カテゴリ:呼吸器系( 1103 )

 

COPD筋萎縮: MRTF-SRF系ダウンレギュレーションあり

筋発生過程だけではなく成熟した哺乳動物の筋肥大においてもRhoA-SRF(Serum response factor)経路は重要な役割をする。...SRFは、MRTF-A(myocardin-related transcription factor A)やMRTF-Bと複合体を形成し、転写促進に働くことが最近わかってきた...、加齢にともない骨格筋中のSRFおよびMRTF-A &-Bの発現が減少し、これらの物質を調節するRhoAやその阻害物質RhoGDIは有意に増加する(参照
・・・という説明があるごとく、MRTF( myocardin-related transcription factor)-SRF(Serum response factor) axis のフィードバックが昨今取り上げられている。

COPD患者において、筋肉萎縮が重要な予後要素である。しかし、この分子的経路に関しては未だ十分に検討・特徴付けされていない。筋肉特異的なmicroRNAと serum response factor (SRF) は重要な筋肉発現型の調整因子であり筋肉の遺伝子発現調整するフィードバックシステムを有している。COPDに関してどのように働いているか?

Downregulation of the serum response factor/miR-1 axis in the quadriceps of patients with COPD
Thorax 2012;67:26-34 doi:10.1136/thoraxjnl-2011-200309

31名のCOPD患者と、14名の年齢マッチ化対照で比較
COPD患者で、対照比較で、miR-2発現、MRTFs A、B発現減少が見られる。
miR-1発現は、喫煙歴、肺機能、除脂肪体重、6分間歩行距離、1型繊維の比率と関連。
miR-133 と miR-206 はともに日々の運動量と逆相関。
Insulin-like growth factor 1 mRNA は患者で増加し、miR-1はkinase Aktのphosphorylationと逆相関。さらに、histone deacetylase 4、他のmiR-1 targetは患者で増加する。

by internalmedicine | 2011-12-15 10:02 | 呼吸器系  

ぜん息LAR(遷延反応):感覚神経の役割 TRPA1阻害・抗コリン剤で効果

喘息治療は吸入ステロイドが主役ではあるが、全例に有効というわけではない。細菌の研究で抗コリン剤のチオトロピウムを吸入ステロイドに付加したところ、症状改善という報告がある。感覚性ニューロンの役割を考察し、麻酔下での遅延型反応消失を確認した上、感覚性ニューロンへの特異的な働きを探った。
チオトロピウムはアセチルコリン受容体遮断性に働く。感覚系受容体から副交感神経への特異的遮断により遅延型反応を遮断可能という仮説を証明した報告。

Original article: A role for sensory nerves in the late asthmatic response
Thorax 2012;67:19-25 Published Online First: 13 August 2011 doi:10.1136/thoraxjnl-2011-200365

アレルギー性喘息において、アレルゲン暴露後の早期反応:early asthmatic response (EAR) 、それに続く、持続的反応f ate asthmatic response (LAR)がある場合がある。ぜん息患者の多くはLARをぜん息の症候の一つとして考えているが、新しい治療entityの臨床的評価は増加しているが、メカニズムはまだ不明な点が多い。
卵アルブミン感作・Brown Norway rat and C57BL/6J mouse modelで、LARとその感受性 LARは聴取および呼吸困難を視覚的に確認し、非侵襲的肺機能評価で定量的評価も行う。
EAR改善治療はLARへインパクト示せず、麻酔にてEARにインパクト与えないが、LARは消失させた。
LARにおける気道感覚性ニューロン反射の重要性が仮説化とされているが、 ruthenium red (non-selective cation channel blocker)である HC-030031 (TRPA1(トリップエーワン) inhibitor) やtiotropium bromide (anticholinergic) で遮断されることが確認された。しかし、 JNJ-17203212 (TRPV1 inhibitor)では確認されなかった。

LARがチオトロピウムやTRPA1阻害剤で遮断される可能性があり、今後、治療の一助になるかも・・・
現時点ではスピリーバは”慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎、肺気腫)の気道閉塞性障害に基づく諸症状の緩解”にしか公的保険適応はない。


痛みセンサーであるTRPA1(トリップエーワン)タンパク質
アンモニアの“ツン”とワサビの“ツン”は同じ — アルカリ性物質を「痛み」と感じるメカニズム解明 —
http://www.nips.ac.jp/contents/release/entry/2008/11/post-15.html

by internalmedicine | 2011-12-15 09:20 | 呼吸器系  

交通大気汚染と高齢者ぜん息入院の関連性

交通大気汚染長期暴露で、高齢者のぜん息入院増加

Original article: Long-term exposure to air pollution and asthma hospitalisations in older adults: a cohort study
Thorax 2012;67:6-11 Published Online First: 2 September 2011 doi:10.1136/thoraxjnl-2011-200711

57 053 名( Danish Diet, Cancer and Health cohort, ベースライン 50–65 歳 (1993–1997))

メディアン・フォローアップ 10.2年

977 (1.9%) / 53 695 :ぜん息入院、821が初回入院、176が再入院

NO2 levelは、full cohortでのぜん息入院リスク増加と関連  (HR and 95% CI per IQR, 5.8 μg/m3: 1.12; 1.04–1.22)、初回入院と関連  (1.10; 1.01–1.20)、 ぜん息既往患者の入院高リスクと関連 (1.41; 1.15–2.07) 、COPD既往患者の入院高リスクと関連  (1.30; 1.07–1.52)

by internalmedicine | 2011-12-15 08:31 | 呼吸器系  

閉塞型無呼吸:CPAP (vs sham CPAP ) 血圧・脂質・糖代謝特性改善効果

いままでは、CPAP無し vs CPAP治療という対比だったからか、閉塞型無呼吸症候群の血圧・代謝面への効果、あまり芳しい報告はなかったと記憶しているのだが・・・

二重盲検RCTでの知見ということで、確定的な話になった。

CPAP for the Metabolic Syndrome in Patients with Obstructive Sleep Apnea
N Engl J Med 2011; 365:2277-2286December 15, 2011

二重盲検プラシーボ対照化トライアル
・治療的CPAP
・sham CPAP
3ヶ月毎1ヶ月のwashout期間設けて交代

研究完遂86名で、うち75(87%)でメタボリックシンドローム

CPAP治療(VS. sham CPAP)は有意に
・収縮期血圧  (3.9 mm Hg; 95% confidence interval [CI], 1.4 → 6.4; P=0.001), ・拡張期血圧diastolic blood pressure (2.5 mm Hg; 95% CI, 0.9 → 4.1; P<0.001),
・血中コレステロール  (13.3 mg/dL; 95% CI, 5.3 → 21.3; P=0.005)
・非HDLコレステロール (13.3 mg/dL; 95% CI, 4.8 → 21.8; P=0.009)
・LDLコレステロール (9.6 mg/dL; 95% CI, 2.5 → 16.7; P=0.008)
・TG (18.7 mg/dL; 95% CI, 4.3 → 41.6; P=0.02), and
・糖化ヘモグロビンglycated hemoglobin (0.2%; 95% CI, 0.1 → 0.4; P=0.003).

メタボリックシンドローム頻度を減少  (reversal:CPAP 11 / 86 patients [13%] vs. 1 of sham CPAP 1/86 [1%] ).

高血圧促進発症CPAP治療1例、CPAP intolerance 2例、他はsham CPAP計測断念。


だが、sham CPAPって、果たして、対照として適切なのだろうか?
sham CPAPに対しても不快感を有する対象者も多いだろうに・・・

by internalmedicine | 2011-12-15 08:19 | 呼吸器系  

ARDS治験: BALTI-2 トライアル:サルブタモール点滴投与はベネフィット無し

ARDSへのβ2アゴニスト(salbutamol (理想体重あたり毎時あたり15 μg/kg)  7日までの使用)ルーチン使用

結論から言えば、ベネフィットなく、アウトカム悪化の可能性あり

Acute respiratory distress syndrome
In the BALTI-2 Trial, Smith and colleagues assess whether treatment with salbutamol in the early course of acute respiratory distress syndrome improves clinical outcomes.
The Lancet, Early Online Publication, 12 December 2011
doi:10.1016/S0140-6736(11)61623-1Cite or Link Using DOI

by internalmedicine | 2011-12-12 10:28 | 呼吸器系  

睡眠時無呼吸症候群: AHI30以下では口腔内装置の主適応?

adjustable oral appliance (aOA) 口腔内装置(参照:循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2010,momomura.h.pdf)と cPAP療法

aOAは平均AHIを 8.4±11.4へ、軽症 70.3%、中等症47.6%、重症41.4%改善
フォローアップ中mean Epworth Sleepiness Score を、フォローアップ中2.71(95% CI, 2.3-3.2; F<.001)減少
CPAPは、aOAに比べAHIを-3.43(95$CI , 1.88-4.99; P<.001)減少。
重症度補正後、重症疾患にだけ有意差が残存(−5.88 [95% CI, −8.95 to −2.82; P < .001])
しかし、CPAPにてAHI<5到達の全患者の70.1%だが、aOAでは51.6%(P<.001)
多変量解析にて、ベースラインAHIは、aOA titration治療AHI<5到達予測因子であり、年齢とともに有意な傾向の指標である。

Efficacy of an Adjustable Oral Appliance and Comparison With Continuous Positive Airway Pressure for the Treatment of Obstructive Sleep Apnea Syndrome
CHEST December 2011 vol. 140 no. 6 1511-1516


aOAはどちらかというと、否定的だったが、今後、aOAを積極的勧めたいと思う。
ただ、日本の保険診療上のしばり”AHI 20以上”がある。
上記報告に重きを置けば、現時点では、AHI 20-30までがaOAの適応考慮範囲となる。


文献上は、重症度は一般的には、”severe (AHI > or = 30)and mild-to-moderate (AHI <30 and >5)”(e.g. Respir Res. 2006 Mar 30;7:54. )という表現が多く、日本の保険診療上の区分と異なる。


某県保険医協会のパンフに、”これで治る・・・口腔内スプリント治療”ってのがあったが、ああいうのは良くない。見識を疑う。

by internalmedicine | 2011-12-12 08:26 | 呼吸器系  

気管切開タイミング・・・早期気管切開での死亡率・滞在期間など改善効果認めず

重症者の気管切開のタイミングに関してもいろいろ議論されてきてるが、結局、明確な結論はない。

The Timing of Tracheotomy in Critically Ill Patients Undergoing Mechanical Ventilation: A Systematic Review and Meta-analysis of Randomized Controlled Trials
Chest December 2011 140:6 1456-1465; published ahead of print September 22, 2011, doi:10.1378/chest.11-2024

1044名の7つのトライアルで、重症状況において、早期気管切開 early tracheotomy (ET)は、短期死亡率低下は有意でない (relative risk [RR], 0.86; 95% CI, 0.65-1.13)、長期死亡率 (RR, 0.84; 95% CI, 0.68-1.04)、人工換気関連肺炎頻度 (RR, 0.94; 95% CI, 0.77-1.15)増加も同様。

気管切開タイミングは人工換気(MV)期間減少を著明に減少することもない (weighted mean difference [WMD], −3.90 days; 95% CI, −9.71-1.91) or sedation (WMD, −7.09 days; 95% CI, −14.64-0.45)し、ICU期間を著明に減少せず (WMD, −6.93 days; 95% CI, −16.50-2.63) 、入院期間延長も著明に延長しないl (WMD, 1.45 days; 95% CI, −5.31-8.22)、合併症減少も著明でない (RR, 0.94; 95% CI, 0.66-1.34)。

by internalmedicine | 2011-12-10 07:48 | 呼吸器系  

潜在性結核感染治療:リファペンチン+INH3ヶ月観察下治療 vs INH単独少量9ヶ月自己管理 

関節リウマチに対する生物学的製剤などのため潜在性結核感染の取り扱いに注目が集まってきた。

Three Months of Rifapentine and Isoniazid for Latent Tuberculosis Infection
the TB Trials Consortium PREVENT TB Study Team
N Engl J Med 2011; 365:2155-2166December 8, 2011

潜在性結核感染(latent Mycobacterium tuberculosis infection)は結核コントロール・撲滅のため重要なコンポーネント
現行のレジメンはイソニアジド単剤9ヶ月だが、毒性・治療完遂率の低さに問題がある。

3ヶ月間のrifpentine(900mg)+isoniazid(900mg)併用直接服用観察 v isoniazid(300mg)自己連日服用

33ヶ月間フォロー

プライマリエンドポイントは結核確定、非劣性限界<0.75%

修正ITT解析結核発症は、
・併用群 7/3986(累積率, 0.19%)
・isoniazid単独群 15/3745(累積率, 0.43%)

治療完遂率
・併用群 82.1%
・isoniazid単独群 69.0%(P<0.001)

永続的薬剤中止率はそれぞれ、4.9%、3.7%(P=0.009)

研究者評価関連肝障害はそれぞれ 0.4%、2.7%(P<0.001)

リファペンチン (Rifapentine)がリファンピシンより主流になりつつあるようだ
http://medical.radionikkei.jp/suzuken/final/081030html/index.html
有効性よりは、各種薬剤と併用可能ということがその理由のようだけど・・・


潜在性結核感染症治療(化学予防)に関する届け出は、
結核感染後の発病予防すなわちリスク低下を目的とした予防的化学療法は,効果も確認されており,従来は化学予防といわれていたが,最近は潜在性結核感染症治療といわれるようになった。2007年4 月の改正感染症法の施行後,結核の届出基準が一部改正され同年6 月15日より適用された。それは年齢に関わらず,LTBI として治療を行う者は,届け出の対象とし,公費負担の年齢制限も撤廃することである。このLTBI は従来の初感染結核のみならず,広く発病リスクの大きい既感染者を治療の対象とし,今までは初感染結核に対しては発病を予防するために化学予防を行ってきたが,今後はLTBI という疾患の治療との認識である。すなわち「化学予防」から「LTBI 治療」へということである。
この治療を必要とするLTBI を届け出の対象とする理由は,
◯1 LTBI の治療は脱落が多いので,可能であれば服薬支援DOPT の対象とするべきである。
◯2 QFT の普及によりLTBI の診断精度が高くなったため,治療対象者からの発病は従来よりも増加するものと推定され,LTBI に対する治療を行っても発病する可能性があり,対象者に対して有症状時の早期受診をすすめるなど,適切な健康教育等が必要であることなどがあげられる。

http://www.jata.or.jp/rit/rj/2010_6.pdf
わが国の結核対策の現状と課題6 「潜在性結核感染症の感染診断と発病予防の現状と課題」ちば県民保健予防財団総合健診センター副センター長鈴木公典

故に、潜在性結核感染症治療(化学予防)に関する届け出は必要と思うが、届け出される側の行政の対応が今ひとつ周知・徹底されてないと思う。

by internalmedicine | 2011-12-08 08:37 | 呼吸器系  

COPD:呼気分析が気道炎症の評価・モニターに役立つ

呼気分子特性解析ってのが各肺疾患で行われつつある。

gas chromatography ・mass spectrometry (GC-MS) と electronic nose (eNose)を用いて、呼気ガス成分、eNose breathprint、喀痰炎症性マーカー検討


Exhaled air molecular profiling in relation to inflammatory subtype and activity in COPD
Eur Respir J 2011 38:1301-1309; published ahead of print 2011, doi:10.1183/09031936.00032911

呼気成分は喀痰中細胞数と相関(8成分が好酸球、17成分が好中球と関与 p<0.01)

アルキル化ベンゼンのみが好酸球・好中球両特性とoverlap

stage 1GOLD病期において、GC-MSやeNose呼気指紋は炎症性マーカーと相関
ECP: 19 compounds, p<0.01; eNose breathprint r=0.84, p=0.002) (MPO: four compounds, p<0.01; eNose r=0.72, p=0.008

eNOSEに対するROC分析で、軽症COPDでの炎症性活動性に関して感度・特異度が高い(ECP: area under the curve (AUC) 1.00; MPO: AUC 0.96) が、中等度ではそうでもない。


by internalmedicine | 2011-12-01 14:37 | 呼吸器系  

COPD急性増悪・人工呼吸患者のステロイド治療の有効性:侵襲的人工呼吸期間・ICU期間など改善

Efficacy of Corticosteroid Therapy in Patients With an Acute Exacerbation of Chronic Obstructive Pulmonary Disease Receiving Ventilatory Support
Arch Intern Med. 2011;171(21):1939-1946. doi:10.1001/archinternmed.2011.530

全身性コルチコステロイドの有効性・安全性に関する二重盲検プラシーボ対照化トライアル
人工呼吸(侵襲的・非侵襲的人工換気)COPD急性増悪患者に対する評価。
4ヶ国354名8病院成人ICU入室(2005年6月から2009年7月)

メチルプレドニゾロン 72時間まで:0.5 mg/kg毎6時間毎 → day 4-6: 12時間毎 → day 7-10
: 0.5 mg/kg/日

介入群 83名 v プラシーボ比較

主要アウトカム測定は人工呼吸期間、ICU滞在期間数、非侵襲的人工呼吸(NIV)患者に於ける挿管必要性

人口動態的、疾患重症度、COPD急性増悪原因、コルチコステロイドrescue治療に群差無し。
コルチコステロイド治療は人工呼吸期間中央値減少 (3 days vs 4 days; P = .04)、ICU滞在期間中央値(6 days vs 7 days; P = .09)、NIV不全率減少 (0% vs 37%; P = .04)と関連。


by internalmedicine | 2011-11-30 08:58 | 呼吸器系