卒中後患者のリハビリテーション:口さきだけの指導じゃ、効果ありません

紹介の論文の結論・・・・卒中後の患者に、口先だけの運動を、口頭指導だけして、はたして、まともなアウトカム改善がなされるか?・・・されるはずもない・・・だろうに・・・

いつものごとく、脱線・・・
日本の厚労省官僚たちは、算定日数制限にて、卒中後の患者のリハビリテーションを放棄させようとした(2006年診療報酬改訂)。

そして、いわゆる利権だらけの”パワーリハビリテーション”(パワーリハビリテーションに関する・・・・シリーズ(1)(2))があった。

方向性として、すべて間違いと言えないと思うが、現場無視、特定業者・研究者だけの意見による独善的導入などで、フィロソフィーのないその場だけの医療施策が行われてきた。


・・・と、いつものごとく、厚生官僚・行政批判をおこなって・・・



ExStroke Pilot Trial of the effect of repeated instructions to improve physical activity after ischaemic stroke: a multinational randomised controlled clinical trial
Gudrun Boysen, Lars-Henrik Krarup, Xianrong Zeng, Adam Oskedra, Janika Korv, Grethe Andersen, Christian Gluud, Anders Pedersen, Marianne Lindahl, Lotte Hansen, Per Winkel, Thomas Truelsen, for the ExStroke Pilot Trial Group
BMJ 2009;339:b2810 (Published )【目的】 虚血性卒中患者へのくりかえし言語的指導が長期身体活動に影響を与えるかの検討

【デザイン】 Multicentre, multinational, randomised clinical trial with masked outcome assessment.

【セッティング】 Stroke units in Denmark, China, Poland, and Estonia.

【被験者】 40歳以上の歩行可能虚血性卒中患者314名、介入群:157 (平均年齢 69.7 歳)、対照群 157 (平均年齢 69.4 歳) にランダム割り付け

【介入】 介入群は退院前の詳細なトレーニングプログラムを指導、24ヶ月間に5回フォローアップ
対象患者も同じ回数受診するが、身体活動指導行わず

【主要アウトカム測定】 Physical activity assessed with the Physical Activity Scale for the Elderly (PASE) at each visit. Secondary outcomes were clinical events.

【結果】推定平均PASEスコア 介入群 69.1、対照群 64.1(差異 5.0(95%信頼区間 -5.8~15.9)、P=.36
介入にて死亡率、再発卒中、心筋梗塞、転倒・骨折に有意な影響なし

【結論】 身体活動性反復奨励・口頭指導は、PASEスコア評価身体活動性の有意な増加につながらない
虚血性卒中より強化的戦略が身体活動性促進のためには必要であろう。


観察研究において、中等度の身体運動は心血管疾患・初回卒中のリスクを軽減することが報告され、身体活動は、卒中再発リスクへも影響を与えるか期待がもたれているが、まだ不明。しかし、血圧、血糖代謝、コレステロールなどへの影響のための好影響のため、卒中生存者への身体運動は推奨されている。
身体活動カウンセリングに関して、とじこもり老人へのある程度の効果、糖尿病・高血圧・高コレステロール血症・過体重老人患者への効果に関していくつかの効能が報告されている。
しかし、全体的に見ると、システミック・レビューにてその効果のエビデンスは限定的で、ランダムトライアルはほとんどなさrてないし、トライアル期間は3-6ヶ月のみと限定的。

ExStroke パイロット・トライアルでは、口答指示を主体とした介入で、PASEによる評価した卒中患者の身体活動性増加をもたらすか検討したものであった。

by internalmedicine | 2009-07-31 09:22 | 運動系  

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