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インフルエンザワクチン節約法 その2

米国では皮下注に換えたらワクチン量の節約になるという話から、さらに節約できるんだという報告、単に1/10でも効くんだということだそうです。

抗体が高いほどよいと言い続けている一部研究者からみれば卒倒しそうな報告ですね。


NEJM Volume 351:2339-2340 November 25, 2004 Number 22
http://content.nejm.org/cgi/content/full/351/22/2339

18-40歳でHAIで陰性である症例を対照としたリン酸緩衝生理食塩水で1/10量としたFluatrixを使用して、第Ib相対照二重盲験研究を行ったところ、単回の筋注




1/10でも、健康成人でも予防的抗体量が得られる(95%CI最低値 93%)


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 A/Sydney/5/97(all)
  Day O 103±134 71±84
  Day 14 443±421 1071±883
  Day 28 447±412 989±904
  Day 56 430±394 857±805

 A/Sydney/5/97 (baseline titer, si:20)
  Day O 20±0 20±0
  Day 14 400±504 1360±1000
  Day 28 346±464 1227±1064
  Day 5 6 287±365 1147±1110

 A/Beijing/262/95
  Day O 22±6 20±0
  Day 14 899土1100 1399土2640
  Day 28 1302土1900 952土1390
  Day 56 1207土1806 864土1398

 B/Harbin/7/94
  Day O 21土3 20土0
  Day 14 169土154 466土673
  Day 28 213土189 349土436
  Day 56 188土164 309土396
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?cmd=retrieve&db=pubmed&list_uids=15297066&dopt=Abstract

by internalmedicine | 2004-11-30 11:09 | 呼吸器系  

リピトール血糖増加作用はほんとに臨床的インパクトはないのか?


PROVE-IT(TIMI22)への反論ではありませんで、ファイザーが今、一生懸命に宣伝しているCARDS研究についてLancetにto editor記載され、atrovastatinへの疑問がされておりました。

CARDS研究は悪玉LDLコレステロール増加のない2型糖尿病でatorvastatinを用いると、脳卒中・心血管障害イベントを予防できるという、高脂血症治療薬としての主作用ではなく、いわゆるpleiotropic効果を示すもので、脂溶性スタチンの宣伝文句なのでしょうが・・

conclusiveな判断は未だ行いかねますが、ファイザーらしく、そうそうたる御用教授どもを全面にだして、このCARDSの結果で“多少の血糖増加は無視してもよいのでは・・・”キャンペーン・プロモーションすることは確実なのでは・・・

おそらく、全国各地で展開される議論となることは必定の質疑応答集として・・
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Statins for patients with type 2 diabetes
http://www.thelancet.com/journal/vol364/iss9449/full/llan.364.9449.analysis_and_interpretation.31318.1


質問者:Collaborative Atorvastatin Diabetes Study (CARDS)研究で、atorvastatin10mgの2型糖尿病、LDL高値でない患者に対する、卒中を含めた心血管イベントリスク減少の有効性の研究に関して、疑義有り

LDLコレステロールが高くない2型糖尿病にスタチンを長期投与することに関して結論づけることはできないと私は思う。
HbA1cは確かにプラセボと同様だったがインスリン治療へ変更やインスリン+経口血糖降下剤へ変更されたものの数はプラセボより治療群が多かった。さらにベースの経口血糖降下剤は両群とも65%で、5年後プラセボで57%と低下し、atorvastatin群では54%である。この違いは対照と比較したときのatrovastatinの血糖の急激な悪化を示唆する。
ベースラインでは両群ともインスリン単独は15%の割付だが、4年後対照群では20%、治療群では21%。さらに、インスリン+経口血糖降下剤対照群で4%、治療群で5%であったが、それぞれ17%、19%へ増加している。
European Union Summary of Product Characteristics(Summary of product characteristics for Torvast (atorvastatin). Pfizer, August 2003.)で、atrovastatinの高血糖指摘。LDLコレステロール高値場合の2型糖尿病患者へのatorvastatinの長期安全性・有効性への疑問はまだ未解決。


著者の反論:
CARDSの結果で2型糖尿病、平均4年間フォローアップで心血管イベント37%減少、冠動脈疾患36%減少だったが、急激に血糖コントロール悪化事例があるのではないかとの指摘が有り、長期安全性と有効性への疑問を呈しているわけである。
atorvastatin群ではインスリン必要な状況を2%ほど増加・付加させているが、否定的な臨床的な有意な差ではないし、長期合併症、とくに冠動脈、脳卒中への影響を及ぼすものではない。
4年後のHbA1cの相違はなかったわけだし、むしろatorvastatin群が0.1%ほど高かった。しかし、この程度の違いで、実際、将来のどの程度の違いが出るかわからない。しかし、UKPDSのデータから冠動脈疾患減少期待の程度は約1.9%で、(CARDSと比較して)ちょうど37%であった。糖尿病コントロールの大規模副作用はatorvastatin治療によるbenefitの方が大きいくらいだ。

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atorvastatinによる血糖増加というのはどの程度のインパクトを持つのか、あるいは、個体により影響が違う可能性があるのか、用量依存性なのか、いろいろ疑問点があるような気がします。個々の事例で血糖の厳重注意は必要でしょう・・・もっとも糖尿病患者なので血糖は定期的にはかられているので現実的にはさほど危険性がないのかもしれません。

by internalmedicine | 2004-11-27 11:36 | 動脈硬化/循環器  

遺伝子ばかり


誤解無いように・・・・いわゆる“遺伝子還元論”・・・遺伝子がわかると性格までわかるという誤った考えの紹介から・・・・

gene&behavior
http://www.bbc.co.uk/health/genes/lifestyle/genes_behaviour.shtml
近年、“遺伝子と行動”に関して語られることが多くなった。遺伝上プログラムされて犯罪や薬剤依存、アルコール症となったのだという考えが多くの人の興味を引きつけている。ホームレスとなったことまでも遺伝子のせいだを非難する。
多分社会問題のたくさんの問題を考えるより、行動の責任を問うより、そしてより複雑な原因を追及するより、すべてを遺伝子のせいにして批判した方が簡単なのである。
我々は遺伝子の慈悲の元の奴隷であるということは真実の粗野な誤解釈である。
いかに多くの影響が比較的シンプルな人間の性格に影響をあたえるかをみな知っているのだが・・。多くの複雑な特質、性的、モチベーション、パーソナリティーといったものが、影響の混合物として遺伝子を包含する。しかし、環境要因のまぶしいばかりの混合物である。


“浮気遺伝子の紹介”
Genes may be to blame for infidelity
http://news.bbc.co.uk/2/hi/health/3783031.stm

具体的じゃなかったので・・・よくわからん


・遺伝子一つで雄の浮気は止まる
http://www.mainichi-msn.co.jp/kagaku/science/news/20040722dde012040014000c.html

'同性愛(ゲイ)遺伝子'
http://www.ksg.harvard.edu/citizen/00apr17/mill0417.html

我々のゲノムは、DNAをメチル化する化学的マーカーを加えることでプログラム化され、不活化、遺伝子のシャットダウンが生じる。すべての女性のおける2つのX染色体のうちの一つのシャットダウンがメチル化の中でもっともドラマティックなサンプルであり、X不活化である。(New Scientist print edition, 10 May 2003).
(X染色体の不活性化(X inactivation:http://bunseiri.hp.infoseek.co.jp/DNApage.htm
正常ではこのプロセスはランダムであり、どちらかのX染色体が不活化される。
しかし、カリフォルニア大学のSven Bocklandtは、ゲイの息子を持つ母親にこのプロセスが極端に偏っている。このかたよりはゲイをもたない場合は息子は4%、ゲイの息子がいる場合は23%であった。母親は全員健康であった。娘もまた影響を受けていない。
X染色体のメチル化のskewingがその息子がゲイに進むことへの影響が大である。
母親は自身で“わたしは男性が好き”プログラムをリセットできない。
http://www.newscientist.com/news/print.jsp?id=ns99996612



○“遺伝子と暴力”
・Science 1993:http://bioweb.usc.edu/courses/2001-fall/documents/bisc403-science.pdf
・モノアミン酸化酵素(MAO: monoamine oxidase)Aをコードする遺伝子に注目。
遺伝的多型性によりMAO Aの活性レベルの低い子供は成長して問題行動を起こす可能性がより高い。
http://www.brainyencyclopedia.com/encyclopedia/m/mo/monoamine_oxidase.html

「高活性」群においては虐待体験のレベルと反社会的行動の間に相関は見られなかったが(p =0.12)、対照的に「低活性」群では高い相関が認められたのである(p <0.001)。“虐待という因子を入れると、MAOAと反社会的行動との間に相関が認められた”
http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/agc/ishiura/ishiura01.html


COMTと攻撃性(統合失調症)
http://ajp.psychiatryonline.org/cgi/content/full/155/6/835#R1556221


○Genes and intelligence

・“Williams syndrome”という稀な病気は第7染色体の部分的欠失で約5%がこの遺伝子欠失の疾患だが絶対的音階をもつ
http://www003.upp.so-net.ne.jp/Williams/S6/6-1-14.html




・IGF2R:第6染色体長腕に存在:
http://flysci.com/genome/genome_6.asp
Allele 5はきわめて高いIQグループ46%で少なくとも1つの“IGF2R Allele 5”、平均的IQグループでは23%。

・D2ドパミン受容体対立遺伝子A1は認知機能と無関係
http://www.kluweronline.com/article.asp?PIPS=424921&PDF=1
 ドパミン受容体D4遺伝子とnovel seekingの関連から類推されたのか・・・
 

ちょっと復習

ほとんどの動植物の体の細胞は2倍体である.すなわち,各細胞は,染色体のコピーを2対もっている.したがって,各細胞はすべての遺伝子をそれぞれ片親から受け継いだ,2コピーずつもつことになる.しかしこれら2コピーは必ずしも同一であるとは限らない.このような遺伝子は対立遺伝子とよばれている.異なる対立遺伝子は,Aとαのように大文字と小文字で表示される.ある特定の遺伝子に関して三つ以上の対立遺伝子を1個体がもつことはないが,同種の1個体群のなかには一つの遺伝子に関して三つ以上の対立遺伝子がみられることも多くある.AAやααのように同じ対立遺伝子を二つもっている個体はホモ接合体とよばれる.一方,Aαのように一つずつ異なる対立遺伝子をもっている個体はヘテロ接合体とよばれる.
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生物の世伝構成を遺伝子型といい,たとえば,あるへテロ接合体はAαの遺伝子型をもっているという.そして,観察されうる形質として現れた生物の特徴を表現型とよぶ.生物の表現型には,その形態(花の色など),行動(鳥の求愛行動など),生化学(体内の遺伝子産物であるタンパク質の鼓など)が含まれる.同一の表現型をもつ2個体でも異なる遺伝子型をもつこともありうる
a0007242_11313284.gif


ケイン生物学から・・・


ステッドマン辞典から・・・
・allele:対立遺伝子,対立因子.対立遺伝単位、対立形質(特定の染色体上の同一の座を占める2つ以上の一連の異なった遺伝子のうちの1つ.常染色体は対になっているので.各常染色体の遺伝子は正常の体細胞中では二つになる.もし同じ対立遺伝子が両方の座を占めると、その個体あるいは細胞はこの対立遺伝子に関してホモ接合となる.対立遺伝子が異なるときは,その個体あるいは細胞は、両方の対立遺伝子に関してヘテロ接合となる.

・gen・o・type.遺伝子型(個体の遺伝的構成.(2)1個の特殊な遺伝子座における遺伝子の組合せまたは週伝子座の特殊な組合せ.
zzg・zz遺伝子型(α,-抗トリプシンの欠損と肺気脈をもつ個体)

・phe・no・type.表現型(遺伝子型と環境によって規定される個人の身体的・形態的・生化学レベルでの観察可能な特徴)

by internalmedicine | 2004-11-26 18:41 | 医学  

SSRIの重大な副作用:異常出血増加

臨床上重要な情報だと私は思うのですが・・・今回も各製品会社無視となるか?

SSRI使用者に異常出血増加し、セロトニン取り込み阻害活性の作用が強いほどリスクが増す。

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(Arch Intern Med 2004;164:2367-70).
http://archinte.ama-assn.org/cgi/content/abstract/164/21/2367
セロトニンは、血小板凝集に重要な役割を果たすと事が知られている。抗うつ薬はこの血液中のセロトニン値に影響を与えるので、異常出血のリスク増加につながる可能性があることが考慮されているが、しかし、まだこの結論は出ていなかった。
仮説をテストするために、オランダUtrechtのUtrecht Institute for Pharmaceutical Sciencesでは、1992-2000年の64000名のnested case-control studyを行った。
オランダの85万人以上の投薬歴PHARMOデータベースから収集、少なくとも30日のSSRI投薬を受けた患者群。
病因多因データと処方データをマッチさせ、SSRI服用異常出血の初期診断で入院した患者を同定。年齢、性で対照をマッチ。SSRIの程度、薬剤自身の、セロトニン担体への結合性で定義されるセロトニンreuptake阻害作用の程度で分類:高、中間、低

196例の異常出血を同定、尿路出血、上部消化管出血、脳出血、血尿、鼻出血、喀血、関節血症、血腫、手術後の過剰出血を同定

入院リスクは
中等度活性SSRIでodds ratio 1.9,(95%CI 1.1 - 3.5)
高度活性SSRIで2.6(95%CI 1.4 - 4.8)

異常子宮出血のサブグループ解析で有意でなかったが、
低活性のSSRIに比較して
中等度SSRIで 1.7(95%CI 0.7 - 4.1)、高度SSRIで3.0(95%CI 0.8 - 4.9)
――――――――――――――――――――――――――――――――

入院や死亡事例に基づくこれまでの検討では出血事例を見逃している可能性があることを指摘。


相互作用・セロトニン阻害作用を有する他の薬剤との関係も、考察される・・
http://www.bentham.org/sample-issues/cmc9-8/spinks/spinks-ms.htm



SSRIと消化管出血に関しては忘れられない思い出、といっても臨床体験ではなく、薬剤会社との思い出ですが、

下記論文
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They report a case control study in which the risk of bleeding was increased around threefold in patients taking SSRI antidepressants. The absolute effect was moderate, and similar to that of low dose ibuprofen. For patients taking concurrent SSRI and NSAID therapy, the risk was greater than the sum of the independent effects (British Medical Journal 1999;319:1106).
http://bmj.bmjjournals.com/cgi/content/full/319/7217/1106
――――――――――――――――――――――――――――――――
を提示して、当時たまたま訪問したF社のMRさんにSSRIの消化管出血に関するリスクを訪ねてみたところ、文献をみせた上にもかかわらず、「ありません」の即答、せめて調べてから返答せよと、怒ったところ、その後も文献提示無く、「あんた、なんのためにうちにきてんだよ」と、怒り爆発。
その後、上司来訪して気が静まり欠けたところ、「当方のMRがそんなコトするはずがありません」との弁、「じゃー、あんたんところのSSRIが消化管出血と関係ないという、その文献を検索したんだろ、だったらみせてみろ」とさらに怒りが静まらず、当方とF社の冷たい関係がつづいております。
なんのためのMR(医薬情報担当者)なのだ・・・単なる製品紹介・宣伝だけじゃなく製品の安全性、適正使用を説明できてこそのMRではないのか・・・合併してでかくなるそうですが・・・F社の悪い伝統だけは引き継がないでほしいものです。

by internalmedicine | 2004-11-26 10:28 | 医学  

とんでも 高血圧ガイドライン

とんでも 高血圧ガイドライン JSH2004


と私は思う

“α遮断薬はエビデンスが少ない”と書いているのに“α遮断薬を就寝前に服用する”ことを推奨している。
P社の影を感じる。
http://www.medical-tribune.co.jp/mtbackno/3104/04hp/M3104281.htm

“ドキサゾシン群の追跡が中止”に追い込まれたのを忘れたのだろうか・・・?
http://www.cardiovascular.jp/allhat_outline.html


・高齢者高血圧治療は“JSH2000では高齢者の血圧は下げないほうがよいという誤解を招いた”という反省を行ったにもかかわらず、暫定的高圧目標値、最終目標というダブルスタンダードまで設定。


・脳血管合併症や虚血性心疾患合併症は、“慎重で”緩徐な降圧必要と、また誤解を招きそうな表現がある。


・降圧利尿剤を第一選択薬にしない根拠・・・意味不明

by internalmedicine | 2004-11-26 10:26 | 動脈硬化/循環器  

閉塞型睡眠時無呼吸症候群におけるCPAP導入方法のステップの簡略化の可能性・・・


閉塞型睡眠時無呼吸をひた隠しにしょうとする運送関連業者が明らかにいます。

Epworth眠気スコア(ESS)は本来昼間の眠気という病態の重症度を示すだけであり(参考)、選り分けに役立たつというエビデンスがないにもかかわらず(当方を含め、多くの施設でESSがスクリーニングに役立たないというデータはいくらでもあります)、国土交通省が野放しにしており、しかもアンケート法なので客観的でもなく、恣意的改ざんができるのです。それに対して厳格な罰則もないのです。

公共交通機関の運転手にあっては酸素飽和度の夜間モニタリングの義務化をしなければ隠れた労働災害は無くならないだろうと思います。

犠牲者を出し三菱自動車は社会的制裁を受けていますが、今後、睡眠障害による被害者が出てくるであろうと予測でき、その運送業者は社会的制裁を受け、その会社の存亡に関わることとなるのだろうと考えられます。そして野放しにした行政の方にも批判の眼がむけられることででしょう。

マスメディアの皆さん、是非 運送業における居眠り事故の裏側を暴いてください。


ところで、閉塞型睡眠時無呼吸(OSA)の診断され、かつ、ある程度の重症度以上の場合はマスクによる持続陽圧呼吸(CPAP)が行われますが、本来は、適正圧の測定がなされて、その後、初期圧設定の上で、CPAPの導入がなされているはずです。

それがある種のプロトコールに従ったり、自動CPAPなら、その部分を省いて好いのではないかという話が出てきております。
ただ、私の場合は慢性閉塞性肺疾患などが絡んでいる場合も否定できず、やはり全例そのまま、外来で導入ということには賛成できませんが・・

Alternative Methods of Titrating Continuous Positive Airway Pressure
http://ajrccm.atsjournals.org/cgi/content/abstract/170/11/1218
American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine Vol 170. pp. 1218-1224, (2004)
SAHS患者のCPAP療法の標準的方法は、検査機関でPSGによる圧タイトレーションが要求されるものであった。しかし、PSGタイトレーションは効果であり、時間がかかるものである。CPAP-naiveな患者の大規模数で、医療の関連しない自動補正CPAP装置の場合と予測式使用の場合でもPSG施行下のタイトレーションと同様のパフォーマンスがあった。

360名のCPAP治療必要なSAHS。3つのグループにランダム化(医療の関連しない自動補正CPAP装置の場合、予測式使用の場合、CPAPタイトレーション)
主なアウトカムはAHI、自覚的な昼間の眠気、フォローアップは12週。
何れのアウトカムでも3群間は類似。客観的なCPAP治療のコンプライアンス、ドロップアウト率も同程度。
自宅での自動補正タイトレーションと医療的予測式タイトレーションは標準的タイトレーションに代換可能。コストの節約となり、ウェイティング・リストの減少に役立つかもしれない。

自動タイトレーションに関してはすでに報告有り→参考

by internalmedicine | 2004-11-25 15:40 | 呼吸器系  

びまん性肺疾患の診断:臨床医・レントゲン医・病理医の連携

びまん性の肺病変は診断が難しく、診断過程がその後の予後にクリチカルなことが多く、非常に考え込むことが多いのです。そして、診断のゴールデンスタンダードが、手術的、最近は胸腔鏡をもちいることが多くより非侵襲的になったとはいえ、多大の負担を患者に与える肺生検なので、特に難しい病気だといえます。
ただ、古典的な典型的事例も多く、また、臨床的経験に依存すると思いますが、明確なBOOP(CIP)のような事例もあります。診断過程を研究した論文でした。


臨床診断、HRCT診断のPPVは約90%と言われ、IPFの30例の典型的ケースの場合、手術的生検を行うことを正当化する現在困難となっている。現在、臨床的な所見とHRCTで非組織学的に診断を行うことは実地上容認すべき状態である。
しかし、IPF以外である可能性が高い場合、組織学的情報を加えることが臨床家や放射線医の診断が変更される事がある。
Editorialから

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Idiopathic interstitial pneumonia: what is the effect of a multidisciplinary approach to diagnosis?
Am. J. Respir. Crit. Care Med..2004; 170: 904-910.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?cmd=Retrieve&db=pubmed&dopt=Abstract&list_uids=15256390
3名の臨床医、2名の放射線医、2名の病理医にて58例の間質性肺炎を疑う事例を連続にレビューし、個々の参加者が次のようなステップ毎のそれぞれの所見を記録
――――――――――――――――――――――――――――――――
step1:エクスパートな臨床医と放射線科医がHRCTを独立してレビュー
:臨床的・病理学的な情報無し
信頼レベル:1=definite、2=probable、3=possible、4=definitely not
step2:臨床情報とHRCT→診断的印象を提出
Step3:診断的印象をディスカッション、個々の診断と信頼レベルを表記
Step4:病理医がスタディーに入り込む、肺生検の解釈をディスカッション
病理医は個々に機能し、個別の解釈を書き込まない
Step5:参加者全員がおのおのの解釈を議論
コンセンサスを得ようとせず、個々の診断と信頼レベルで記載
――――――――――――――――――――――――――――――――

観察者間一致率は、Stepが進行するに従い、高くなる。

組織学的な情報提示後、放射線医は臨床医より診断印象をより多く変更する傾向にある。
多くの情報が提示される毎に診断の信頼値が増加する。高い信頼値の診断は、最終病理学的に一致した診断結果と合致する傾向にある。
最終的な一致した病理的診断IPFの30例。
病理的情報提示善に、臨床家は75%、放射線医は48%を同定。
病理組織学的病名がfinal diagnosisにもっともインパクトがあった。
最終的な結論として、臨床家、放射線医、病理医のダイナミックな関係が観察者間のそして診断的信頼性を向上すると結論づける。
――――――――――――――――――――――――――――――――


Step1から5のようなダイナミックな相互関係を利用した診断の試みというのも新しい診断手段となるかもしれないようの論評もあります。開胸肺精査というのは患者に身体的ばかりでなく心理的負担、そして生命の危機さえを強いるものだけにどうしても消極的になりやすいものです。ただ、しっかりした診断が重要なことは疑いもないわけで、そういう場合に、開胸肺精査となれば、この臨床家(呼吸器科)・放射線科医、病理医に加え、胸部外科医や麻酔科医の協力も必要となるわけです。




ATS/ERS委員会で、特発性間質性肺炎の再分類がなされた
新分類
組織診断:臨床-レントゲン的-病理診断

by internalmedicine | 2004-11-24 21:52 | 呼吸器系  

心房細動:肥満→左房拡大→心房細動の機序


肥満は、高血圧、冠動脈疾患、糖尿病、左室肥大、左房拡大、うっ血性心不全と関連。
高血圧とうっ血性心不全がAFの進展と関与。
最近、肥満患者の40%をしめる閉塞型無呼吸患者がAF(http://www.guidant.jp/physician/atrialfib/index.shtml)と関連するというデータがある。

AFは最も多い心臓の不整脈でここ10年で米国では7倍に増えた。AFに関与するリスク要因を同定することは重要な仕事とのこと・・・


年齢、糖尿病、高血圧、心血管疾患と関連がある
参照1 参照2 参照3 参照4

と、これまでは、肥満との関連は明らかでなかったらしい。ただし、左房径で補正されてしまうらしく、肥満→左房拡大→心房細動の機序があきらか・・・
ほかのリスク要因も同様か?

 ↓

Obesity and the Risk of New-Onset Atrial Fibrillation
http://jama.ama-assn.org/cgi/content/full/292/20/2471
JAMA. 2004;292:2471-2477.
13.7年の平均フォローアップ、526名(女性234名)のAFへの進展。
3つのBMIカテゴリー(<25.0; 過体重 25.0 かつ <30.0;肥満 ≥30.0)で
男性:9.7 10.7 14.3 / 1000 人年
女性:5.1 8.6 9.9 / 1000 人年

多変量解析で、BMI1単位増加毎4%増加(男性:95%CI 1%-7%; P = .02 女性:95%CI 1%-7%; P = .009)
肥満に関するAFの補正ハザード比は、正常と比較したとき男性 1.52 (95% CI, 1.09-2.13; P = .02)、女性 1.46 (95% CI, 1.03-2.07; P = .03)

臨床的リスク要因に加え、心エコー上の左房径で補正したとき、BMIはもはやAFリスクと関連しない(1 unit毎の補正ハザード比 男性:1.00 [95% CI, 0.97-1.04], P = .84;女性:0.99 [95% CI, 0.96-1.02], P = .56).
【結論】
肥満は重要なAFのリスク要因で、左房径によるものと思われる。このAFの比率を減少させる介入の可能性が示唆
――――――――――――――――――――――――――――――――

“心房細動”&“再構築”・・・google scholarで、検索
http://scholar.google.com/scholar?q=fibrillation+remodeling&ie=UTF-8&oe=UTF-8&hl=en&btnG=Search

by internalmedicine | 2004-11-24 16:28 | 動脈硬化/循環器  

脂質低下薬の横紋筋融解症による入院頻度・・・・フィブラート使用に注意信号となるか?

脂質低下薬の横紋筋融解症による入院頻度は、コレステロール治療反対原理主義者たちには非常に利用しやすい論文でしょう。


問題の薬剤であるバイコール:cerivastatinは、現在市場にない薬剤なのに、なんで 速報なのか、わからんのですが・・・
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/kaisyu/kaisyuu2001-2-232.html


cerivastatin以外のスタチンの安全性を強調したかったのか?

Incidence of Hospitalized Rhabdomyolysis in Patients Treated With Lipid-Lowering Drugs
http://jama.ama-assn.org/cgi/content/abstract/292.21.2585v1?etoc
JAMA. 2004;292:(DOI 10.1001/jama.292.21.2585).
252460名の脂質低下薬治療をうけたうち、24件の横紋筋融解症入院
10万人年の平均頻度
・atrovastatin、provastatin、simvastatinは0.44 (95%CI 0.20-0.84)
・cerivastatin 5.34 (95% CI 1.46-13.68)
・fibrate, 2.82 (95% CI 0.58-8.24)
・薬剤未使用 0(95% CI 0-0.48; P = .056)

・併用療法群
fibrate+(atorvastatin、pravastatin、simvastatin): 1035 (95% CI, 389-2117)

・横紋筋融解症NNT(the number needed to treat):
 スタチン単剤:22 727 for statin monotherapy
 スタチン・フィブラート系投与の糖尿病老人:484
  ※このNNTの使い方、通常と違います。ほんとはNNH(Number Needed to Harm)だと思うのだが・・・
 ceivastatin+bibrate:9.7-12.7

【結論】横紋筋融解症のリスクは、atorvastatin、pravastatin、simvastatin単剤では同様で少ない発生率;statin-fibrate併用は糖尿病老人患者においてリスクを増加させる。cerivastatin+fibrateは1年に1-1-治療必要とするリスクである。
――――――――――――――――――――――――――――――――

fibrate系薬剤は、高中性脂肪血症、PPARαを介してインスリン抵抗・メタボリック症候群など概念の上では効果があるようなのですが、今回の横紋筋融解症の副作用をとっても今一つ劣勢です。
http://www.livalo.com/c/05/04.htm

フィブラート系薬剤の臨床的アウトカムの利益が今一つ明らかでないだけに(参考
“NNHでいけば、1年に100名に1名がフィブラート使用による横紋筋融解症で入院せざる得なくなり、フィブラート系薬剤は使いにくい。

どうもこの辺が速報理由かと邪推・・・

ただ、atorvastatinの血糖悪化は問題なのでは?
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・ACS患者で高用量アトルバスタチン群でプラバスタチン群より血糖コントロールが悪化
PROVE-IT(TIMI22)のサブ解析
http://medwave2.nikkeibp.co.jp/wcs/leaf?CID=onair/medwave/colm20/343241

・“日本ではアトルバスタチンによる血糖管理の悪化が認められたという報告が散見”
http://www.medical-tribune.jp/congress/landmark/cards/cards_zadan.html
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ダブルブラインドでもないし、まともな対照もないJLITというまともでない研究ではなにもいえないし、否定も・肯定もできるはずがない・・・



ref.
循環器学会情報

by internalmedicine | 2004-11-24 14:40 | 動脈硬化/循環器  

動脈硬化疾患既往患者では直接関連する死亡率と肥満はさほど関係がない

動脈硬化疾患既往ある患者のその後のその原因による直接の死亡率と肥満はさほど関係がない・・・いろんな解釈の仕方ができそうです。

既往がない場合は肥満と関連は確定的なのか、ちょっと心配になり、検索
http://scholar.google.com/scholar?q=obesity+mortality+cardiovascular&ie=UTF-8&oe=UTF-8&hl=en&btnG=Search
:google scholar便利
無論、独立した危険因子であることは・・・間違いない   が・・・・

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Body Mass Index and Total and Cardiovascular Mortality in Men With a History of Cardiovascular Disease
Arch Intern Med. 2004;164:2326-2332.
http://archinte.ama-assn.org/cgi/content/abstract/164/21/2326?etoc
【背景】
一般住民におけるBMIと動脈硬化疾患と関連する心血管・総死亡率の相関を同定するようデザインされた研究が以前からあったが、相反する結果が出されている。
心筋梗塞、卒中の病歴を報告されている男性のリスクをthe Physicians’ Health Study enrollment cohortを利用して検討(ガンの病歴除外!)
【方法】原因特異的死亡:平均5年フォローアップ5010名の男性
4つのカテゴリー:<22.0, 22.0-24.9 [referent], 25.0-27.9, and ≥28.0に分類
【結果】
BMI 22.0-24.9の男性との比較、年齢補正
≥28: 1.04 (95% CI, 0.84-1.28)

BMI 22.0-24.9の男性と比較
≥28: 1.11 (95% confidence interval [CI], 0.91-1.36)


肥満の生物学的メディエーター(高血圧、高脂血症、糖尿病などの有無)を含まないモデルではRR 1.04(95%CI 0.84-1.28)

上記メディエーターを含むモデルではRR 1.06 (95% CI, 0.78-1.44)


心血管死亡率RRは類似:1.07 (95% CI, 0.85-1.35), 1.01 (95% CI, 0.79-1.29), and 1.01 (95% CI, 0.71-1.43), respectively.

BMI22.0未満では死亡率増加と心血管死亡率のリスク軽度増加の相関が見られた。


【結論】この所見は冠動脈疾患の既往のある場合は、BMI増加が総死亡率・心血管死亡率と強い相関があうのではない。
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インフラマトリー症候群示唆か?
http://intmed.exblog.jp/m2004-10-01#1245770

最近の“糖尿病患者では、高血圧、LDLコレステロール、高血糖、あるいはその組み合わせと比較したところ、3つのリスク要因のコントロールを悪くする・・・故に糖尿病患者では体重コントロールが大事”(http://www.healthday.com/view.cfm?id=522200
など、この肥満とCVDリスク全般・・・整理が必要かも・・・と、思うのでありました。

by internalmedicine | 2004-11-23 09:13 | 動脈硬化/循環器