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重症でない小児肺炎でペニシリン系薬剤は3日でよい  というのと小泉・ブッシュに対する愚痴


市場主義と医療・福祉というのは根本的には相容れないものとわたしなどは思っております。どうも日本医師会というのがイメージが悪いせいか、また、小泉の経済界べったりの施策が景気回復至上主義と合致したせいか、小泉サイドの戦略にうまくやられている気がします。広告主である経済界に背を向けることはできないマスメディアの情報の非対称性にまどわされているというわけです。


日本の低医療政策は数値上も実態がではじめ、現場の悲鳴があり、理解しようとする人々には小泉の低医療政策の問題点がかたられている(Google検索)のだが、一般の人には伝わってないのです。インターネットで情報をあつめている賢明な方々はこのことを気づきはじめているのではないかとおもうのです。
小泉はサッチャーイズムと同じ間違い()を犯しているのですが・・・


小泉の盟友であるブッシュは、自国の医薬品産業をまもるため、先進国のHIV感染者を救うはずの施策をぶち壊しにしようとしております。
英国医学雑誌
米国至上主義にとって、日本の利益と合致している部分・・輸出産業などはよろしいのでしょうが、そのほかの分野にとっては、ブッシュ政権・それに盲従する小泉は将来の日本にとってほんとによいのでしょうか?

小泉の好ましい部分もあると個人的にはおもっておりますが、医療施策に関してはサッチャーの失敗そのものです。


で、やっと本題ですが、子供の重症でない肺炎治療に関して、ペニシリン系の一番安い薬剤であるアモキシシリン3日で十分であるという検討結果が出ました。
ただし、よく読むと、重症でないことと、RSウィルスなどの感染症を否定し、また、効果のないことを否定するためにはマイコプラズマ肺炎などの否定が必要なわけですから、薬剤を2日間へらすことにどれほどの意味があるのか?よくわかりません。ペニシリン系の一番安い薬剤ですので、製薬会社自体も大して儲からないどころか、かえって売り損のようなやくざいですので・・・
また、RSウィルス・溶血連鎖球菌や一部マイコプラズマなど診断が最近は迅速診断が発展しておりまして、この検査をするだけで薬剤費をはるかにしのぐこととなります。

結論としては、重症でない肺炎ペニシリン系薬剤を処方するんだったら3日間で十分というだけの論文となるのでしょう。

“the ISCAP Study Groupが2188名の肺炎患児を対象にアモキシシリン投与5日間と3日間を比較”

Three day versus five day treatment with amoxicillin for non-severe pneumonia in young children: a multicentre randomised controlled trial
http://bmj.bmjjournals.com/cgi/content/full/bmj;328/7443/791
BMJ 2004;328:791 (3 April)
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除外)
・重症:チアノーゼ・痙攣・飲水不能・覚醒困難・重症の栄養不良、喘鳴
・抗生剤必要な他の理由あり


Oral amoxicillin 31-54 mg/kg/day 分3
日本では20-40mg/kg/日 3-4回に分ける

3日vs5日
治癒率:89.5% vs 89.9%(絶対差 0.4(95%CI -2.1-3.0)
Adherence:94% vs 85%
フォローアップ不能5病日で5.4%、死亡無し、41の入院、36のマイナーな副作用
登録時513(23.4%)の子供がRSウィルスで陽性、鼻咽頭部で溶連菌、インフルエンザ菌が878(40.4%)、496(22.8%)で同定。
治療失敗は、RSウィルスの同定(オッズ比1.95 1.0-3.8)、呼吸回数過剰(>10/分 Odds 2.89(1.83-4.55))、治療のnon-adherence(オッズ比 11.57(7.4-18.0))
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by internalmedicine | 2004-04-02 10:22 | 呼吸器系  

人工呼吸離脱にマニュアルはそぐわない

世の中マニュアル手技で、プロトコールをつくり、なんかそれで医療費を決めるという動きのようですが、
人工呼吸でさえ、グループの経験と勘の方も、一応考えられたプロトコールに従うのと、成績がかわらないということだそうです。
これって、クリニカルパスの反証になりませんかねえ(トリビア風・・)





プロトコールに従った人工呼吸離脱の前向き研究
A Prospective, Controlled Trial of a Protocol-based Strategy to Discontinue Mechanical Ventilation

American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine Vol 169. pp. 673-678, (2004)

プロトコールに従った群:通常群
人工呼吸離脱:74.7% vs 75.2%
人工呼吸期間:60.4[28.6–167.0] vs 68.0 [27.1–169.3]時間
病院内死亡率:36.4% vs 33.1%
ICU滞在期間:115 vs 146時間
人工呼吸再挿入:10.3% vs 9.0%

by internalmedicine | 2004-03-06 10:39 | 呼吸器系  

慢性閉塞性肺疾患COPDの新しい予後指標 BODE

COPDは以前から“青ぶとり”"(blue bloater:青い薫製ニシン")と“赤やせ”("pink puffer:赤いフグのような膨らみ")にわけられる。
#日本人には薫製ニシン(写真)とフグ(写真)をなぜ使うのかわけがわからない・・・

“pink pfferは無力な樽状の胸郭をしていて、口すぼめ呼吸をして、チアノーゼや浮腫は少ない。胸郭外の補助呼吸が見られ、喀痰は少なく、呼吸機能の変動は少ない。横隔膜の拡大は減少し、呼吸心音は遠い。ただし、樽状の胸は特異的ではなく老人では肺コンプライアンスが高く、残気量が増えるので普通見られる。
blue bloaterは典型的には肥満、チアノーゼ、浮腫があり、喀痰量が多い。老人のblue bloaterがすくないのは肺性心が多く、すぐ死ぬからではないか・・
なんて、COPDとなじみの深い会社のテキストには書かれております。




ところで、BODEというあたらしい指標で予後を推定した試みがあります。
やせの指標としてのBMI(B)、気道狭窄の指標(O)、呼吸困難度(D)、運動能力(E)を指標にというわけです。
MRCスケールを呼吸困難度として使ってるので、DとEがかぶるような気もするのですが・・・まあよいとしましょう。

これで予後指標を提示したうえで、呼吸苦、気道閉塞ももちろん体重をふやすのは簡単そうでCOPDでは難しいのですが、努力をうながすのにはよいかもしれません。
BODE1/4以下の群では残念ながら50%生存率35週程度です。これも事実です。

The Body-Mass Index, Airflow Obstruction, Dyspnea, and Exercise Capacity Index in Chronic Obstructive Pulmonary Disease
NEJM Volume 350:1005-1012 March 4, 2004 Number 10

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a0007242_16564136.jpg



0-2:y = -4E-05x^2 - 0.0016x + 1.0102
回帰図

3-4:y = -0.0001x^2 + 0.0008x + 0.9837
回帰図


5-6:y = -0.2528x^2 - 0.2231x + 1.0211
回帰図

7-10:y = y = -8E-05X^2 - 0.0125x + 1.0785
回帰図

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関係ないのですが、MRCの呼吸困難度スケール0~4で記載されてます。GradeあるいはCategory5が4のようにこの論文では記載されているのですが、へんですねえ・・・
引用)
modified MRC Dyspnoea Scale for Breathlessness(http://ajrccm.atsjournals.org/cgi/content/full/161/3/886/T1
Grade 0 No breathlessness
Grade 1 激しい運動で呼吸困難
Grade 2 平地の急ぎ足やかるい坂道で息切れ
Grade 3 平地で同世代の人より歩行が遅いか、自分のペースで歩行したときに息切れで止まる
Grade 4 100ヤードを歩いた後ストップする
Grade 5 息切れのため家からでられない、着衣時にも息切れ




実は日本でよく使われる(というか、日本でしか使われない)、Hugh-Jonesの分類はもっと変です。

Hugh-Jonesの呼吸困難分類
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 Ⅰ度:同年齢の健康者と同様の労作ができ、歩行、階段の昇降も健康者並にできる。
 Ⅱ度:同年齢の健康者も同様に歩行できるが、坂、階段は健康者並にできない。
 Ⅲ度:平地さえ健康者並に歩けないが自分のペースでなら1.6km以上歩ける。
 Ⅳ度:休みながらでなければ50m以上歩けない。
 Ⅴ度:会話、着物の着脱も息切れがする。息切れのため外出ができない。
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200mしか歩けない人はどこにはいるのでしょう?
これはIII度が広すぎてつかえない指標だと一部の呼吸器専門医は以前からしてきしているのですが

<付録>
shuttle walking試験から6MDを推定する式
相関係数0.688371699
y (6MD)= 0.3491x(SWT) + 303.24

by internalmedicine | 2004-03-04 13:50 | 呼吸器系