テレビを見るほど寿命が短くなる

オーストラリアの研究者たちは、テレビ視聴1時間あたり、11%ほどの死亡率増加をもたらし、心血管疾患では18%ガンでは9%リスク増加。そして、視聴時間2時間未満に比べ、時間増加ごとに心血管疾患は80%、全原因では46%のリスク増加を認めることを見いだした。テレビ視聴と死亡の関係は、喫煙・高血圧・抗コレステロール・不健康ダイエット、過剰体重、運動などの心血管リスク要因補正後もみられたのである。

彼らは、テレビ視聴や、コンピュータ使用、デスクワークなどで、体を動かさず時間を過ごすことが、このリスク増加の主な原因と考えているようである。

Television Viewing Time and Mortality. The Australian Diabetes, Obesity and Lifestyle Study (AusDiab)
Circulation Published Online on January 11, 2010
http://circ.ahajournals.org/cgi/content/abstract/CIRCULATIONAHA.109.894824v1
D. W. Dunstan et. al.

その後の全原因、CVD、がん死亡率(フォローアップ中央値、6.6年)テレビ視聴時間を8800名の25臍囲上のAustralian Diabetes, Obesity and Lifestyle Study (AusDiabで調査

58087人年フォローアップで、死亡 284(CVD死 87、がん死 125)

年齢、性別、ウェスト径、運動補正後、テレビ視聴1日 1時間あたりのハザード比 
全原因死亡 1.11(95%信頼区間  [CI], 1.03 - 1.20)
CVD死亡 1.18 (95% CI, 1.03 - 1.35)
ガン死亡  1.09 (95% CI, 0.96 - 1.23)


テレビ視聴<2時間/日に比べ 全補正全原因死亡率は2時間以上4時間未満で  1.13 (95% CI, 0.87 - 1.36)、4時間以上で 1.80 (95% CI, 1.00 - 3.25)

ガン死亡率、非CVD/非ガン死亡率との相関は有意でなかった。




テレビ視聴の悪影響は、sedentary time spending、すなわち、体を動かさない時間の増加だけでなく、メディアバイオレンスの関係もある(メディアバイオレンスのレビューとガイドライン  2005-02-20)。

また、科学的とはいえない情報の提供による視聴者への情報(e.g. あるある(Aruaru)は国際用語へ?・・・Nature掲載:規制と外部監視機関が必要 2007-02-22 )などの視聴者に有益といえない情報を与え、特定商品へ導くミスリードなどの影響。

それに、最近目立つ、エビデンスがあるとはとても思えない、いわゆる健康食品・サプリメントの過剰な宣伝など、テレビ視聴は複合的に身体に悪影響を与える。


テレビというメディアが、自浄機構をもたない汚れたものであることは、これらのテレビ視聴の悪影響を報道しないことでも明らか。

by internalmedicine | 2010-01-12 16:35 | 動脈硬化/循環器  

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