損賠訴訟:「身体拘束」違法認めず 入院患者側が逆転敗訴--最高裁初判断

高裁判決時点での動きを顧みると、介護保険上の”身体拘束ゼロ”が医療へ影響を及ぼす社会的機運だったような気がする。身体拘束ゼロといいながら、矛盾だらけの手引き(http://www.wam.go.jp/wamappl/bb05kaig.nsf/vKaigoHokenKanren/1a06bd1862325ece49256a08001e5e43?OpenDocument)・・・たとえば、”手すりをつけ、足下にものを置かない、車いすに工夫をする、部度を低くすることで危険性は相当程度低下することが明らかになっている”と書かれてるが、無くなるとは書かれてないし、そもそも科学的根拠が示されてない(介護保険関係でよく見られる、情緒・直感に訴える)詐欺的記述である。

現実把握より、夢想的な概念で、制度構築することに様々な矛盾が萌出するのだ。現政権執行部自体が夢想的でそれがますます悪化することを危惧する。エビデンスベースな報告の積み重ねで、介護・医療の制度構築がなされることを望みたい。

患者拘束の違法性否定 最高裁、受傷防止など例外認める
http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=20061



病院での拘束、最高裁が必要性認める 患者側が逆転敗訴
http://www.asahi.com/national/update/0126/TKY201001260167.html
 一宮西病院のコメント 医療の現場では、患者さんの「人権を守ること」と「安全を守ること」が何よりも重要だと考えています。ただし、時に、「人権」と「安全」が両立できない場合があります。今回の判決は、私どもで取った対応が誤ったものではないとの判断をいただいたものと理解しています。



損賠訴訟:「身体拘束」違法認めず 入院患者側が逆転敗訴--最高裁初判断
http://mainichi.jp/select/science/news/20100126dde041040003000c.html
 ■解説
 ◇深い現場の苦悩、明確な基準必要

 特別養護老人ホームなど介護保険施設を巡っては、厚生労働省が01年、身体拘束が許される場合として(1)生命身体の危険が著しい(2)代替方法がない(3)一時的--の3要件を示した。「人間の尊厳を冒し寝たきりにつながる」と不必要な拘束への反省が全国に広がったためだ。だが、医療機関での拘束の可否や基準を規定した法令などが存在せず、病院側は「現場が混乱している」と最高裁に明確な基準を示すよう求めた。

 最高裁は明確な判断基準は示さなかったが、「緊急でやむを得ず行った行為かどうか」など、危険の切迫性、代替方法の有無、身体拘束時間を検討した。3要件に沿った形であり今後、同種訴訟に影響を与えるだろう。

 最高裁は今回、拘束の違法性を否定したが、幅広く身体拘束を認めたわけではない。一方で、身体拘束を避けた結果、ベッドから転落死した患者側が賠償提訴する例もあり、医療現場の苦悩は深い。独自ルールを設ける病院も多いが、統一的基準があれば訴訟リスクは減り、安易な拘束がなくなれば患者の安心にもつながる。議論を深め早急に明確な基準を作るべきだろう。【銭場裕司】



認知症患者の身体拘束「適法」 最高裁、病院側勝訴が確定
http://www.47news.jp/CN/201001/CN2010012601000291.html


産経
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高裁当時にさかのぼる・・・

http://www.geocities.jp/aichi2rentai/medical/html
9月5日 一ノ宮西病院身体拘束事件 全面勝訴!! (ニュース転載)

 愛知県一宮市の病院に入院した岐阜県大垣市の女性=当時(83)=が病院のベッドに身体を不当に拘束され苦痛を受けたとして、家族2人が病院を経営する医療法人「杏嶺会」に600万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が5日、名古屋高裁であった。西島幸夫裁判長は請求を棄却した1審判決を変更、違法な身体拘束があったと認め計70万円の支払いを命じた。

 判決理由で西島裁判長は「拘束しなければ重大なけがをするという切迫した危険性があったとは認めらない。緊急避難行為として例外的に許されるという事情もなく、違法な対応だ」と述べた。

 判決によると女性は平成15年10月、腰痛で一宮西病院に入院。徘徊する症状があり看護師はひも付きの手袋でベッドに拘束、女性は手首などにけがをした。18年9月に死亡した。

不要な身体拘束は違法だと訴えた入院患者側の主張を認めて、愛知県一宮市内の病院側に賠償を命じた5日の名古屋高裁判決の理由要旨は次の通り。

 ◆違法性の判断基準

 身体抑制や拘束の問題を見直し、行わないようにしようという動きは主に介護保険施設や老人保健施設を中心に見られたが、高齢者医療や看護にかかわることのある医療機関などでも問題は同様で、少なくともこれら医療機関では一般に問題意識を有し、あるいは有すべきだった。

 身体抑制や拘束が、厚生労働省がまとめた「身体拘束ゼロへの手引き」に示されているような身体的弊害、精神的弊害及び社会的弊害をもたらすおそれのあることは一般に認識されており、また当然に認識できる。

 そもそも医療機関でも、同意を得ることなく患者を拘束して身体的自由を奪うことは原則として違法だ。患者または他の患者の生命・身体に危険が差し迫っていて、他に回避する手段がないような場合には、同意がなくても緊急避難行為として例外的に許される場合もあると解されるが、その抑制、拘束の程度、内容は必要最小限の範囲内に限って許される。右記の手引きが例外的に許される基準としている切迫性、非代替性、一時性の3要件が判断要素として参考になる。

 ◆本件抑制の違法性

 本件抑制で、患者や家族から事前に同意を得た事実はない。抑制しなければ、転倒、転落により重大な傷害を負う危険性があったとは認められない。患者の夜間せん妄については、病院の診療、看護上の適切さを欠いた対応なども原因となっている。特に、おむつへの排泄(はいせつ)の強要や、不穏状態となった患者への看護師のつたない対応からすれば、本件抑制に、切迫性や非代替性があるとは直ちには認められない。




「一宮身体拘束事件」の名古屋高裁・傍聴記 (http://maya-net.jp/?p=262)によると、
原告は、圧迫骨折の痛みで入院するまで普通に生活していました。入院してほどなくマイスリーという眠剤を10mgずつ(多い!)投与され、眠剤の蓄積でボーっとし、ふらつき、転倒し、車椅子になり、オムツになり、せん妄がでたということで個室に隔離され、身体拘束された。安易でアセスメントもなく減量もせずに長期に投与された眠剤。これら複合的要因による混乱とせん妄、そして身体拘束。という 記録を見る限りでは残念ながら、水準が高いとはいえない看護の状況。
だそうだが・・・


”マイスリー”は、ハルシオンなどと異なり、「筋弛緩作用」や「依存」が少なく、転倒などのリスクが少ない。おそらく、施設側の配慮はなされれてたと思う。


頻回なナースコールによる他患者へのケアの質量の低下は他の事故を呼ぶ可能性がある。

高裁当時の裁判時点では、”人手不足、人的要因不足”などの社会背景や、認知機能低下患者の増大やそれに見合わない低診療報酬などの社会体制の不備の話にはなってない。”身体拘束、すなわち悪”であり、ある医療施設・看護師が低レベルでそれを知らなかったからこういうことになったんだというプロパガンダの方が優先されていた。

現時点では、各病院・医療機関は、身体拘束必要と思われる時には、家族を呼び出し、同意書をもらうことが前提となっている。この場合、患者家族が呼び出しに応じられない場合などが問題。

せん妄危険性が想定されたなら、なるべく入院措置は回避すべき・・・という動きが活発化せざる得ない。
結果的に、入院を希望する患者・家族にとっても不幸なことである。患者家族の事情が入院を優先するときには、そのリスクをあらかじめ告知し、拘束措置せざる得ないことなど話し合っておかなければならない。
同意が得られないときには、入院という医療契約を締結することはできないだろう。

今後、”身体拘束”を通して、医療という契約が存在することを、医療機関側も、患者・家族側も、銘記すべき。

by internalmedicine | 2010-01-26 18:44 | 医療と司法  

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