抗生物質: 新しい薬がない

製薬会社の製品開発ってのは、より公共性が高いのは確か・・・特に、抗生剤開発に関して、それなりの国家的気配りが必要だろう。・・・日本政府はその努力をしてるのだろうか?

US and European experts applaud new transatlantic task force on antibiotic resistance threat
Published: Friday, November 6, 2009 - 16:46 in Health & Medicine


”transatlantic task”

Urgently needed: new antibiotics
The Lancet, Volume 374, Issue 9705, Page 1868, 5 December 2009


抗生剤耐性菌がヒトの健康を脅かす最大の脅威となってきているとWHOが認識を示し、EUでは、毎年2万5千人多剤耐性菌感染で死亡、医療コストを増加させ、年に15億ユーロも費やす。
米国では、MRSA単独で、9万4千名近く死亡し、HIV/AIDS、パーキンソン病、肺気腫、自殺などより多い。

けれど、現行の抗生剤に置き換わる薬剤の開発の予定が乏しい。doripnemのみが2006年以降承認された唯一の薬剤という現状である。


”Bad Bugs, No Drugs: No ESKAPE! ” とIDSA(2009年1月1日)
IDSA Report on Development Pipeline • CID 2009:48 (1 January) • 1

EUレポートでは、現行の薬剤の効果を超えるよう開発中の薬剤が15あるが、第三相到達は5種のみ
製薬会社としては、抗菌的薬剤開発に魅力を感じない。多分に治療期間が短く臨床的需要が限られ、耐性菌の出現でその有用性がすぐ消失してしまうため、マーケット維持できないという事情がある。

USAとEUは、今後10年、 ”10 × ′20 Initiative”と称して、抗生剤承認を急ぐ動きに出ている。

米国大統領Barack Obamaとスウェーデン総理Fredrik Reinfedt(EU代表)がワシントンDCで、11月2-3日サミットを開いた結果である。
・・・

EU・米国政府はなんらかのアクションをとったが、それが、どの程度の効果をもたらすか、現実に、どれほどのコストを掛けられるか、そして、完成可能か?学術・製薬研究がどの程度その困難さを克服出来るか?


薬価逓減は当然としても、臨床における必須ドラッグを販売維持できるような心配りとともに、新規薬剤開発に対して、グローバルに人類貢献という面でもなんらかの、政府の手助けが必要だろう。

by internalmedicine | 2009-12-05 09:05 | 感染症  

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