2004年 11月 04日 ( 3 )

 

インフルエンザワクチンを筋注から皮内注にかえたら注射量節約・・・・日本の皮下注は?

今回NEJMで報告されている量は1/5~2/5の量の皮内注。
後述の報告の量が少なすぎるのか、我々日本の皮下注射はどうなのか?
投与量が多すぎるのか?



日本での投与方法と比べてみると
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1ml中各株のHA含量(相当値)は1株当たり30μg以上
成人標準量は15μg(6-13歳は0.3mlなので9μg、1-6歳は0.2mlなので6μg、1歳未満は3μg
に、1回又はおよそ1~4週間の間隔をおいて2回注射する。ただし、6歳から13歳未満のものには0.3mL、1歳から6歳未満のものには0.2mL、1歳未満のものには0.1mLずつ2回注射する。
http://www.info.pmda.go.jp/psearch/html/menu_tenpu_base.html
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日本の投与方法である皮下注による量は外国の筋注と同じ量であるわけで、どのような影響を及ぼしているかわかりませんが・・・

本来、即効性を重んじるなら筋肉内投与(筋注)で、抗体産生を望むなら吸収の少ない皮内注が合理的であるはずですが、外国では筋注が主体のようです。
(日本で皮下注なのは訴訟がらみ・・・けがの功名?)


USではインフルエンザワクチン不足は深刻なようで、“皮内注による節約が有効?”ということで、量の節約にもなるということらしいです。
皮内は結構難しいし、時間もかかるので・・・どうかなぁ?


Serum Antibody Responses after Intradermal Vaccination against Influenza
www.nejm.org November 3, 2004 (10.1056/NEJMoa043555)
http://content.nejm.org/cgi/content/abstract/NEJMoa043555
http://content.nejm.org/cgi/reprint/NEJMoa043555v1.pdf 
皮内注:6 μg hemagglutinin for each antigen
筋肉注: 15 μg of hemagglutinin
18-60歳の患者で、血中抗体の反応は意味があり、皮内と筋内内投与との差はなく、全員HAI抗体は少なくとも1:40と上昇していた。
60歳超える場合も十分な反応があったが、筋肉注射の方が良好な反応がある傾向があった。しかし、H3N2種の抗原のみ有意差があった。筋肉内投与群の高齢者群の100%と皮内投与群の93%はH3N2種ではHAI抗体1:40以上。
H1N1,B種ともに、皮内注・筋肉注両群とも高い抗体値
局所疼痛は優位に筋肉注射のほうがより多いが、60歳以上は差異がない。
局所炎症の兆候は優位に筋肉注より皮内注群で多い。




Dose Sparing with Intradermal Injection of Influenza Vaccine
www.nejm.org November 3, 2004 (10.1056/NEJMoa043540)
http://content.nejm.org/cgi/content/abstract/NEJMoa043540
http://content.nejm.org/cgi/reprint/NEJMoa043540v1.pdf

標準量の1/5量のインフルエンザワクチン皮内注
21日目に
H1N1 strain:15.2
H3N2 strain:19.0
B strain:12.4

標準量の筋肉注
H1N1 strain:14.9
H3N2 strain:7.1
B strain:15.3


21日目にセロコンバージョン(66-82%)やセロプロテクション率(84-100%)は同様。
局所反応は筋肉投与患者より筋肉投与がより頻回だが、軽度で一過性。
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医療機関を悪者にしている厚労省のくそ役人どもに言いたい→インフルエンザワクチンが足りないなら、半分量にしても有効だった?

by internalmedicine | 2004-11-04 16:17 | 呼吸器系  

今回もARB>ACE阻害剤ということはなかった(糖尿病腎症)

ARB(アンジオテンシン受容体遮断剤)がACE阻害剤を凌駕するという報告なんて今まであるのだろうか?

今回も歯切れが悪いが、決してACE阻害剤にARBが勝るということは無いようである。

Angiotensin-Receptor Blockade versus Converting–Enzyme Inhibition in Type 2 Diabetes and Nephropathy
http://content.nejm.org/cgi/content/short/351/19/1952
NEJM Volume 351:1952-1961 November 4, 2004 Number 19

ARBやACE阻害剤は腎保護的だが、糖尿病患者での直接の長期比較はなされてない。
前向き多施設二重盲験試験を施行、telmisartan(ARB)とenalapril(ACE阻害剤)を糖尿病二50名に使用して比較。結果両者ともGFR(糸球体濾過量)減少は同等。
telmisartanはenalaprilより劣っていないという結論。


5年次の変化
telmisartan:17.9ml/min/1.73 BSAm2
enalapril:14.9ml/min/1.73 BSAm2
:-3.0ml/min/1.73 BSAm2

enalaprilの方が望ましく思え

telmisartanが4年時劣っているように見えるのだが・・・
http://content.nejm.org/cgi/content/full/351/19/1952/F1

"結論としては、劣ってない!"てのは歯切れが悪い!

ACE阻害剤の副作用の咳嗽だって必ずしも悪いわけではないのだから、安価なACE阻害剤を考慮してから、ARBが正しいと思う。

by internalmedicine | 2004-11-04 12:04 | 動脈硬化/循環器  

イラク侵攻:10万人の戦争による死亡

Violent deathsってのはどう訳すんだろう。暴力的死亡・変死・暴力的な死、ググってみるといろいろあるようです。兵器による受傷なども含むのでしょうか?

10万ほどの米英などの連合軍による超過死亡という犠牲者がイラク侵攻により生じているらしい

Mortality before and after the 2003 invasion of Iraq: cluster sample survey
http://www.thelancet.com/journal/vol364/iss9445/full/llan.364.9445.early_online_publication.31137.1
イラク侵攻(侵略?)後、侵攻前に比べ2.5倍(95%CI 1.6-4.2)の死亡リスク増加と推定。2/3のViolent deathsがファルージャ市の1集団であったとの報告。ファルージャ市のデータを除外したら1.5倍(95%CI 1.1-2.3)の死亡リスクであった
ファルージャ街の侵攻後の予測8000-19400より98000多い死亡と推定、ファルージャ街の集団を加えれば、さらに多くなる。
侵攻前の主な死因は心筋梗塞、脳梗塞、他の慢性疾患であるが、侵攻後はViolent deathsが主な死因
Violent deathsは広がり、33集団のうち15集団で報告、主に連合国軍によるものである。
33個のクラスタのうちの15個で報告されて、猛烈な死は広範囲で、連合軍に主として起因しました。伝えられるところによれば、連合軍によって殺されたほとんどの個人は女性と子供でした。侵入の後の期間の暴力からの死の危険は戦争の前の期間によりも58倍高かった(95%のCI 8· 1-419)。
violent deathsは広がり、33集団中15で報告され、主に連合軍に起因する。
連合軍に起因する死亡の多くは女性と子供である。
violeceによる死亡リスクは侵攻前の58倍(95% CI 8·1-419) 多い。


すでに紹介されていた・・・
http://www.jca.apc.org/wsf_support/messages/2891.html

2ちゃんねるも
http://news16.2ch.net/test/read.cgi/scienceplus/1099029783/

<追加>
反戦団体が劣化ウランに執着する理由が私にはちっともわからないのだが、ここで紹介の内容の方が事実らしく思え、・・・わたしは彼らの意見に反感すらわいてくる。化学毒性ならともかく放射線被害というのは納得できないので・・・
共感を得たいのなら因果関係不明な写真を多数掲載したビラを配るより、背景のしっかりしたできるだけ押さえた科学的根拠を示した方がしっかりとした共感をうることができると思う。

by internalmedicine | 2004-11-04 11:49