山本病院詐欺事件:おそまつなNHKの医学的認識 これで公共放送と言えるのか?

2日前の話題で恐縮なのだが・・・

7月2日、午後7時のNHKニュースをみていたら、例の”山本病院の架空心臓カテーテル検査”事件のことで、”部屋の中を走り回らせたりして、わざと狭心症をおこさせて・・”とアナウンサーが述べてた。

聞き間違いかな? ・・・ と おもったら、昼間には“ルームランナーで”などと報道してたらしい



負荷心電図というものがあるということを警察とNHKは知らない様だ

http://lohasmedical.jp/blog/2009/07/post_1878.php#more
TB:http://lohasmedical.jp/mt/trackback/2159


”トレッドミルによる負荷心肺機能検査”は循環器必須の検査なのに・・・ルームランナー呼ばわり


山本病院・架空請求がホントだとすると、とんでもない詐欺事件で、厳罰に処してほしい。

だが、私たち一般医家が恐れるのは・・・警察・マスコミによる”素人情報”の流布による医療の現場への混乱である。

同様に、虚血性心疾患の診療のやり方を誤解した報道が多くある。

病院関係者によると、山本容疑者は生活保護受給者が入院・転院してくると、ランニングマシンを使って心拍数を測定する検査をしたり、心拍数を上げる薬を投与したりして心電図を取り、不整脈や狭心症と診断。患者に心臓カテーテル検査を勧めていた。
http://www.47news.jp/CN/200907/CN2009070201000551.html


ランニングマシンを使って心拍数を測定する検査をしたり、心拍数を上げる薬を投与したりして心電図を取り、不整脈や狭心症と診断”が誤りと思ってるようだ。


あまりにお粗末


慢性虚血性心疾患の診断と病態把握のための検査法の選択基準に関するガイドライン(2005年改訂版)(pdf
運動負荷心電図について
慢性虚血性心疾患において,狭心症の診断,冠攣縮の誘発,心筋梗塞後の心筋虚血の診断,重症度の評価・予後の予測,治療効果の判定などに広く利用される.本法の問題は,診断感度(68 %)と特異度(77 %)が特に高いとはいえない点にある.


薬物負荷試験について
高齢者では筋力低下・筋萎縮により運動負荷試験の実施が難しく,代替として薬物負荷試験を選択することが多い.運動負荷試験の解釈では,冠動脈疾患の有病率・重症度が高いため診断感度は高いが特異度は低くなり,偽陰性が多い.このように高齢者における運動負荷試験は実施と解釈のどちらも難しいが,虚血性心疾患の診断と予後における重要性は若年者の場合と変わらない


病院職員の話からメディアはそのまま流しているのだろうか?・・・だとしたら、その医療・医学知識に疑問が生じる。話を曲解したメディア側に問題があるのだろうか?

いづれにせよ、医学的監修がなされて報道されるべき・・・飯野奈津子の妄言を垂れ流すようなテレビ局だから・・・まぁ無理か

いづれにせよ、医療機関側は、患者に検査前確率(pretest probability)を提示して、その意義とリスクを提示の徹底をしなければならないだろう。

by internalmedicine | 2009-07-04 10:21 | メディア問題  

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