肺がん:MDCTによる結節の倍加時間管理に関する報告

MD-CTにより、非石灰性の肺結節が多く検出され、肺がんリスクのある無症状患者で、ベストなアクションをいかにすべきか臨床家に突きつけられた問題で、特に、CTベースの検診の問題点である。・・・要するに、取り扱いがまだはっきりしてないということ。

Dutch–Belgian randomized lung cancer screening trial (Nederlands-Leuvens Longkanker Screenings Onderzoek [NELSON])

これは、検診における偽陰性率増加することなく、高価でない、単純なフォローアップ戦略を探るもの
volume、volume倍加時間を用いて評価した研究

結論:volumetric methodにて、CTスキャンによる肺がん発見機会、ベースライン陰性所見対象者に関して、1000に対し、1年後1、2年後3

Management of Lung Nodules Detected by Volume CT Scanning
NEJM Vol. 361:(23) 2221-2229 Dec. 3, 2009

MDCT陰性所見後の絶対的スタンダードとして、2年後フォローアップがなされ、倍加時間400日閾値をベースにした検討がなされていたが、今回上限は600日を上限としている。・・・これが絶対というエビデンスもなく、結論として曖昧な部分を残している。。



一方、米国の検診予防に関する権威団体 USPSTF(U.S. Preventive Services Task Force)はいまだ、肺がんに対する、無症状対象者対象の、low dose computerized tomography (LDCT)、胸部レントゲン (CXR)、喀痰細胞診、これらの組み合わせに関して反対が明言(推奨 I)されてます。
(参考:http://www.guideline.gov/summary/summary.aspx?doc_id=4580&nbr=3370


低線量CTによる悪性・良性所見鑑別に関して存在診断では十分な効果があるようですが、質的診断には疑問が呈されてます(Ability of Low-Dose Helical CT To Distinguish Between Benign and Malignant Noncalcified Lung Nodules (Chest. 2007; 131:1028-1034))。特に、この論文の中で、”ヘリカルCTは高感度・高特異性であるが、未診断結節を多く検出するが、悪性例は少ない”とされ、結果的には、多くの事例にその後の不必要な放射線被ばくや医療費高コストをもたらすことを提示してます。

医療用放射線、特に、CTの利用度が高まり、それによる放射線被ばくの有害性の関心が高まってます。米国の報告だと、David J. Brennerらの報告(NEJM Vol. 357:2277-2284 Nov. 29, 2007 No. 22)だと、全がんの1.5から2.0%程度が、CT放射線利用による影響とされてます。日本の方がはるかの多いCT利用頻度ですから、影響は大きいでしょう。
典型的な放射線量は、歯科放射線では0.005(mGy)、胸部レントゲンでは肺 0.01、マンモグラフィーで胸部 3.0ですが、腹・腹部CTでは10と、桁違いの3桁危険性が増加します。



さて、この放射線の有害性とMDCTの有効性どのようなバランスをとるか・・・解決されてない問題である


有益性・有害性に関して曖昧な、肺がんMDCT検診をごり押しする事態が私の周りで起きようとしている。
お偉いさん同士の話し合いで決まったようだが、難儀なことになりそうだ。

by internalmedicine | 2009-12-03 10:08 | がん  

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