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アスベスト(読売新聞)


朝日新聞に見られるアスベスト中皮腫報道のいい加減さ(http://intmed.exblog.jp/2209149/)を昨日書いたのだが・・・反論もいろいろ頂いたが・・・いづれも、当該記事がアスベストの環境暴露と中皮腫との因果関係を納得できるものではないと感じた。さらに朝日の下段の数値と、何倍という表現との乖離に、新たな疑問も生じた。いづれかで公的に発表される論文となるのであろうが、研究者自体も、学会・レフリー付きの論文で第3者の批評をうけず、持論をぶつのは勝手だが、社会的影響を考えればそれらを経てから報告するような、十分な慎重さがあってよいのではないかと思う。



そんな中、読売は・・・
消防職員、10年で中皮腫3人…うち2人は死亡(読売新聞) - 8月31日(http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050831-00000313-yom-soci


全国の消防団員数は九十一万九千百五人だそうで・・・
http://www.npb.go.jp/ja/books/whitepaper/aracontents/syobo/050330/siry0330.htm


朝日新聞の記事を信用すれば、年間14万人に1人(03年度)とされる全国平均・・・って 全国の消防団員で毎年平均6.6人死亡者がでてもおかしくない
統計の計算するまでもなく、意味のない記事なのだが・・・

(これを記事にするとは・・・朝日の方がまだマシ・・・といってもかなり低水準の争いなのだが)

メディアは何かを意図的に作り上げようとしているのではないのか?

by internalmedicine | 2005-08-31 22:59 | 呼吸器系  

カロリー制限による寿命増加はヒトではさほどありませんという意見

こういう考えもあるのかぁ・・・・と思いましてご紹介



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Caloric Restriction Won't Dramatically Extend Life Span In Humans: UCLA Research
http://www.newsroom.ucla.edu/page.asp?RelNum=6400

数十年厳しくカロリー制限をするすることは寿命を数年増やすことになるが125以上を越えることはできないと、 evolutionary biologist(進化生物学者)は報告してる。

元論文:“Why dietary restriction substantially increases longevity in animal models but won’t in humans
Ageing Research Reviews Volume 4, Issue 3 , August 2005, Pages 339-350


Phelanは、「ねずみでは、もし10%カロリー制限すれば、無制限に食事をとるのより長生きができる。もし20%制限すればさらに寿命が延び、50%と制限しても寿命は延びる;
しかし、60%間で制限すれば餓死する。」と述べている、
「人間では、齧歯類{げっしるい}と同じ結果を有しているようではない、食事制限は万能薬ではない。カロリー制限が寿命への好影響はほぼuniversalで有るが、その有益的な影響は小さく、例え、カロリー制限が確実で長期間であっても小さい。」

Phelanは、第一の数学モデルにてカロリー摂取と寿命の関係を、齧歯類の対照化実験kら得られたでーたにて、また、ヒトの研究での食事と寿命の関係を発展させた。
かれとMichael Rose、カリフォルニア大学の生体・進化生物学者教授はジャーナルのタイトルを"Why dietary restriction substantially increases longevity in animal models but won't in humans,"として発表した。

数学モデルで、ほとんどのカロリーを消費するひとは寿命を短くし、もしきわめて厳格に生涯においてカロリーを制限するなら、寿命は3-7%の間で増加し、ドラスティックなカロリー制限でも20プラスまでは至らないことを示した。
彼自身は7%より3%の方があり得ると考えている。
「カロリーと寿命のtrade-offの関係は線形であるが、それは急峻ではない”とモデルで示されていると、Phelanは述べている。

Phelanの結論は人生の最後の数年は価値のないものととしている。
「残りの人生を増やすために、極端な食事制限をして数十年過ごしたいか?もしそれで私より寿命が短ければ、あなたは不幸である」とも述べている。
・・・・・・・・・(略)・・・・・・・・・・・

「食事と寿命の関係はさほどドラマティックではないが、過体重にかかるコスト、心疾患他の生命を脅かす病気にかかるのリスク増大がある」

数学モデルに入れこんだデータは日本のカロリー摂取も含み、寿命は、通常の男性の2倍摂取している相撲取りと、平均未満の食事摂取の沖縄の男性を比較したものも含まれる。
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結論は、長年食事を制限されて楽しみを奪われたのに、その代償の寿命延長効果が少なすぎる・・・だったらたくさん食おうということか?

小食、粗食の楽しみというのもあると思うのだが・・・・・・? 短絡的すぎないか ・・・>Phelanさん

by internalmedicine | 2005-08-31 14:25 | 医療一般  

朝日新聞に見られるアスベスト中皮腫報道のいい加減さ

世間では朝日新聞の記者が、取材をせずに、捏造記事を作り上げたとのことが話題になっているが、私ども医者から見れば、以前から、新聞記事なんてほとんど、嘘ばっかり・・・かれらに、科学的良心があるのか検定をおこないたいくらいだ・・・

以前、10週類も薬を元気な患者に出しているなどと、取材もせずに印象だけで世論欄を書いていることを批判した。現実を無視して批評だけに終始し、机上の空論だけで世を惑わし続ける・・・それを信用する読者が一番問題なのだろうが、彼らを決して優秀な指導者などと思ってはならない。

さて、アスベストという・・・今、かなりナーバスな問題を朝日新聞がその偏向的な観点から、科学的常識を無視して記事にしている。これにより、また、朝日により、世の読者、為政者さえだまされてつづけるのだろうか。・・・・決してこういうことは放置していてはならないと思う。


では、本題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


問題の工場からの距離から中皮腫死亡率が通常より高いため、「まだ最終結果ではないが、中皮腫の原因がクボタだと疑うには十分なデータだ」との報道がなされている
“半径500m内、中皮腫死亡率は9.5倍 クボタ旧工場”(朝日新聞:http://www.asahi.com/special/asbestos/OSK200508270059.html

朝日新聞の記事なので、証拠能力が低い(といっても他の新聞も一緒だろうが・・・)と思われる。そして、疫学的な手法にしてはかなり乱暴な気がする。

“クボタが毒性の強い青石綿を使っていた時期(57~75年)に注目し、この間、クボタから半径1キロ以内には延べ6万人、500メートル以内には1万5000人が居住していたなどと推計。中皮腫の発症まで30年前後とされることから、死亡者36人のうち00年以降に亡くなった22人について、人口比の中皮腫死亡率を算出した。

 その結果、年間14万人に1人(03年度)とされる全国平均と比べ、500メートル以内では9.5倍、500メートル~1キロでは4.7倍、1~1.5キロでは2.2倍にのぼることがわかったという。 ”

この文面統計学的に意味のある事なのであろうか? ちょっと計算してみた。

情報源が産業疫学の専門家だろうから、間違いないはずなのだが・・・


<目的>
500メートル以内の住人が9.5倍というのがはたして本当に統計学的に意味があることなの
<手順>
これは、14万人に1人ということで、ポワソン分布に従うと仮定する
(参考:http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/lecture/Bunpu/poisson.html


1年のあいだにある人が中皮腫に成る確率 p はきわめて小さい。

p = / 140000

 また,この対象とする人口は大きいので,確率はポアソン分布に従うと考えられる

 ポアソン分布のパラメータ λ は,

λ = n p =15000×( 1 / 140000 )×9.5=1.0178

となる。

 (http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/lecture/Bunpu/poisson.htmlの( 1 ))式より,求める確率は f ( 0 ) = 0.3613839597 となる

簡単に言えば、10回くじをひけばあたりが3-4回でる確率・・・これでは、これが偶然にというより、さほどまれならず生じる確率だといえる程度のものである。これくらいの頻度で間違って関連があるよと結論づけられることがありますということ・・・>これが天下の朝日新聞の記者は理解ができないらしい。


これがポアソン分布に従い、蓋然性が5%未満である確率となるときは、λ=3のとき、28名以上の患者発生、すなわち、全国のほぼ28倍以上のなら統計学的に有意差であると証明ができたのだが、この場合は5%の有意差を持ってすれば、差がないという帰無仮説は棄却できない。


統計学的には意味のない記事であるにもかかわらず、それを朝日は9.5倍も・・・と確たる事実かの如く、記事にしているのである。


統計の専門家が述べているとのことだが、この専門家のレベルが相当低いか、もしくは、取材源を理解せず、あるいは、理解しようとせず、く有意差検定などの話を無視して、結果だけを仰々しく、センセーショナリズムとともに吠え立てるのではないか。

おそらく私たちのマスコミとの接触の経験だと後者が正しい。9.5倍という事実とそれが正しい(あるいは誤りである)確率の問題は別であるということを、おそらく高学歴であるが、統計学を知らない・無視する記者は比率や倍率だけを報道するということを知っている(細木数子が売らないが統計学だといいながら統計学の用語を全く使わないどころか、概念自体を理解してないのと同じレベルだろう)

新聞記事というのは所詮この程度のものなのだろう。・・・これを、読者は知らなければならない。


また、この疫学専門家は、この新聞記事が行政に利用されることを想定しているのであれば、どこか、批判を受ける場、学会などで、その研究方法などの批判を受けたうえで、この報道に関する弁明をしなければならないだろう。それが科学者としての責務と思われる。
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そもそも、中皮腫という診断に同一の診断基準がなされているのかという疑問が残る。
電顕レベルや組織化学的に診断したものと、プラークがあるから診断したもの、アスベスト吸入歴から診断したものなどばらつきがあるだろう。


現に被害の可能性があるのなら、国の責任としては、その蓋然性による損失分は保証する必要はあるだろう。しかし・・・過剰な報道は、被害者にとっても結果的にマイナスとなるであろう。
日本だけでなく国際的にもこの問題はもちあがっており、そのうち国際的なコンセンサスが得られるであろうから、日本だけが特異的なエビデンスということはありえないのであり、真実がどこにあるかは、報道でなく、科学的事実がそのベースとなる。

by internalmedicine | 2005-08-30 16:39 | 呼吸器系  

アスベスト環境曝露による中皮腫リスクは確立しているのか?




アスベストの問題というのは、報道する側は素人で、問題が整理されていなくて、肺癌、中皮腫、胸膜病変、アスベストという塵肺など混乱があるようである。
報道では職業的暴露だけでなく、環境暴露まで確立したことかのように報道されてます。


現在、確立しているのは・・・・としらべるのなら


フリーでアクセスできる論文は・・・
http://ajrccm.atsjournals.org/cgi/reprint/157/5/1666.pdf


胸膜関係は・・・
http://www.chestjournal.org/cgi/content/full/125/3/1103


喫煙との関連性はかなり高いにもかかわらず、喫煙問題はマスコミではふれられてない。嫌煙活動家のように、JTの陰謀とまでは思わないが、巨大スポンサーに反するのメリットを報道機関は見いだせないで居るのだろう。

たとえば、アスベストと肺ガンの関連性

            非喫煙者  喫煙者
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アスベスト曝露歴無し    1       11
重度アスベスト曝露     5       53
chrysotile miners    7       25
(Peto & Doll, 1985)
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これなどは、喫煙の影響を報道することはない。


話を、環境暴露と中皮腫の関係にもどすと・・・・

EPAでも環境曝露と中皮腫の関係の記載は少ない
http://www.epa.gov/iris/subst/0371.htm
自然のアスベストの多いトルコのある地域では、胸膜中皮腫の発生頻度が水、フィールド、ストリートのアスベスト繊維の存在と関連があるという報告(Baris et al., 1979).




http://www-cie.iarc.fr/htdocs/monographs/suppl7/asbestos.html

アスベスト労働者の自宅やアスベスト鉱山や工場の周囲の冠溝曝露はいくつかのケースで注目されている[ref: 1,2,4-6,9,11,25,26]. 非職業性曝露はUSAで生じる中皮腫の1/3が非職業性曝露とおもわれる[ref: 27]
イスラエルの研究では、中皮腫の頻度は、USAやヨーロッパに比べて極めて高い[ref: 9].
中皮腫は環境曝露に非常に関連アルトしている研究がある[ref: 66,67].
パイプ水道管曝露に関する3つの相関研究と1つの症例対照研究[ref: 68-71]では、どのタイプの癌のリスク増加も一定の結果が見られなかった。しかし、他の研究では[ref: 72]、chrysotileに関し、他の癌ではなかったが腹膜・胃癌の増加を示唆する所見が、どの年齢でもみられた。
tremoliteやactinoliteは少数ながら、vermiculite発掘、鉱山[ref: 97,98] 、環境曝露[ref: 99]での研究がある。ほぼ6倍のリスク比である。
中皮腫死亡は職業研究で見出されているが、環境曝露ではリスク増加を見出していない、胸膜プラークでは報告はある。環境曝露の中皮腫に関する1つの文献[ref: 31]でtremoliteが疫学的に重要と報告されている。



Mesothelioma: Risk Apportionment Among Asbestos Exposure Sources
http://www.blackwell-synergy.com/doi/abs/10.1111/j.1539-6924.2005.00643.x
Risk Analysis Volume 0 Issue 0 - August 2005 doi:10.1111/j.1539-6924.2005.00643.x
USにおける中皮腫の流行、2000-20004年で、1971年OSHA(Occupational Safety and Health Administration)による高レベルアスベスト曝露までたどることができる。疾患原因を中皮腫と診断された患者の多くがトラストや法廷制度によって補償を求める請求をおこなっている。中皮腫の個々人はアスベスト曝露として典型的であり、アスベスト工場の1つ以上で暴露されている。
寄与因子としての中皮腫のリスクに従って補償をまかなう・・・


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アスベスト環境曝露に関する論文は、マスコミが騒ぐわりには、論文レベルではまだはっきりしていないといえるのではなかろうか?

by internalmedicine | 2005-08-30 16:37 | 呼吸器系  

鎮痛剤は骨折の治癒を遅らせるか?

・・・・結論:不明らしい

Do non-steroidal anti-inflammatory drugs cause a delay in fracture healing?
Clarke and Lecky Emerg Med J.2005; 22: 652-653.
http://emj.bmjjournals.com/cgi/content/abstract/22/9/652-a
514の論文で、調べてところ、骨折治癒への副作用に関する理論的な関心があるが、臨床的に十分な証拠はない。


Bondierには、NSAIDが骨折治癒抑制は疑われるものの、喫煙では圧倒的に悪さをすることがかかれている。
 ↓
少数の症例対照研究では、大腿骨々折治癒を抑制することが、遷延化、が示されているが、この研究では同時に喫煙の影響がかなり大きいことが示されており、もし喫煙を補正するなら結果は違ったものになる可能性がある。
(PV Giannoudis et al. vs. J Bone Joint Surg Br 2000 82: 655-658.)
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流行のようで、このテーマは多く検索できます。




創傷治癒に関しても・・・看護関係の記載で・・・
慢性創傷は炎症細胞を有意にもち、理論的にはその炎症を抑制することとなる。しかし、そのロジックはほんとに論理的なのか?
COX-2阻害剤はこの事に対してどのようにはたらいているのか。
凝固系因子のが動脈壁を鬱ぎ、虚血や組織の梗塞を生じる原因となるとともに、創傷組織治癒にも働く。創傷はしばしば炎症性成分を多く持ち、治癒へ繋がるよう初期から出現する。
COX-2阻害剤の心血管、卒中へリスクを生じる危険性も考え、再考を要する時期である。加えて、慢性炎症に対する抗炎症薬治療を肯定する文献が少ない。

動物モデル:動物モデルでこの治療を良好とするエビデンスを見いだせない

10年前、NSAIDであるibuprofenが褥創予防に役立つことを仮説として、炎症モデルとして炎症を抑制、好中球性の虚血・再潅流障害を減少させ、組織梗塞と関連する状態を改善するという仮説であった。不幸なことに正しくなく、むしろ、治癒促進歯内ばかりか悪化させた。

もう一つの実験は、実験的な大腸吻合ラットを用いたもので、NSAIDにより対照より吻合を弱くした結果となった。さらに、COX-2阻害剤であるrofecoxibで実験したところ、ラットモデルで吻合を促進した。COX-2阻害剤再投与にてこの所見は抑制された。

by internalmedicine | 2005-08-30 14:40 | 医療一般  

無症候性胆石


目新しいものはないのだが・・・検診で無症候性胆石を見つけてもらってる(皮肉)ので
知識整理・・・・


AFP(http://www.aafp.org/afp/20050815/637.html)から抜粋
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無症状のままの大多数の胆石もち患者は、長年無症状のままである。
1992年 NIHコンセンサス・カンファレンス(5)では、10%が診断後5年で発症。
1995年、胆石疫学予防グループ報告(6)では10年以内に有症状進展は25.8%と報告。


無症状胆石患者の多くにはwatchful waitingが適応:C= consensus, disease-oriented evidence, usual practice, expert opinion, or case series.

無症候+肝硬変患者は厳重観察が必要で、胆道系症状が明らかになったとき、代償性肝硬変(i.e., Child's class A or B)である時は、胆嚢摘出を考慮すべき。


5. Gallstones and laparoscopic cholecystectomy. NIH Consensus Statement 1992;10:1-28.

6. Attili AF, De Santis A, Capri R, Repice AM, Maselli S. The natural history of gallstones: the GREPCO experience. The GREPCO Group. Hepatology 1995;21:655-60.



右上腹部痛の鑑別診断
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・胆道系疼痛:
安定、nonparoxysmal pain、痛みの強度はプラトーで、5-6時間は続く、しばしば右肩甲骨下に放散:US

・急性胆のう炎:
長時間持続(6時間以上)、圧痛を伴う胆道系痛、発熱、白血球増加を伴う
;US and/or HIDA scan(http://www.mayoclinic.com/invoke.cfm?id=AN00424)

・Dyspepsia
Bloating、nausea、belching、脂肪食品への不耐容:上部消化管精査

・Duodenal ulcer
食後2時間で痛み、食事摂取・制酸剤にて改善

・肝膿瘍
発熱・悪寒を伴う痛み、肝蝕知・肋骨下痛

・急性心筋梗塞
・右上腹部痛、心窩部不快・胆道系痛と鑑別
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胆石疾患の非手術的治療
胆汁酸による胆石溶解療法はかなり限られた一群にのみ有効。機能性の胆嚢内の15mm未満の有症状のradiolucentな石患者で臨床的有益性は決定済み。3ヶ月後56%の胆石痛現象が見られ、12ヶ月後59%の胆石消失率(UDCA 10mg/kg/day)。5年以内に約25%再発。
現在、胆汁酸治療は手術に不同意の患者、フィットしない有症状患者にのみ適応と考えら得ている。

手術
胆嚢摘出術は有症状胆石治療の第一治療である。安全で、再発リスクが少なく、胆汁痛の完全消失は92%。

適応は
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胆汁痛
胆汁dyskinesia
石灰化胆嚢
急性胆嚢炎:72時間以内
胆道結石 総胆管がclearされた後
胆石症性膵炎 退院前、膵炎消失時
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laparotomy vs laparoscopy
待期的な腹腔鏡下の胆嚢摘出術の5-26%が開腹手術へ変換。
胆道系の解剖を同定できないことが一番多い理由。
メタアナリシスでは、開腹術に比べ内視鏡下が死亡率減少
(10000あたり8.6-16 vs 66-74)
しかし、胆管の損傷増加(36-47 vs 19-29)
総胆管損傷はきわめて修復困難で、三次センターのマネージメントが強く考えられるべき

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<日本医師会雑誌分>

1.経口胆石溶解療法
 1) X 線透過性でCT 上も石灰化を認めない胆捜内コレステロール胆石
 2) 胆石径20mm 以下(10mm 以下が望ましい)
 3) 排泄性胆捜造影(経口あるいは経静脈的)で胆捜が良好に造影され,形態異常がなく,収縮良好なもの
2.体外衝撃波胆石破砕療法(ESWL)
 1) 胆石数3 個以下
 2) 胆石径20mm 以下(孤立石ならば30mm 以下)
 3) 排泄性胆捜造影で胆捜が良好に造影され,形態異常がなく,収縮良好なもの
 4) X 線透過性でCT 上も石灰化を認めないもの(CT値100HU 以下)が望ましい


表2 胆.胆石症の手術適応
1.絶対的適応
 ● 急性胆捜炎の合併
 ● 閉塞性黄疸の併発
 ● 胆捜癌の合併
 ● 急性膵炎の合併
 ● 内科的治療が奏効しない繰り返す疝痛発作
 ● 閉塞機転による肝機能障害の増悪
2.相対的適応
 ● 疼痛発作の既往
 ● 胆捜萎縮,胆捜機能の廃絶(陶器様胆捜を含む)
 ● 胆捜内充満胆石による胆捜壁評価困難例

無症状胆石の取り扱い
胆石患者の半数以上を占める無症状胆石は原則として経過観察でよいとする意見が多い.無処置にて経過観察中,5 年間で3~16%,10 年間で15~26% に有症状化を認める.しかし,陶器様胆嚢を含む慢性胆嚢炎,胆嚢充満結石など画像診断で胆嚢壁の評価が困難な症例は無症状でも外科的手術を選択する.また,胆石と胆嚢癌の因果関係については,無症状胆石の経過中に胆嚢癌が発生する頻度は0.1~0.9% で,非胆石症例の胆嚢癌発生率(0.4%)とほぼ同程度であり,また費用対効果の面からも無症状胆石または合併症のない胆石患者に対する予防的胆嚢摘出術を推奨する理由は見当たらない.
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ずいぶん改善してますが、日本の御本はあいまい・・・Evidence-basedな表現がすくないという特徴


検診で見つけられた無症候性胆石の経過観察に関する議論が必要。

間隔・回数など・・・結局コンセンサスがえられたない。
現場に責任を押しつけられている状態。

by internalmedicine | 2005-08-29 12:08 | 消化器  

肺癌と活性窒素



以下の物質を呼気中で検討して早期発見につなげようという論文をみたことがあるのだが・・・・失念

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Abnormalities in Nitric Oxide and Its Derivatives in Lung Cancer
http://ajrccm.atsjournals.org/cgi/content/abstract/172/5/597

American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine Vol 172. pp. 597-605, (2005)

細胞性のprooxidant stateは、新生物の増殖をもたらす、それは、一部、蛋白やその機能を修飾することによる。活性窒素種(reactive nitrogen species)は、nitric oxide (NO) や その代謝産物となり、肺癌で増加するprotein tyrosin nitrationを生じる。

【目的】
NO由来物の変化と癌新生に関するその役割をきめる

NO, nitrite (NO2?), nitrate (NO3?)の量とprotein nitrationの局在、修飾された蛋白の同定をおこなう

【測定・結果】
NOやNO2-が増加するが、内皮細胞性のNO synthaseやinducible NO 合成は腫瘍や腫瘍のない部分でも同様。
しかし、免疫化学的にnitrotyrosinは非腫瘍切片に比較して腫瘍切片では増加していた。
modified proteinを同定するprotemicsを用いた(two-dimensional polyacrylamide gel electrophoresis; mass spectrometry).
nitrationとprotein nitration profileともに変化していた。
25以上のnitrated proteinを見出し、代謝性酵素、構造蛋白、酸化ストレスダメージ予防を含む蛋白も同定された。
NO代謝産物や蛋白のnitrationの生物学的変化mutagenic processやcarcinogenesisい寄与すると思われる。
【結論】
この研究で、活性窒素・活性酸素種の肺癌での役割に関する研究に寄与すると思われる。


癌におけるNOの役割は多次元で、タイミング、部位、NO濃度により異なる。NOSの慢性炎症においてはoverexpressionによりgenotoxicityを生じ、NOは腫瘍initiating agentとも考えられる。発ガン性nitrosamineの形成、ダイレクトなDNA mutation、RNSによるDNAストランド破壊、他の遺伝子毒性物質、DNAアルキル転換酵素やDNA ligaseのようなものを介するDNA修復に必要なnitrosation抑制などを介してDNA障害を生じる。
喫煙、肺癌の主な原因で、nitrogen oxideをガス相やタール内の多くのオキシダントともに有している。最近、たばこ中のタールの抽出物、NO遊離物質によるプラスミドDNAの培養にてDNAのsingle-strand brakageが生じることが示されている。このことは肺癌では、RNSの遺伝子毒性、NOとタール中のplohydroxyaromatic compoundのautoxidationにより形成されるROSの間の相互作用によるものであることが示唆される。
早期は胃癌にてG:C- → T:Aへ変異され、内因性にNO過剰となったことによりp53癌抑制遺伝子のmutationを生じさせることが示されている。
NOはまた他のステージにもインパクトを与える。NOの影響は、広汎で、自己矛盾的でさえある。cytostatic processを広げ、細胞transformation、腫瘍病変のformation、tumor biologyの様々な調整をおこなうものである。NOはtumoricidalにも、tumor-promotingにも働く。
NOはcytostatic effectは、ミトコンドリアaconitaseの活動性修飾を介した細胞呼吸抑制とriboncleotide reductase suppressing DNA synthesisの抑制によるものである。
癌のNO産生におけるcosequenceは腫瘍増殖apotosisであり、NOのtumoricidal activityに参与するものである。
さらに、白血球由来のNOは抗腫瘍的役割をもち、とくのmonocyte-macrophage seriesにおいては癌忍耐するホスト・サーベイランスに重要なな役割を有する。まう路ファージのcytotoxic/cytostatic activityは、かなりiNOSのupregulationに寄与する。最近の研究では、肺癌におけるiNOSの肺胞マクロファージ内でのfluorescent intensityは対照に比べて増加し、呼気中NO値の増加と相関してているとのことである。NOが転移抑制に関与しているという論文もある。

Kongらは、NOが腫瘍細胞接着を抑制する方法は、NOは虚血再潅流障害におけるNOを白血球接着抑制と類似していることを示してる。このことは、血管内皮NO値の低値は肺のような組織の転移を抑制するかのう歯がある。
NOは腫瘍増殖の重要なメディエーターとも考えられている、NOが血管新生の調整を介して腫瘍進展に重要な役割を果たしていると考えられている。促進されたangiogenesisは原発性腫瘍の増殖を促進し、転移の過程も同様に促進する。
3) . 血管心sねいはVEGFにより調整され、多くの他のcofactorによりmodulateされている、その中にはTNF-α、TGF-βがあり、肺癌においては一部NOにより調整されている可能性がある。
奇異的なことに、NOはVEGF promoterの転写調整を抑制的にはたらき、血管新生をdownregulateする。このパラドックスは最近研究されている。人の血管内皮細胞と2つの皮症細胞肺癌のTranswell two-compartment culture systemを用いて、血管新生の観点に関して腫瘍・血管内皮相互作用のレベルで、NOの直接効果を特徴づける研究がおこなわれている。
血管内皮由来NOSが血管新生に必須であるところの他の研究者と同列にNO依存性である血管内皮-腫瘍相互作用において毛細血管のベースライン成分もNO依存性であることが判明している。・・・・(今日はここまで・・)

by internalmedicine | 2005-08-27 10:40 | 呼吸器系  

ホメオパチー論文の問題点:WHOに浸潤する代換医療推進主義者

無知・無恥に勝るものはない・・・科学的論理性に対して、直感・直情的な発言は個人に対しては無力であり、それを敵意をもった相手に対して受け入れてもらうには情緒的手法を使わざる得ない。根本に科学的論理性がなければ医者としては失格だと思う。根本的な論理性に欠けることを平気で口に出す人が目立つこともある。特に疑似論理を根っから信じ込み、教条主義に陥っている。それに菲薄な人権主義を混ぜ込んで、徒党を組み始める。


ヨーロッパでは、アメリカでは、WHO報告書では・・・というのが、彼らの主張と同じなら鬼に金棒・・・科学的論理性をもとめようにも情報が少ない場合は彼らの意見を容認せざる得なくなる事態が、そして、自らもいつのまにかQuackeryとして働くことになってしまう

日本の国会の財務省官僚の浸潤と同様、WHOにも代換医療・補完医療推進論者が浸潤し、多大なる影響を及ぼしている状況がLancetのホメオパチー研究の客観的批評論文の論評に書かれていた。・・・興味あるレポートである。


ホメオパチーの一番の問題点は、その有効性が科学的手法で確かめられてないと言うことでなく、正しくおこなわれていないことの方が問題と思う。
医療資格をもち、正しく教育されたものが、その限界と効果を客観的に評価できるほどの訓練をおこなった場合にだけ用いられるべきであり、現状は医療資格をもたないものがまさに、自由放任(laissez-faire attitude)政策の元、おこなわれている。
ホメオパチーは欧州で保険適応となっている主張があるが、スイスでは今後5年後、科学的エビデンス検討にてその有効性とコスト効果がないという理由で、保険適応をとりやめることとなっており、ホメオパチーに対しては超長期的な自由放任政策(laissez-faire attitude)がおこなわれてきたが、今まで無かった視点が求められている。2000年イギリス(UK Parliamentary Select Committee on Science and Technology issued a report about complementary and alternative medicine)では、プラセボ治療を上回ることが可能かどうかのエビデンスが特異的な病態に対する治療と述べるには必要というrecommendationを提出している。


ホメオパチーなどは現時点では寛大すぎる政策による鬼っ子といえるのである。


ホメオパチーの臨床的影響を他の通常の治療手段と比べた文献がLancetに掲載されている

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Are the clinical effects of homoeopathy placebo effects? Comparative study of placebo-controlled trials of homoeopathy and allopathy
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140673605671772/abstract
DOI:10.1016/S0140-6736(05)67177-2
110のhomoeopathy trialと100のマッチされた通常の医療トライアルを分析。
中央研究サイズは65名の参加者(-1573)
21のhomoeopathyトライアル(19%)と通常研究9(8%)は高い質であった。
両群とも、少数トライアル、質の低い研究は大規模・高品質のトライアルより治療有益性は高かった。大規模、高い質のトライアルに限ると、オッズ比はhomoeopathy 0.88(95%CI 0.65-1.19)(8研究)、通常医療治療 0.58(0.39-0.85)(6研究)

バイアスに関しては、homoepathy・通常の医療治療トライアルとも存在。
homoepathyの特異的な治療効果のエビデンスは少ないが、通常の医学治療トライアル介入は強いエビデンスがある。この結果は、homoeopathyの臨床研究はプラセボ効果が特に必要ということを示す。
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<WHO批判>[The Lancet 2005; 366:705-706]
代換治療会議主義者がWHOに対しpro-homeoopathyプロパガンダより気味であるとして、ホメオパチーの図案報告を広汎に改訂するようもとめている
オランダの反Quackery Unionのチェアマンであり婦人科医であるCees Renckensによれば、その有効性に疑念があるにもかかわらず、homoeopathyを支持する研究を重視しすぎているとしている、WHOがこの種の報告書を出すのには痛ましい(pathetic)ことであると述べている。WHO側はこの酷評者をアンフェアであるとみなしている。;すなわち“予備的であり、たんなる図案段階にすぎない”と、WHOの“Essential Drugs and Medicine Policy”の伝統医学のチームコーディネーターであるXiaorui Zhangは述べている。

しかし、批評側はさらに疑念をもっており、この報告書のトーン・アプローチは、同じグループの報告した2003年の、鍼治療に関する報告書でも確認できるとBrussels大学、SKEPPのチェアマンであるWillem Betzは述べている。
細菌性の下痢や白血球減少を含む、対照化トライアルにおいて、鍼治療が、状態のスコアにおいて有効であったと報告している。Betzらはそのエビデンスは支持できないとのべており、WHOは代換治療の伝道師たちにより浸潤されていると述べている。・・・後続く




<・・・・>
spiritual healthというWHOの提唱している概念にも、冷静な科学的批評をおこなってほしいものである。

by internalmedicine | 2005-08-26 11:56 | Quack  

ACE阻害剤の副作用知識・・・GP>専門医


HRTの正しい理解(専門医が一般医(GP)を見下している・・・にしか見えないのだが)
http://intmed.exblog.jp/2181060/

と対比すればおもしろいのだが・・・


高血圧・心不全治療に使うACE阻害剤の副作用知識は一般医(GP)の方がある・・・

Are Physicians Aware of the Side Effects of Angiotensin-Converting Enzyme Inhibitors?
(Chest. 2005;128:976-979.)
http://www.chestjournal.org/cgi/content/abstract/128/2/976

312名の医者にコンタクトをとり、154名のアンケート解析。
154名の医者(平均年齢 45才)、48名が循環器専門家、52名がGP、54名がアレルギー専門家
正しい答えのパーセンテージは少なく、31.9%、40%、33%
GPは別の専門家より正しい答えのパーセンテージが高かった。(p = 0.05).
正答の低い設問は、0-15.9%で、咳嗽出現の時間と作用である。
循環器科医はアンジオテンシン受容体遮断ARB(sartans)がACE阻害剤と交叉反応という事実に気づいてない様である。
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ひとつに、MR活動により、まだまだエビデンスの少ない・・・ACE阻害剤+ARB併用を勧めた結果、いつのまにかACE阻害剤とARBの作用機序をあまり考えなくなってしまったのではなかろうかなどと邪推する・・・


いづれにせよ、純粋に知識においてはこの場合は、GP>循環器専門医なのである。

by internalmedicine | 2005-08-25 12:10 | 動脈硬化/循環器  

アスピリンの大腸癌発生抑制効果

アスピリン好きのアメリカ人らしい研究・・・他にもNEJMで報告があった
のだがアスピリンで大腸癌発症予防の論文


・・・だが・・・吟味的・批評的に見てみよう(決してCriticalではない・・)
・・・すると・・・文献上の数字も色あせてくる


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Long-term Use of Aspirin and Nonsteroidal Anti-inflammatory Drugs and Risk of Colorectal Cancer
JAMA. 2005;294:914-923.
http://jama.ama-assn.org/cgi/content/short/294/8/914
82911名の前向き研究(1980-2000年7月1日までフォロー)

20年以上で、962名の大腸癌記載。
定期的なアスピリン使用者(?2 standard [325-mg] tablets per week)vs非常用者の多変量相対リスク: 0.77 (95% CI 0.67-0.88)
しかし、有意なリスク減少は10年以上越えないと観察できない(P?.001 for trend)

この効果は用量依存的のようで;
1週あたり
0.5-1.5錠: 1.10 (95% CI, 0.92-1.31)
2-5錠: 0.89 (95% CI, 0.73-1.10)
6-14錠:0.78 (95% CI, 0.62-0.97)
14錠以上:0.68 (95% CI, 0.49-0.95)

週14アスピリンを10年以上投与女性の多変量RRは0.47(95%CI 0.31-0.71)
同様に、用量依存関係が非アスピリンNSAIDsでも(P=.007)

メジャーなGI出血は用量依存で1000人年で0.77
0.5-1.5錠/週:1.07
2-5錠/週:1.07
6-14錠/週:1.40
14錠以上/週:1.57

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人年と20年を混同しているのでわかりにくい
正確さは欠くが、10年以上で効果があるというので10年のみで比較すると

NNHは、
10人年で7.7人の対照で14錠以上/週1.57では12.1人となり、
NNH10=227.8、NNH20では113.9

NNT20は、40程度になる
・・・そうなると、さほど差はなくなるのかもしれない。
日本人の上部消化管疾患の頻度を考えるとほとんどリスク/ベネフィットの差はないのかもしれない。
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by internalmedicine | 2005-08-24 11:54 | 消化器