引っ越し回数と自殺企図・自殺完遂は相関:子供への影響大

現代社会において、引っ越しを多くする人たちがいるが、大規模住民研究では引っ越し回数の多いひとのメンタルな健康への影響の報告は限られている。
頻回に引っ越しをすることによる子供や思春期の子供の自殺企図・自殺完遂リスクの影響を評価した研究。

requent Change of Residence and Risk of Attempted and Completed Suicide Among Children and Adolescents
Arch Gen Psychiatry. 2009;66(6):628-632.

自殺企図リスクの増加は住所変更数と相関し、明らかに、両依存的傾向が見られ、発腰回数が多いほど、自殺企図の回数が増える。

この傾向は、寄与要素(i.e. 第何子か、誕生場所、父親との関係、生下時親年齢)補正後も同様

子供の精神的合併症、母・父がいないこと、両親の精神的疾患既往補正後もやや減衰するも、まだ有意。

この相関は、転居時の性別や年齢で補正されない。


自殺完遂の解析でも同様に、転居数と自殺完遂と同様の相関


子供の頃の引っ越しは、学校を含め、新しい環境へなじめない場合、心理的に大きなインパクトをもたらす。
転勤の多い職種の人たちにとっては、その子供の心理的影響は大きな関心事だろう。異質者への抵抗やいじめってのは子供の世界では普通で、逆に、転居が普通の地域、転居者の多い地域等の子供は引っ越し者慣れしてて、互いにうまくいっているという話も聞いたりする・・・そういった子供たちの心的機序に親や教師がもう少し配慮してくれればと思うことも・・・ある。


若年男性の自殺の多くは8歳時点での心的病態で予測できる・・・小児期心理病態の重要性 2009-04-07


小学生の頃の心理的な瘢痕は思春期・青年期に引きずる・・・ことを考えれば、社会ももう少し、引っ越しの子供への影響を配慮すべきだろう。

by internalmedicine | 2009-06-02 09:10 | 精神・認知  

<< 食道内圧・筋電図検査にくらべ、... 初回卒中後スタチン治療により再... >>