication Use During Pregnancy and the Risk of Cardiovascular Malformations
Hypertension May 11, 2009 online
National Birth Defects Prevention Study(住民ベースの症例対照研究で、好悪アツ座位と心血管奇形の関連を検討
1stトリメスター治療は、肺静脈閉塞(オッズ比 [OR]: 2.6; 95% CI: 1.3 ~ 5.4)、 Ebstein奇形(OR: 3.0; 95% CI: 1.3 ~ 6.6)、大動脈縮窄症 (OR: 3.0; 95% CI: 1.3 ~ 6.6)、二次口欠損 (OR: 2.4; 95% CI: 1.3 ~ 4.4)

1stトリメスター以降では肺静脈閉塞(OR: 2.4; 95% CI: 1.1 ~ 5.4)、膜性周囲部欠損性心室中隔欠損(OR: 2.3; 95% CI: 1.2 ~ 4.6)、二次口心室中隔欠損(OR: 2.4; 95% CI: 1.3 ~ 4.4)

未治療高血圧は、Ebstein奇形(OR: 2.1; 95% CI: 1.0 ~ 4.3)、二次口心室中隔欠損 (OR: 1.3; 95% CI: 1.0 ~ 1.6)と相関

降圧剤使用 and/or 高血圧状態にあること自体が、左心・右心閉塞・心室中隔欠損のリスクを胎児に与える。さらなるパワーをもつ追加研究がこれらの知見確定のために必要



Correaはどの主の降圧剤でも奇形性がある事をしめしたが、妊娠中暴露臨界期に依存するし、未診断・未治療高血圧がこの検討には配慮されてないと述べている

FDAは妊娠期においてちょっと複雑な変更
ACE阻害剤:1st トリメスター カテゴリーC、2nd・3rdはカテゴリーD
AIIRAsは授乳中は禁止
サイアザイド:chlorothiazide, chlorthalidone, hydrochlorothiazide, indapamide, metolazoneはカテゴリーB、bendroflumethiazide, benzthiazide, hydroflumethiazide, methyclothiazide, trichlormethiazideはカテゴリーC
β遮断剤:acebutolol, pindolol, sotalolはカテゴリー B、atenolol, labetalol, esmolol, metoprolol, nadolol, timolol, propranolol, penbutolol, carteolol, bisoprololはカテゴリーC

by internalmedicine | 2009-05-19 15:14 | 動脈硬化/循環器  

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