無症候性脳梗塞は腎不全予測因子

いわゆる、無症候性脳梗塞(silent cerebral infarction:SCI)は、MRIで観察されるが、その所見が、2型糖尿病患者の腎不全を予測することとなると日本人研究者の発表(http://www.medpagetoday.com/Nephrology/Diabetes/18195

Cerebral Microvascular Disease Predicts Renal Failure in Type 2 Diabetes
Uzu et al. J Am Soc Nephrol.2010; 0: ASN.2009050558v1-ASN.2009050558

現行では、アルブミン・クレアチニン比が標準的目安だが、2型糖尿病患者のmicroalbuminuriaの非存在下でも腎不全予測が可能となった。ただ、高価すぎて、予後検査としては不適切。腎内・腎外微小血管疾患の存在の決定手段として何らかの別の簡便な方法の開発が必要。

608名の2型糖尿病患者で、脳血管、心血管、あきらかな腎疾患のない対象者で、平均年齢約60歳で、Hb A1c 8.6%程度。ベースラインの脳MRIで、177のsilent cerebral infarctionあり、この定義は、最小3mm直径のlocal lesionで、T1強調低シグナル、T2強調高シグナル。拡張血管周囲スペースをproton density scanで鑑別し、病歴患者を除外。
ベースラインのsilent infactionの存在患者はやや高齢(63 vs 57)で、糖尿病病歴が長い(9.8年 vs 7.6)で、血圧高値(145.8 mmHg vs 136.5 mmHg)で、喫煙歴が多い(58% vs 46%) (すべて P<0.01)
一方ベースライン血糖や糖化ヘモグロビン値は、silent infactionを有する患者の方が低値: 血糖: 平均 163 mg/dL versus 176 、 HbA1c 8.3% versus 8.7% (P≤0.01 for both)

10年まで、平均7.5年フォローアップで、プライマリアウトカムをESRD(終末期腎疾患)もしくは死亡として、セカンダリアウトカムをsCrの倍加と透析複合エンドポイントとした。


silent infaction存在・非存在 Kaplan-Meier カーブにて、プライマリエンドポイントは最初の4年は同率で、その後急激に乖離。8年後、非梗塞群で約6%がプライマリアウトカムに達するのに対して、silent 梗塞群では21% (P<0.0001)
セカンダリアウトカムは、3年から乖離。8年で6% vs 30%となる(P<0.0001)

包括的には、ベースラインsilent cerebral infarctionの存在による、プライマリアウトカムのハザード比は 2.44 (95% CI 1.36 to 4.38)
死亡単独では、低下(1.61, 95% CI 0.71 to 3.62)で、プライマリアウトカムのかなりが終末期腎疾患と関連することが示唆された。



無症候性脳梗塞(silent cerebral infarction:SCI)
http://www.jsts.gr.jp/guideline/075-075.pdf

無症候性脳梗塞の予防に、高血圧をはじめとする危険因子、関連病態 (心房細動、内頸動脈高度狭窄など) の管理が推奨されるが、それにより症候性脳梗塞の発症が予防できるか否かには十分な科学的根拠に乏しい (グレードC1)



・・・かくれ脳梗塞などとあおる医療関係者・メディアがあるのだが、上記報告が悪用されませんように・・・

偶発的なMRI異常 2007-11-03

by internalmedicine | 2010-01-29 11:32 | 糖尿病・肥満  

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