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日本独特の病名“生活習慣病”

生活習慣病の名付け親 日野原重明氏ということですが、では、生活習慣病なる病名は諸外国には存在するのか?
答えはおそらくNO!

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 世界保健機関(WHO)総会は22日、肥満症、心臓疾患、糖尿病などを予防するための「食生活と運動に関する世界戦略」を採択した。生活習慣病に対する初の国際指針。各国の実情に合わせて肉付けするよう求めている。 (朝日新聞(05/23 00:06) )
http://www.asahi.com/health/life/TKY200405220332.html

CNNでは、「世界的な食事戦略が採択 WHOは肥満対策青写真を認可」“Global diet strategy adopted WHO approves blueprint for battling obesity”
世界の専門家が食事と運動習慣に対する世界戦略を公式に採択、肥満・糖尿病・癌のような疾患に戦うための流れの一つとして
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なる記事が掲載されておりますので・・・おそらく、“生活習慣病”は朝日新聞の意訳にすぎないというわけです。


当該、WHOサイト
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Diet and physical activity: a public health priorityK/a>

To guide the development of a WHO Global Strategy on Diet, Physical Activity and Health
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には “慢性疾患(心血管疾患、癌、慢性呼吸器疾患、糖尿病、骨粗鬆症、齲歯のような非感染性疾患をを含む)”としてしか記載されてません。
一部感染症と関連が取りざたされている病態もあるので、けっこうアバウト・・・


感染症などの新しい病原体が判明したときにそれによってもたらされた病態を新しい病名で呼ぶことはさほど議論のいらないことだろう。だが、新しい病名をつくるというのは、慎重でなければならない。新しい病名を呼ぶときは、その診断名によって他の診断名の病態と明確に区別されるものであり、できれば予防法・対処法・治療法がことなるものでなければ、混乱をもたらすだけです。
精神科におけるDSM批判の一つは、基準における科学性のなさです。
“生活習慣病”という病名をつくれば共通の診断基準、その予後、治療的意義付けがなされなければなりませんし、科学的裏付けが必要なはずです。

“高血圧”や“糖尿病”を一つの診断基準にする必要があるのでしょうか?“代謝症候群”なる診断群がworld-wideに提唱されています。これは科学的検討がなされてます(What is the metabolic syndrome?


しかし、“生活習慣病”なる病名は科学的裏付けのなされない、各学会・研究会のアシストのない健康21という役人が根拠なく考え、メディアが誘導する、“病名”であるといまのところは私は考えております。あまり科学的な検討をくわえるときは“生活習慣病”なる“病名”は使わないほうが良いとおもえます。

外国での名称というサイトがありますが、WHOサイトからみればあまり深い意味でつかっているものとはおもえません。

#便秘だって生活習慣病なんだが・・・



次は・・
善玉・悪玉の名付け親 東海大学名誉教授 医学博士 五島雄一郎先生
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by internalmedicine | 2004-05-31 16:38 | 医療一般  

鎮痛剤(NSAIDs)と心不全(啓蒙^H^H発が必要) : Cox2阻害剤の心不全への影響は薬剤により異なる


選択的Cox-2阻害剤は他のNSAIDs同様心不全悪化と関係があり、2種類のCox-2阻害剤により影響が異なる。
'Selective COX-2 inhibitors might be associated with cardiovascular . . . adverse effects that are similar to those of non-selective NSAIDs'
Lancet 2004; 363: 1751-56
【背景】非選択的・非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は、うっ血性心不全のリスク増加と関連しているが、COX-2阻害剤とよばれる新しいグループについてはあまりしられてない。
【方法】NSAID-naiveで、66歳以上の人を対象にpopulation-based retrospective cohort studyを施行。
rofecoxib (n=14,583), celecoxib (n=18,908),non-selective NSAIDs (n=5,391)
対照:NSAIDs使用無し(n=100,000)
【結果】rofecoxib・非選択的NSAIDsの患者は心不全入院リスクを増加(補正rate比 1.8, 95%CI 1.5-2.2、1.4:95%CI1.0-1.9)、celecoxibは増加せず(1·0, 0·8-1·3)
celecoxib使用者に比べ、非選択制NSAIDs(1.4,1.0-1.9)、rofecoxib(1.8 1.4-2.4)は有意に入院増加。
過去3年での入院無し患者のうちでrofecoxib使用者のみが対照群よりその後の入院リスク増加がみられた(1.8 1.4-2.3)
【結論】うっ血性心不全入院リスクをrofecoxibや非選択性NSAIDsは増加させるがcelecoxibは他のNSAIDs使用無しの対象に比べ増加させていない。
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下記内容の流れだと思うのですが、
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COX2は、NANSAIDs(Non-Aspirin Non-steroidal anti-inflammatory Drug)として炎症やアレルギーに効果があり、胃障害が低リスクである。しかし、アスピリンや他のNANSAIDsにある抗血小板作用がないことや、VIGOR試験(N Engl J Med 2000; 343: 1520-1528)で冠動脈疾患のリスク増加の報告がある。
Rofecoxibおよび他のNANASAIDsの心臓疾患に冠する影響を見るためのRetrospective Cohort研究が開始された。1999年1月から2001年6月までデータベースより検索し,20万例の症例を評価症例とした。その中でイベントとして3309例のAMIがあった。中間解析段階でRofecoxibの25mg以上投与例が、他のNANSAIDsに比較しリスクが高い傾向が見られている。────────────────────────────────────


日本で使用可能なCox-2阻害剤としては“メロキシカム 日本ベーリンガー・第一 COX-2阻害 2001年発売 発売 ”があります。今回この薬剤は検討されてませんが、


NDADsの心不全悪化については日本では医師にもその認識が低いのではないかとおもうことが多くあります。
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・添付文書にも、うっ血性心不全とは病態および臨床症状一般的には心不全により局所に血液が増大した状態をいいます。NSAIDsは腎でのナトリウム排泄低下、血圧上昇、全末梢血管抵抗上昇などをもたらすため、重篤な高血圧症や心機能不全のある患者さんでは悪化するおそれがあります。(『代表的な副作用「腎障害」P.43参照』)
代表的な症状として、安静時または運動時などにおこる動悸、息切れ、呼吸困難などがあります。

・不肖、私の訳した一般医の心不全マニュアルにも書いてあります。(原本はBMJ
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ガイドラインによっては、より安全な代換として、アセトアミノフェンを勧めています

メーカーサイドは日本で使用できるCox-2阻害剤の心不全への影響を報告し、他のNSAIDsメーカーはよりいっそう心不全への影響を啓蒙する必要があるのです。

by internalmedicine | 2004-05-29 11:54 | 医学  

扁桃腺や虫垂に変異クロイツフェルト・ヤコブ関連プリオン異常発見に関する考察

variant CJD(変異クロイツフェルトヤコブ病)に関しては
ここのPDFがかなり詳しい。

1996年3月以降の1年間に提示された原因物質の関連を裏づけるさらなる証拠
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· 1994 年以前はvCJD の症例がない
· 英国以外では1例の記録のみ (フランス)
· サル(マカック)にBSE を接種した場合と同様の病理的所見
· 菌株のタイピングに関する研究
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ということで、

ここにかかれている直近推計は
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ガーニほか(2003 年5 月)
2002年末までに死亡した121例 
最良推定値 161件 95%信頼区間で130 件から661 件
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ということで考えられていたいわけですが


以下の内容の報告が電子版で報告され、虫垂と扁桃腺組織のプリオン蛋白の集積が、UKで4000名弱になるのではということが示唆され、拡がりへの不安を鼓舞するメディアが多くみられたようです。もっともこのことの臨床的な意義は不明な部分が多いわけですが・・・(もちろん意味がある場合も・・・そして輸血・移植による二次感染も)

Higher numbers than previously predicted could be incubating vCJD
BMJ 2004;328:1279 (29 May), doi:10.1136/bmj.328.7451.1279
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UKの多くの人が以前考えられていたよりvCJDをincubateしているかもしれないという新しい研究
13000近い虫垂と扁桃腺試料の分析でvCJDに関連するプリオン蛋白のうち3つに蓄積していることが判明
しかし、わずかひとつの試料だけが既知のvCJD例の組織からのものでプリオン集積のパターンであった。他の2つは集積のパターンが異なり、些細なものとしてこの事実を片付けることができないが、その意義付けは不明。
UKでの10-30歳にvCJDが進展するリスクが多いということは100万人あたり237名、合計3808名と推定(95%CI 49-692人/百万人)
この研究はearly viewとして“the Journal of Pathology”に掲載

この予測が確かになるのなら、最近の予測よりかなり多くのvCJD数となることを示唆する。2004年3月までUKで146名、フランス6例、カナダ・香港・アイルランド・イタリア・アメリカ1例の確診・疑い例がある。
この観点から言えば科学者たちはvCJDの拡がりは比較的少なく、将来的にも540例程度と推定している。
Derriford病院組織病理専門家であるDr David Hiltonは、、プリオンの存在パターンが異なる、臨床的に明確でない状態があるということが判明したわけで、警告を発している。“警戒すべき発見であり、軽んじてはいけない。vCJDについてまだ多くしるべきことがあり、組織中の蛋白の存在が直ぐにvCJDへ進展するということをかならずしも意味しない。新鮮な扁桃腺を前向きにスクリーニングすることで重要性が判明することが重要。8万から10万の新鮮な扁桃腺の巨大研究によりクリアカットに結果をするだろう”と述べている。
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・nvCJDとBSE(狂牛病)の関係があきらかに
Agents of new variant CJD and BSE are identical
BMJ 1997;315:831-836 (4 October)
http://bmj.bmjjournals.com/cgi/content/full/315/7112/831

・手術標本でnvCJDのテストをした
Surgical specimens to be tested for new variant CJD
BMJ 1998;317:617 ( 5 September )
http://bmj.bmjjournals.com/cgi/content/full/317/7159/617

・羊もBSEの可能性が
Possibility of BSE in sheep causes alarm
BMJ 1998;317:700 ( 12 September )
http://bmj.bmjjournals.com/cgi/content/full/317/7160/700

・骨に牛肉は無関係だと直き、わかる
All clear soon for beef on the bone
BMJ 1998;317:1548 ( 5 December )
http://bmj.bmjjournals.com/cgi/content/full/317/7172/1548/b

・nvCJDが扁桃腺に見つかる
New variantCJD found in tonsils
BMJ 1999;318:215 ( 23 January )
http://bmj.bmjjournals.com/cgi/content/full/318/7178/215

・nvCJDによる死亡が急激に増えている
Deaths from nvCJD rise sharply
BMJ 1999;318:829 ( 27 March )
http://bmj.bmjjournals.com/cgi/content/full/318/7187/829

・BSEとvCJDの関係がさらに確固なものに・・
Study strengthens link between BSE and vCJD
BMJ 2000;320:78 ( 8 January )
http://bmj.bmjjournals.com/cgi/content/full/320/7227/78/a

・CJDのデータ関係は報道する前に明確にすべき
扁桃腺と虫垂組織のvCJDの証明分析に関わることは複雑で、感情的な医学情報を大衆に与えるという点で科学者にとってその困難さに直面することとなる。結果関連が確実であるときに特に注意が必要である
Implications of CJD data need to be clear before release
BMJ 2000;321:701 ( 16 September )
http://bmj.bmjjournals.com/cgi/content/full/321/7262/701

・vCJDは血液を介することもありえると言っている
Scientists show that vCJD can be transmitted through blood
BMJ 2000;321:721 ( 23 September )
http://bmj.bmjjournals.com/cgi/content/full/321/7263/721

・nvCJD:疫学的にはないはず・・(BSEとの関係否定意見)
New variant Creutzfeldt-Jakob disease: the epidemic that never was
BMJ 2001;323:858-861 ( 13 October )
http://bmj.bmjjournals.com/cgi/content/full/323/7317/858?ijkey=d34c61ff79981e9afb9e93fcdd437d149ee580d5&keytype2=tf_ipsecsha

・実験的治療で二次的vCJD
Second vCJD patient to receive experimental treatment
BMJ 2003;327:886 (18 October), doi:10.1136/bmj.327.7420.886-a
http://bmj.bmjjournals.com/cgi/content/full/327/7420/886-a

こうやってみると、UKでのBSEとnvCJDの歴史的な流れがすこし見えてきます。


<私見>
日本におけるBSE対策である、全頭検査はその科学的な意味合いというより感情的な消費者の行動を押さえるために行われていると思うのですが、cost-benefitの問題であり国民が受容するのであれば仕方がないことだと思います。ここに米国が無理強いする筋合いがあるのか・・・と、これは感情的に怒りたくなるのは筋論でしょう。

でも、全頭検査があまり意味がないという根拠の一つは以下の通りだと思います。
おそらく数十万頭に1頭以下のレベルで検出されてないのだから、感度・特異度などのおなじみ検査理論からいっても意味のない検査なので、あくまで日本の自主的判断ということを政府は強調するでしょうが・・・
283万頭の年間処理数から考えて、年間1頭のBSEがみつかり、半数が一次検査のために半数で良いという場合、感度が99.999916%の検査でないといけません。
100頭に一頭にまけても、99.9915966%なわけですから、こういう検査はありえないと思うのですが・・・
こういうのって、検査すれば全部診断できるという空想によりできあがっております(MRIやPET、CTだけすれば癌がすべて見つかると思っている人たちはホントにおおいのですがそれと類似してます)。

参考:畜産統計感度、特異度

<追加:私見>
日本でも一応扁桃腺・虫垂組織のプリオン関連を調べた方がよいと思うのですが・・ただ、最低でも頻度から考えて10万検体程度の検体が必要なのでは。同意書が得られるかな?

by internalmedicine | 2004-05-28 16:12 | 医学  

重症患者にアルブミンを投与すべきか・・・アルブミン投与がだめという結論に反証・・・SAFE study


重症患者に、クリスタロイドかコロイドか・・・という命題は十数年の議論ということです。

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クリスタロイド(crystalloid):晶質
コロイド(colloids):膠質
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という表現でこの議論が普通です。


晶質としては食塩(生理食塩水だったり、時には0.45%食塩だったり、他電解質や糖質を含むものだったり・・)が主体です。

アルブミン製剤をどうとらえるか?単にコロイド治療として考えるか?・・・私にはわかりませんが・・・

Albumin Databaseなんかはこの問題に かかりきり のようです・・・

火傷治療について熟知していない統計学者はデータを評価すべきでないというのは、一般化すれば専門医療を熟知してない分野の一方的な統計解析は慎重であるべきということになります。これは胸につまされます。

<ひとりごと>WHO薬籠日本語訳なんてそんなんばっかりですし・・



さて、そうはいっても救急医療はどの分野でも一緒で、かつ輸液に関しての知識は必要ということで・・・



SAFE study(The Saline versus Albumin Fluid Evaluation)が発表になっております。 ↓
NEJM Volume 350:2247-2256 May 27, 2004 Number 22
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重症患者ではアルブミン投与や食塩投与が通常行われているが、どちらかが優れているというのはまだ不明。

ランダム化にて6997名の患者対象で、3497アルブミン、3500食塩投与割付
アルブミン投与群726名死亡、食塩729名死亡(RR 0.99; 95%CI 0.91 to 1.09; P=0.87)
1臓器と多臓器不全の比率は同様(P=0.85)。ICU滞在日数(6.5±6.6 in the albumin group and 6.2±6.2 in the saline group, P=0.44)、入院日数 (15.3±9.6 and 15.6±9.6, respectively; P=0.30)、人工呼吸日数(4.5±6.1 and 4.3±5.7, respectively; P=0.74)、腎臓置換療法(renal-replacement therapy)?(0.5±2.3 and 0.4±2.0, respectively; P=0.41)も差無し

結論:ICU患者で4%アルブミン投与と生食投与による輸液蘇生方法の28日後のアウトカムは同等
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歴史的には、ランダムトライアルでアルブミンが死亡率を増加させるというメタ分析など・・
ということで以下のレビューが有名です。


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Ref.)重篤な患者の輸液蘇生法におけるクリスタロイドとコロイドの比較 cochane review

hypovolemia、熱傷、低アルブミン血症の重症患者に対してアルブミン投与が生存率を低下させるエビデンスはない。
アルブミン投与の死亡リスクは比較群より高い
アルブミンによるプール化死亡相対リスクは1.68(95%CI 1.26-2.23)、そのプール化differenceは6%(3-9%)あるいは100名治療に付き6名の付加的死亡を生じることとなる。
緊急に、重症患者でのアルブミン投与を歳考慮すべき

Human albumin administration in critically ill patients: systematic review of randomised controlled trials
BMJ 1998;317:235-240 ( 25 July )
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funnel plotをみるとさほど出版バイアスなどを感じないのですが、

メタ分析の規模が小さく、古いトライアルが不一致率が多くため、SAFE study研究者たちは1)輸液蘇生が必要な患者が不均一、4%アルブミンvs 0.9%食塩の28日死亡率というのはなんなのだろうかという疑問をこのメタ分析にもっているそうで、今回にSAFE studyは患者、医師、研究者たちにblindであり、自信をもっているようです。臨床診断が上記メタ分析ではばらばら・・というのも批判の一つで
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心拍90/分以上、収縮期血圧100mmHg未満、平均脈圧75mmHg未満、inotrpesやvasopressor、特異的CVP圧、乏尿、毛細血管充填時間>1秒が、hypovolemiaの所見として必要。
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などを指標とすべきだそうで、ごもっとも。

一般的に蘇生の時は最低でも250mlの輸液(肝移植、心臓手術後、熱傷はべつ)と臨床評価がなされている。60%超が人工呼吸。平均ICU滞在は約1週間で、入院約2週間で、他の治験参加の重症度分布と一致ということらしいです。


もっとも注目したのは
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メタ分析による特異的な病態毎の解析では、crystalloidsが外傷時に他のcolloidsより死亡率が有意に低いとされていた・

SAFE studyでのサブグループ解析ではアルブミンと食塩に生存率に差がなかったが、外傷に関しては、1186名のうちアルブミンが若干死亡率増加傾向 (アルブミン群における相対的死亡リスク 1.36; 95%CI 0.99 - 1.86)、脳外傷の影響にて説明できる可能性がある(相対リスク 1.62:95%CI 1.12-2.34)。
重症敗血症の1218名の患者では、アルブミン投与が死亡率減少の可能性(0.87:95%CI 0.74-1.02)
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ということで、病態による有効性に差があることが示唆されたことです。

by internalmedicine | 2004-05-28 10:56 | 医学  

前立腺癌の検診でつかわれているPSAは見逃しが多い

科学的根拠無く、診療報酬というのがきめられているかが今度の日本歯科医師会の介入でも明らかになったわけですが、PSAは高貴なお方のことで話題になった成果突然複数回検査が保健錠認められております。いままでの予防医学的な部分は極力保健適応にしなかったので奇異に感じられる部分です。
診療報酬を政治的に決めるとかならず、利権が関係して参ります。科学的検討をする別機構を作るべきです。政治的にきめると喜ぶのは厚労省の役人です。


【今回明らかになったこと】
前立腺癌の悪性度の高いものはPSAによる検診では見逃しが稀でない


【今までの事実】
前立腺癌はかならずしも諸外国では推奨度の高い検診方法ではない

例:米国のThe U.S. Preventive Services Task Force (USPSTF)の結論
前立腺癌ルーチン検診にPSAや直腸診(DRE)を推奨するにはエビデンスが不十分
Rating: I recommendation.


【今後の課題】
PSA検診が予後を改善させるかどうか?
あらたな検査方法開発を!


慶応大学の先生のごとくごく一部の事実で、“がんもどき”理論?を展開する気にはなれないが、肝心な癌に関して見逃しの可能性が高いことが重要。

この図をみるとPSAというのが悪性度の高い癌をみるけるのにはまだまだ力たらず
a0007242_104215.jpg



Prevalence of Prostate Cancer among Men with a Prostate-Specific Antigen Level 4.0 ng per Milliliter
http://content.nejm.org/cgi/content/short/350/22/2239
NEJM Volume 350:2239-2246 May 27, 2004 Number 22

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2950名男性(62-91歳)、前立腺癌を449名(15.2%)、449癌のうち67名(14.9%)がDleason scoreで7以上(Gleason Grading参考)

PSA
<0.5:6.6%
0.6-1.0:10.1%
1.1-2.0:17.7%
2.1-3.0:23.9%
3.1-4.0:26.9%

PSA<0.5未満からの12.5%~PSA3.1-4.0ng/mlの25.0%まで悪性度の高い(high grade)腺癌の可能性が高い。
【結論】生検で確定した前立腺癌(悪性度の高い腺癌を含む)はPSA 4.0ng/ml以下でも稀でない。
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by internalmedicine | 2004-05-27 10:43 | 医学  

アスピリンや他の解熱鎮痛剤(NSAIDS)は乳ガンリスクを減少させる

アスピリンや他の解熱鎮痛剤(NSAIDS)は乳ガンリスクを減少させる

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Association of Frequency and Duration of Aspirin Use and Hormone Receptor Status With Breast Cancer Risk
JAMA. 2004;291:2433-2440.
・アスピリンや他のNSAIDSの6ヶ月以上使用は301例(20.9%)、対照は345(24.3%) ( [OR], 0.80; 95% CI, 0.66-0.97 for ever vs nonusers)

・逆相関が使用頻度とみられる(OR, 0.72; 95% CI, 0.58-0.90)。ibuprofenはこの傾向は弱い (OR, 0.78; 95% CI, 0.55-1.10 for <3 times per week vs OR, 0.92; 95% CI, 0.70-1.22 for 3 times per week)。

・アセトアミノフェン使用は、プロスタグランディン合成を抑制しないが、乳ガンの減少を引き起こさず。

・アスピリン使用のリスク現象はホルモン受容体陽性腫瘍患者でみられる(OR, 0.74; 95% CI, 0.60-0.93)が、ホルモン受容耐陰性ではみられず(OR, 0.97; 95% CI, 0.67-1.40)
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【結論】アスピリンやNSAIDの常用はおそらくエストロゲン合成抑制に関与して乳ガンの予防的作用をきたす。

大腸癌の抑制効果などもありますが、
この癌抑制のメカニズムは不明と原著に書かれてます。cyclooxygenase阻害効果によるものと想定されますが、Cyclooxygenase-2が催癌作用と関連との考えもありますが・・・

これだと同じNSAIDsでも癌抑制メカニズムがあるということになりそうです・・?


<かなり脱線ですが>
エストロゲンはコレステロールを材料としてつくられるステロイドホルモンであるのでその原材料が増えれば増加する?という仮説が成り立つわけです。
ここをみるとやはり動物由来の食事量と相関があるようです。

食物になると、いろいろこだわる人や団体がでてきて・・・なにが正しいのだか・・・

このような考え方の一代表例として、牛ミルクと乳ガンの関係があります。こちらはコレステロールではなく、IGF-Iという物質に注目が集まっています。

おもしろいのは、“FDAの科学者たちは文献や研究の評価をすることによって、毎日rbGH(recombinant bovine growth hormone)を使用しても消費者には健康リスクの増加がみられない・・・。rbGH治療ではIGF-I濃度を増加させる。しかし、経口毒性の研究では牛IGF-Iはラットにおいて経口活動性を欠く。加えて、rbGH処理牛のミルク中のIGF-Iの濃度は人間の母乳中の生理学的範囲内であり、IGF-Iは乳児での牛ミルク使用では中和される・・・生体内に意味あるレベルに達するほどIGF-Iは吸収されないだろう Science. 1990 Aug 24;249(4971):875-84. ”と書いてあるにかかわらず、この文献を“IGF-I is identical in human and cow. ”の証拠としてかかれているサイトが多いのです。


たとえばここ


インスリン様成長因子が強力なmitogenであり、前立腺癌に関する強力なリスク予測因子であると前向き研究結果 Chan, June M., et al. Plasma insulin-like growth factor I and prostate cancer risk: a prospective study. Science, Vol. 279, January 23, 1998, pp. 563-66

これなどもIGF-Iは確かにそのような作用があるのでしょうが、牛ミルクを飲用したときにどれほどの影響があるのかといえばその答えにはなってないわけです。


Milk and the Cancer Connectionはそのなかでも比較的常識的なサイトなのかもしれません。
“人での研究がなされていない。Epidermal Growth Factorはカゼインの存在下で吸収が阻害されることがわかっている。IGF-Iの血中濃度が乳ガンや前立腺癌のリスクを増加させるに充分になるまで小腸壁を通さないことも考えられる。しかし、大腸癌のリスクの増加を・・・”などとさらにリスクを煽っているのですが・・・


牛乳が一方的に健康的であるというコマーシャルのイメージが強すぎるので妙に反発を感じています。


わたしなどは、人間が生活するのは他の生物を犠牲とするわけで、当然無害ではあり得ないなどと・・・仏教的なことを考えていたり・・

by internalmedicine | 2004-05-26 11:48 | 医学  

医療損害賠償保険の破綻近し

医者憎しが社是なのかと私にはおもえる朝日新聞の本日朝刊1面で以下の記事が掲載されてました。(ごく一部引用)
内容は医師損害賠償保険が賠償の増加とともに保険料上げざる得ない状況ということで最後の文章がこれです。

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米国では70年代以降、賠償額と保険料の高騰が原因で医師の廃業などが相次ぎ、社会問題化。各州による医療過誤の賠償金の上限設定や、医師が無過失の場合に救済金を支払う制度の導入などにつながった。日医の藤村伸常任理事は「日本も米国の状況に近づきつつある」と指摘する。 (05/26 03:04:朝日新聞)
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ブッシュの一般教書演説に関して以前、ふれたことがあります。
無謬性を一方的に要求することの愚かさ

誤りを訂正・修正しなければどの分野でも発展はないのですから、医療訴訟というのも医療システム・医療現場へのフィードバックとなるわけで、決して悪いものではありません。ただ、行き過ぎた請求、蓋然性ゆえに生じる負の事象にまで賠償訴訟がなされることは正当なだれも幸福にしないのです。(ブッシュ演説を参考)

このブッシュ演説、マスコミがほとんど取り上げなかったので(わたしはあえてそうしていると思っている)、ウェブでもほとんど取り上げられてません。
参考

by internalmedicine | 2004-05-26 11:35 | 医療一般  

障害肢対側にも神経障害が生じている

なにか新しいことを知るとわくわくするのですが、この論文もそうです。


たとえば一側下肢切断した場合、通常対側は正常と判断すると思いますが、実は
対側にも障害が及んでおり、なんらかのtransmedialな変化が生じているという
話しです。

幻肢痛なども興味ある話しですが、これってメカニズムとか、臨床的意義など、
なにか知ってられる方がおられる可能性があり、しばらく、専門家に聞いた上で追加コメントを記載したいと思います。


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Unilateral nerve injury produces bilateral loss of distal innervation
Annals of Neurology Volume 55, Issue 5 , Pages 639 - 644

同側の右・左身体部分を神経分布するニューロンの間に解剖学的な結合をしめす
ものは知られていない。しかしながら、片側の障害後両側の異常を来す患者が知
られているが、この現象は認められず、特徴化もされていない(名称もないかな?)。
故に、ラットで頸骨神経の一側を結紮・切断による影響を障害側の同側と対側の
後ろ足における感覚神経機能・神経支配の密度を1日目と5ヶ月目をしらべた。
頸骨神経、腓腹神経神経支配を足の皮膚からの組織で上皮神経末端の免疫ラベル
による定量化した。プラセボ疑似操作にて対照がなされた。
Axotomize(軸索切除)されたラットは同側脛骨神経支配皮膚領域ではすべての時
間でPGP9.5神経支配のほぼ完全消失であった。
近接同側腓腹神経神経支配皮膚領域では除神経効果なしの神経持続性痛覚過敏が
あり、手術後5ヶ月めには軸索の突然の神経発芽がみられた。

対側後足では脛骨神経支配領域の上皮の神経支配が1週間後54%消失、その後
持続性に続く。対側腓腹神経支配皮膚領域は神経軸索形成や神経発芽もない。

この結果は、片側神経障害は、同側同様に反対側でも長期持続的な神経支配特異
的な遠位側神経支配の障害を生じることを示唆。

障害側対側の組織を正常の対照としてとらえることが誤りであり、均一な鏡像的
神経ニューロン間の正中面を通る外傷後の迅速に形成される信号の存在が示唆さ
れる。
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by internalmedicine | 2004-05-25 11:49 | 医学  

2年前の私たちの予測より受診抑制は激しかった

7月23日夕方NHKニュースで、“サラリーマン本人の医療費の自己負担が3割に引き上げられた影響で、糖尿病の患者の一部は必要な治療を控えたことがわかりました。厚生労働省の研究班は治療を中断しないよう職場や地域で対策を検討すべきだと指摘しています。”
46名調査で、「6ヶ月で受け取る薬が、3割導入前4.67ヶ月分→4ヶ月分」と減少した”とのことです。

糖尿病の治療が自己負担増によりどのようにして変化したのかを示したものです。


私が知る限り民間放送は全く取り上げず、NHKも午後7時のニュースではふれられておりません。

私としては、受診抑制率がどの程度なのか知りたいと思っていたので、格好の材料なのです。しかし、46名調査はあまりに少ないような気がします。
畝 博 福岡大学医学部教授の“医療費の自己負担増による高血圧症患者と糖尿病患者の受診行動の変化”という平成13年度科研費のテーマのようです。


Framingham Heart Disease Risk Calculator
http://www.intmed.mcw.edu/clincalc/heartrisk.html
によると

たとえば、60歳・男性で、コレステロール260mg/dl、収縮期血圧180を放置すると10年以内に21%に心臓疾患のリスク。
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Age: 60
Gender: male
Total Cholesterol: 260 mg/dL
HDL Cholesterol: 40 mg/dL
Smoker: No
Systolic Blood Pressure: 180 mm/Hg
On medication for HBP: No
Risk Score* 21%
Means 21 of 100 people with this level of risk will have a heart attack in the next 10 years.


60歳男性で、まじめにコレステロール180mg/dl、収縮期血圧120mmHgだと10年間に10%の心疾患リスク。
────────────────────────────────────
Age: 60
Gender: male
Total Cholesterol: 180 mg/dL
HDL Cholesterol: 45 mg/dL
Smoker: No
Systolic Blood Pressure: 120 mm/Hg
On medication for HBP: Yes
Risk Score* 10%
Means 10 of 100 people with this level of risk will have a heart attack in the next 10 years.
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自己負担増による受診抑制は、合併症増加により結果医療費増加につながります。


患者負担増で医療費抑制

拙筆再掲
このときの推計より受診抑制の程度が激しいということがわかりました。


小泉氏により犠牲者増加は確実に進んでいます。

by internalmedicine | 2004-05-24 16:06 | 医療一般  

重症外傷患者への挿管には麻酔下挿管が必要で、パラメディカルの挿管に合理性がない

世の中誰が方向性を決めるのか?科学的議論を経ず、医者に独占されたらたまらないということで、救急手技がパラメディカルへ拡大されてます。

パラメディカルの除細動はその状況から現状のメディカルコントロール内での施行は私自身は文句ありませんが・・・


気管内挿管というある程度経験回数が必要な手技を救急隊員に許して良いのか?もう少し科学的議論が必要と思います。世の中医者がすべて悪者で、独占していると思いがちですが、独占させないと手技の向上がはかれないと考えてます。救急隊員まで訓練をしていると、技術向上に関する社会的資源は限界がありますので、医師の技術向上が図れなくなると思われます。


私などは座位挿管なるものができないと、気管支鏡をさわらせてもらえないという手技の勉強させられました。経験数が少ないと到達できない医師もいるのです。

救急隊員に挿管を教え、それがほんとに実地で役立つのか、疑問を呈した論文を昨年
読みました。それを提示します。



重症外傷患者への挿管には麻酔下挿管が必要で、パラメディカルの挿管に合理性がないという論文です。
麻酔・挿管のできる医者をロンドン、デンマークのように配置することができればよいのでしょうが、日本では多くの場合現状にあわないようで・・・

でも救命率の高い挿管となると、麻酔下挿管のできる医師が現場にいくべきとい
う方向性が見えてくるような気がします。

Prehospital tracheal intubation in severely injured patients: a Danish observational study
BMJ 2003;327:533-534 (6 September)
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重症外傷の患者へのadvanced prehospital life support、具体的には、救急隊
の気管内挿管の価値は不明である。一つしかRCTがみられず、しかもその内容の
critical reviewではbenefitを見いだされていない。

デンマークでは、救急隊員は挿管しない、麻酔医が救急ケアを院内外で行っている。

1998年から2000年までの間、外傷チームは741件で活動し、200名が重症。
mobileユニットへ172名運ばれ、到着前挿管は74例(重症患者の43%に相当)で行
われた。このうち84%が麻酔下挿管であった。
麻酔をうけた58%(36/62)、麻酔を受けなかった例では1例のみ、わずか8%のみ6ヶ月生存
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中途半端な手技をならった救急隊員が、真に必要かどうかわからない状況で挿管をしている、そういう事態はこわくないのでしょうか? お役人さんや救急のおえらいさんたち・・・マスコミ・・・

by internalmedicine | 2004-05-22 12:00 | 医療一般