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ω3脂肪酸はすべての人に効果ありとはいかないのだ・・・特保とは詐欺である


「特定保健用食品」にエビデンスはあるのか?
http://intmed.exblog.jp/1572448/
でもふれているが、この特保というのは、薬品に比べれば科学的エビデンスの低いレベルでのまっとうに科学的といえない手法で天下りがいっぱいいる研究機関(血液どろどろの大元を含む)で検討されているのを、右から左に通しているとしかおもえない代物である。

特定保健食品というのは真に効果が科学的に証明されている食品といえるのだろうか?
"期待できる効果・効能について、明らかな科学的根拠"という前提条件に真に見合ったものがあるのだろうか?
・・・食品程度の“薬効”だと薬剤レベルの根拠を示すには桁違いの本来は被験者数が必要なはずであるが、いまだにそういうものに該当する特保をみたことがない。



EPAとDHAも特定保健用食品に利用されている成分で、比較的諸データがそろっているものであるが、それでもすべてに対して効果があるかといえば・・・疑問が生じてきているという論文がBMJに掲載された。


EPAやDPA、DHAなどの長鎖ω3脂肪酸は魚や魚脂に含まれ、冠動脈疾患の頻度減少に関連するというGreenlandのInuit族の研究があり、リノレン酸(ALA)は短鎖ω3であり、ある種の植物オイル(EPAやDHAへ様々変換される)に含まれ、おそらく予防的に働くと考えられている。
ω3脂肪は心血管予防的:血圧・心拍低下、中性脂肪・血栓形成傾向・炎症・不整脈予防、血管内皮機能・インスリン感受性・paraxonase濃度、プラーク安定性の改善につながる可能性
毒性成分、脂肪可溶性メチル水銀、ダイオキシン、polychlorinated biphenylは魚脂にみられる。癌増加との関連も考えられる。


では、ω3脂肪酸は冠動脈疾患以外の人に用いたときに健康への有益性はあるのか?

冠動脈に対するRCTのシステミックレビューで、長鎖脂肪酸ω3のサプリメント的服用により死亡率が減少するというエビデンスがあった。
しかし、今回のシステミックレビューで、長鎖・短鎖ω3(併用・単用を含め)の使用は総死亡率、心血管イベント、癌、卒中に対して参加者が広範となれば有意性は損なわれ、健康への明確な利益があるとはいえないということが分かった。

Risks and benefits of omega 3 fats for mortality, cardiovascular disease, and cancer: systematic review
BMJ 2006;332:752-760
http://bmj.bmjjournals.com/cgi/content/full/bmj;332/7544/752
ω3脂肪は総死亡率、複合的心血管イベント・癌に影響を与えない。
Hopperらは、長鎖及び短鎖脂肪ω3の最低6ヶ月の研究のRCTやコホート研究のメタアナリシス
結果トライアルの不一致性が認められ、プール化推定では、死亡率減少・心血管イベントの減少がω3脂肪酸の付加的摂取により認められた。しかし、ω3摂取とともに癌や卒中のリスク増加という事はなかった。








馬鹿役人や左巻き思想から離れてその真価が客観的に示された食品というのが必要とされると思うのだが・・・・・・政治思想や天下りや詐欺師に利用されてばかりの“健康”食品

by internalmedicine | 2006-03-31 14:42 | Quack  

禁煙治療のための標準手順書

健保改訂についてちょっと勉強せざる得ない立場になってたので・・・

ニコチン依存症管理料
http://intmed.exblog.jp/3342199/

禁煙治療のための標準手順書 が 日本循環器学会から3月29日Webで公表されている


PDF

わざとわかりにくくしてるんじゃないかと疑いたくなるくらい、こっそりと発表してますなぁ

by internalmedicine | 2006-03-31 10:17 | メモ  

医療保険改訂_検査編

今回の医療保険改訂はかなりいじめられたところが多くて・・・涙も出ないリハビリテーション&療養型など・・・>これって厚労省のハシゴはずし ・・・ 医療機関にあっては返済計画・就業者にあっては人生設計がくずれたんじゃないだろうか?・・・厚労省の役人を最初から信用する方が間違っていることは確かだが・・・



今回の検査項目部分の改訂は、ほとんど引き下げになってるが、意義ある検査が少々加わっているので、メモ __φ

ただ、先行して、認可されてたものも多いようだ。
PAIgGとQFTっぽい検査がやっとというところがわたしのポイントかな


1)結核菌特異蛋白刺激性遊離インターフェロンγ測定→「全血インターフェロンγ応答測定法」が
 診察又は、画像診断等により結核感染が強く疑われる患者
 喀痰の採取が困難な患者(高齢者等)
に、健保適応になってます。

感染を受けた人の血液に試験管内でPPDのような抗原を作用させ、その後24時間に放出されるサイトカイン(この場合はインターフェロンγ)を簡便なキットで測定する方法を開発に由来し、両群とも強陽性が90%以上でした。本法のこのようなメリットは各地で発生している集団感染疑い例への対応-特に無駄な化学予防を避けること-に有力な手段となります。 もちろんまだ課題は残っています。既感染だが発病していない人(感染直後、長期間経過後、治癒痕のある場合など)の反応はどうか、治療中・治療終了後の反応は、年齢の影響は、ツベルクリン反応検査の影響はどうか、等々。

2)シスタチンC精密検査
シスタチンCの有用性要約:URL血清クレアチニンの場合には、糸球体濾過率(GFR)が31から50mL/minくらいまで下がらなければ上昇してきませんが、血清シスタチンCの場合には、GFRが51から70mL/minくらいまで下がってくれば上昇してきますので、早期の腎機能マーカーとして注目されています。  
また、腎前性の影響を受けないGFRマーカーなので、年齢や性による筋肉量の違いを考慮する必要がありません。  
クレアチニンクリアランスのように、24時間の蓄尿を行う必要がないので外来および小児患者の腎機能検査に適しています


3)ペントシジン 参考URL
ペントシジンは後期蛋白糖化反応(蛋白の非酵素的糖化反応)での生成物の一つで産生には酸化プロセスが深く関与しており、生体蛋白質が糖化及び酸化されたことを反映するマーカーとして注目されています。特に腎機能の低下に伴う酸化ストレス亢進により産生が増加し血中濃度が上昇するため、慢性糸球体腎炎や腎硬化症等の診断に有用です。ただし、ペントシジン濃度は血糖値の影響を受ける可能性があり、糖尿病患者の測定には適していません。

5)プロカルシトニン(Procalcitonin,PCT) 参考URLPCTは重症の細菌、真菌、寄生虫感染症の診断のパラメーターで、感染に対する全身的な反応の過程でのみ生成される。
大手術、臓器移植、多発外傷の術後期、化学療法中、重篤な膵炎、胆管炎、あるいは軟部組織の感染患者など全身性細菌、真菌感染のリスクの高い患者には、PCT測定による監視が望ましいといわれている。


6)抗IA-2抗体 参考URL
「抗IA-2抗体」は、糖尿病の診断が確定し、かつ「抗GAD抗体」陰性が確認された30歳未満の患者に対し、インスリン依存型糖尿病(IDDM;1型糖尿病) の診断に用いた場合に算定可能となります。小児の急性発症1型糖尿病(従来のいわゆるインスリン依存型糖尿病;IDDM)患者に高率に検出される反面、抗GAD 抗体に比して成人発症1型糖尿病における陽性率は低く、30歳以上の患者で陽性となることは稀です。

7)PA-IgG
PAIgGの感度60%、特異度77%、PPV81%、NPV 54%
MACE(PAIgG with a modified antigen capture ELISA (MACE) となると感度60%、特異度97%




・外来迅速検体検査加算

・フローサイトメトリー法による尿中有形成分定量測定

【穿刺液・採取液検査】
・IgGインデックス :亜急性硬化性全脳炎(subacute sclerosing panencephalitis  SSPE)
・髄液MBP :脱髄疾患など
・髄液オリゴクローナルバンド測定:脱髄性疾患など・悪性腫瘍遺伝子検査

【生化学検査I】
・シスタチンC精密検査
・ペントシジン
・プロカルシトニン(PCT)

【生化学II】
・抗IA-2抗体精密測定

腫瘍マーカー
Ⅰ型コラーゲン-C-テロペプチド(ⅠCTP)
I型プロコラーゲン-C-テロプロペプチド精密測定(P1CP)

【免疫検査項目】
・PAIgG

【血漿蛋白免疫学的検査】
・結核菌特異蛋白刺激性遊離インターフェロンγ測定



・エレクトロキモグラフ
・終夜経皮的動脈血酸素飽和度測定

・ダーモスコピー

・グルカゴン負荷試験



追記(H18.4.19)
M3(SRL)にて


クレアチニンの保険点数は平成18年の改定で12点から11点となりました。
β2-マイクログロブリン(BMG)は「β2-マイクログロブリン精密測定」という区分けが無くなり、測定方法に関わらずβ2-マイクログロブリンの測定に関しては実施料120点に統合されました。
シスタチンCは2006年4月の改定では変更なく、実施料130点です。
クレアチニンクリアランスは2006年4月の改定で実施料は削除されました。

と書かれてます。

血清シスタチンC精密測定は
BUNまたはs-Crにより腎機能低下亜疑われた場合に、3月に1回に限り算定できる。
という縛りがあるようです。

抗ガン剤など使用時や各種証明書にクレアチニン・クリアランスが使われてますが、どのような解釈になるか、それぞれに対して確認する必要があるようです。

たとえば、ある種の抗ガン剤の添付文書には
BUN、血清クレアチニン、クレアチニン・クリアランス値等に異常が認められた場合は投与を中止し、適切な処置を行うこと。その他、血尿、尿蛋白、乏尿、無尿があらわれることがある  ・・・と書かれてます。
身体障害者・じん臓機能障害等級の解説には、内因性クレアチニン・クリアランスの項目があり、クレアチニンが全身の筋肉量に依存する部分があるため必要だと思うのだが・・・疑問の方は関係方面に問い合わせが必要でしょう。
・・・

by internalmedicine | 2006-03-30 16:30 | メモ  

糖尿病性神経障害の原因であるnitrosative stressをアクトスが抑制?


神経系への障害とこのnitrosative stressが各疾患で検討されているようだが、糖尿病性神経障害にエリスロポイエチンという発想・・good ideaらしい でふれたが、nitrosative stressが糖尿病性神経障害のプロセスに重要とのこと。今回の論文では、アクトスがそのnitrosative stressを改善するとのこと・・・きっと、製薬会社がこの機序説明に懸命になると思われ・・・まぁいいか・・・



ガス状のラジカル分子である一酸化窒素NOは、生体内で神経伝達、記憶や血圧調節などにおいて情報伝達物質として重要な役割をはたしている。一方過剰に生成すると、NOは細胞障害のメディエーターとして炎症や虚血など種々の病態に関与する。このようなNOの細胞毒性は、細胞内の活性酸素分子種と反応してスーパーオキシナイトライト(ONOO-)などの種々の活性NO分子種(RNS) ができることと関連している。これらのRNS は、DNA損傷やカスパーゼなどのタンパク質のシステインのチオールのニトロソ化、又SODなどのチロシンのニトロ化などを引き起こしアポトーシスを制御することが分かってきた。したがって、このNO分子の二面的な生理作用がある。

物において普遍的に細胞毒性をもたらすことが明らかになってきた。
RNSによりもたらされるストレスは,活性酸素分子種(ROS)によりもたらされるOxidative stress の対語として Nitrosative stressとよばれている。RNSはROSと同様,細胞や生体にとっては両刃の剣であり,その生成は他律的のみならず自律的なストレス因子となりうる(参考pdf




Pioglitazone Treatment Improves Nitrosative Stress in Type 2 Diabetes
Diabetes Care 29:869-876, 2006

皮下に挿入して直接する電流滴定(amperometric) NO meterというのがあるそうで
皮膚血流測定(SkBF)とともに測定

SkBF反応は有意に改善せず
pioglitazone治療群、40度刺激後、44度の局所温熱による侵害受容器刺激後、前値に比較してNO産生は有意に減少
プラセボ群では前値との有意差はなかった
【結論】2型糖尿病におけるpioglitazone24週治療後の皮膚のNO産生は減少するが、皮膚血流への影響がないnitrosative stress減少に由来するものと思われる。
nitrosative stressは神経血管障害の病因的要因である。


・・・間接的証明になるのか?今ひとつ納得いかないが・・・

by internalmedicine | 2006-03-30 10:03 | 動脈硬化/循環器  

ヘビースモーカーは女性1.4年、男性2.7年寿命が短い・・・



Smoking and Deaths between 40 and 70 Years of Age in Women and Men
Ann Int Med. 21 March 2006 Volume 144 Issue 6 Pages 381-389
http://www.annals.org/cgi/content/abstract/144/6/381
2333名の女性、4680名の男性、いづれも中年で死亡。
女性と男性で、非喫煙者9%、14%、>20cigarettes/dayのヘビースモーカー26%、41%
40-70歳のヘビースモーカーの寿命短縮は女性1.4年、男性2.7年
喫煙に関連した肺癌の比率は男女とも同程度。男女差はほとんど心血管リスクで説明可能である。



タバコによる肺の破壊にもB細胞関与

Cigarette Smoke--induced Emphysema
American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine Vol 173. pp. 751-758, (2006)
http://ajrccm.atsjournals.org/cgi/content/abstract/173/7/751

B細胞リンパ濾胞とろ胞性歯状細胞はT細胞と近接し、肺気腫患者の肺実質や気管支壁に見いだされる。濾胞内にクローンプロセスが認められ、濾胞の75%に体細胞遺伝子変異の進行所見がみられ、オリゴクローナルな抗原特異的増殖を示す。
同様のリンパ濾胞はマウスで肺炎症や気腔の進展されたマウスで認められている。
B細胞濾胞の数は時とともに増加し、線形に増加する。
特異的細菌やウィルス核酸はみいだされない。



COPD急性増悪患者の血糖コントロールは厳格に
Hyperglycaemia is associated with poor outcomes in patients admitted to hospital with acute exacerbations of chronic obstructive pulmonary disease
Thorax 2006;61:284-289; doi:10.1136/thx.2005.051029
http://thorax.bmjjournals.com/cgi/content/abstract/61/4/284

死亡や長期入院滞在日数の相対リスクは1群と比較して3群で高く 1.46(95%CI 1.05-2.02 P<0.0001)、4群で1.97(95%CI 1.33-2.92 P<0.001)

血糖1mmol/l増加毎に15%(95%CI 4-27%)ARRが増加する p=0.006
高血糖増加後とのリスクは年齢、性別、糖尿病の事前診断、COPDの重症度とともに増加する。
喀痰中の多数の病原性物質や黄色ブドウ球菌が血糖増加に関連。

by internalmedicine | 2006-03-28 15:05 | 呼吸器系  

III音は経験とともに

最近、電子聴診器とやらを入手し、耳にタコならぬ、皮膚潰瘍を生じるほど・・・これは赤外線通信が不安定なので購入の際には注意が必要

・・・もうすこしまともな聴診器が日本のメーカーなら出せるような気がするのだが・・・マーケットが小さいからだめなのかな?・・・無線LAN対応やBT対応とか・・・


心音図のほうが、ベテラン医師より正確であり、インターンや研修医よりはベテラン医師のほうが正確というわけで・・・心音図分析機能付きの電子聴診器というのが今後必要と思う。
   ↓
Relationship Between Accurate Auscultation of a Clinically Useful Third Heart Sound and Level of Experience
Arch Intern Med. 2006;166:617-622.

【結果】レジデントとインターンの聴診所見が心音図との一致は有意でない(κ= 0.37 ;P<0.001)。心臓専門医は一致(κ= 0.29; P=.003)
左室機能異常を同定するS3の感度は低く(13%-52%)で、特異度は高い(85%-95%)
心音図やより力量の高い医師ではその特異度がもっとも良好である。

BNP増加、左室駆出率減少、左室拡張期末期圧増加患者の同定にS3を用いることは、レジデント(P=.02-.47)やインターン(P=.09-.64)より専門医 P=.0002-.02、フェローで.02-.03で優れている。


熟練者は 結構 せこいのでじつは心音だけでなく、頸静脈怒張などもちらっとみながら所見にした可能性も・・・というのは邪推か?



以前の報告をみても、やはり感度は低く、特異度が高いという所見は一致している
・流入速度の異常を示す拡張期機能障害の指標としてIII音との関連は認められる。
・駆出率<50%の時の感度51%、特異度90%、PPV 95%、NPV 32%
・EF<30%となると感度78%、特異度88%



ところで、感度が低いので、心不全同定のための診療としてはIII音聴取はEvidence-basedには?・・・となるのだが・・・


III音が聴取されるので、左室機能障害が示唆されるというのはある程度正しいが、III音が聴取されないので心機能は正常である・・・・というのは誤り・・・だなと認識

by internalmedicine | 2006-03-28 09:58 | 動脈硬化/循環器  

EOL(終末期医療)問題

終末期医療が再びクローズアップされる状況となった

昨年、終末期医療、保険から外すべき・・・と 財務省発言
http://intmed.exblog.jp/2164235/
・・・こういう乱暴な意見が行政のトップからでておりまして、心寂しくなる・・・


終末期医療にコストをかけるなと・・・官僚大合唱のなか、終末期医療における患者の気管内挿管抜管・人工呼吸中断を行った医者が社会問題化してきているのは、皮肉なことである


EOLにおける恣意的な人工呼吸の中断、抜管とは、医学用語で、Terminal wean(ing)と呼ばれている技術で、いかに苦痛をなくすか、詳細に、日本以外では紹介され、具体的に検討実行されている。

ヨーロッパ6カ国の終末期の治療;;;;人工呼吸中断など
http://intmed.exblog.jp/1703760/
をみれば・・・
「“terminal wean”であり、FIO2や人工呼吸数を次第に減少させる方法で、低酸素や高炭酸ガス血症を起こすのである。この方法はペース次第で状況が変わり、数分で完遂される場合がある。」(https://www.sccm.org:49443/pdf/EndofLife.pdf

などと、人工呼吸中断は日常的に行われていることが分かる。
(具体的な方法は→http://www.theiaforum.org/october2005(1).pdf


さて、日本の問題点は、未だに告知が問題となっていることであり、代理者問題であろう。

<当事者は家族でなく本人>
* 死亡後問題提起するのは本人でなく家族であるため、家族の希望を尊重してしまう→本人のニーズでない可能性


* 個人情報保護法では告知は本人同意が原則:告知せずは法律上はあり得ない

矛盾

* 告知したということで訴追された裁判(http://www.inetmie.or.jp/~kasamie/GanKokutiTeiso0601Asa.shtml)がある

* 医師の説明義務:告知せず・告知して訴訟 (http://homepage1.nifty.com/uesugisei/setumei.htm#%82%AA%82%F1%8D%90%92m)


本人告知の実態調査 (読売新聞) - H17年6月22日
余命半年以内の患者への告知46%…初の全国調査 余命6か月以内の「終末期」の患者本人に対し、病院側が病名を告知したケースは、全国の一般病院で平均約46%であることが、尊厳死に関する厚生労働省研究班の初の全国調査で分かった。また本人に延命処置を希望するかどうかを確認する割合は平均約15%だった。
・・・(中略)・・・
一方、患者の家族に対しては、病名告知している割合は95・8%で、治療方針の確認、延命処置の希望確認の割合も、平均で8割を超えており、「家族重視」の実態が浮かび上がった。 患者が治る見込みのない病気にかかった場合、まずだれに説明するかでは、「状況を見て患者か家族」と答えた病院が51・5%で最も多かったものの、続く回答は「家族」で41%に上った。「必ずはじめに患者本人」は3・7%だった。 

 ↑
日本では告知せず、家族代理者が、生前から患者本人の意志決定を代理してしまうという問題が放置されてしまっているのである。

もっとも・・・・“がん告知で患者が心理的悪影響を受けたからといって、それが医道上の配慮を無視した患者に精神的打撃を与えることだけを目的としたような場合を除き、直ちに医師に何らかの法律上の義務違反があったとすることは相当でない”という妥当と思える司法判断が下されているが・・


しかし、民事上の係争に巻き込まれることを潔しとしない、医師・病院関係者は示談にしてしまうかもしれない・・・このことが告知の問題を難しくしてしまうだろう



本邦以外でも、当然本人の意志が十分確認できないままEnd of Illnessに陥った場合があり、その場合の注意点は、その本人が意思決定をくだしたとしたら、どのような終末期を迎えたかったであろうかということの確認が必要ということである。
その注意点も書かれている
http://www.acponline.org/journals/news/jun03/surrogate.htm

そのポイントは、代理者本人の思考でなく、患者本人が決定するとしたら・・・という本人の性癖や言動・価値観を一番知っているものが、擬似的に本人の意志決定を行うということである。自分が死に目にあいたいから心肺蘇生を続けてくれと無理強いされるEOLというのは本来あってはいけないのである。


日本におけるEOL議論はとても底が浅く、その対象も癌だけに限定されることが多い。EOLの対象疾患は、生存予後ほぼ0%(具体的には、転移性癌、肺炎、腎不全、敗血症、多臓器不全、急性卒中、CPR30分超過など)などと、米国教育病院では教育されているのである。


日医ニュースでは・・・

刑法学者の福田雅章(ふくだ・まさあき)山梨学院大法科大学院教授は「安楽死、尊
厳死が認められるのは本人の自己決定権に基づく明示の意思表示がある時だけで、家族
の同意ではだめだ。医師は家族から治療中止を頼まれても『それは殺人になる』と説得
すべきだ」と話している。
 東海大事件の判決は、家族の意思表示で尊厳死が許される要件として(1)本人の事
前の意思表示がない(2)本人の性格、価値観、人生観などを十分知っている(3)病
状、治療内容などを熟知している(4)医師側が本人と家族の密接な関係を認識してい
る―などを挙げている。
と・・・家族の代理を認める実際の判決と、学者さんの一説が併記され・・・現実的には日本では家族などの代理意思表明による尊厳死はあり得ないと保身的に考えるのが普通となってしまう

日本全体の文化からきた死を忌み嫌う伝統から、その議論がなおざりにされ、EOLの対処に関するコンセンサスがない中、医者たちは逮捕・送検がつづくのであろうか?

by internalmedicine | 2006-03-27 16:13 | 医療一般  

食物アレルギーの診断と管理のガイドライン

食物アレルギーの診断と管理のガイドラインが『Annals of Allergy, Asthma and Immunology』3月号で発表されたとのこと・・・私自身がOASであるので


Ann Allergy Asthma Immunol. 2006;96:S1-S68

ガイドラインなのに・・・有料かよ・・・日本みたいなところだなぁ・・・と
拾い読み
1)食物アレルギーの有病率は食物に対する食中毒などの発生件数よりかなり少ない。医療従事者は食物アレルギーについての間違った仮説を持ち続けるべきではない。
・・・さっき、ちらっと見た徹子の部屋で、卵アレルギーと食中毒・感染症を混同して黒柳徹子がしゃべってた。

2)「食物に対して反応があると患者が誤って診断されれば、不必要な食事制限によってQOL(生活の質)や栄養状態に悪影響が及ぶ恐れがある。
牛乳、小麦、卵などの大部分の食物アレルゲンに対する感受性は小児期後期に消失傾向があるが、ピーナッツ、木の実、魚介類に対するアレルギーは生涯持続する傾向がある。
成人では、果物や野菜に対するアレルギーは、成人で多い。花粉などの空気中のアレルゲンと共通する同類の蛋白質であるため、こうした食物アレルギーは晩年になってから発現することがある

・・・私もそうであるが・・・pollen-food allergy syndromeやOAS(Oral allergy syndrome)が近年多くみられる。他のアレルギー反応とオーバーラップしたり、より重症化したり、原因精査・アドバイスが必須


3)食物アレルギーの評価は、リスト作成や病歴など

4)皮膚プリック試験や皮膚穿刺試験はスクリーニングに有用
ピーナッツ、牛乳、卵、木の実、魚、貝など安定した蛋白質を含有する食物から抽出した市販の食物エキスでは、大部分の患者で確実に特異的IgE抗体が検出される。
果物、野菜、不安定な蛋白質を含有するその他の食物から抽出したエキスでは確実性が低いため、まず食物を穿刺し、その後に患者を穿刺する方法が有用である場合がある。
皮膚試験やin vitro試験の結果は、患者の皮膚にもはや臨床的に感受性がなくても陽性を示すことがある。

5)皮内または真皮内の皮膚試験は、潜在的に危険であり、感度が過剰で、許容できない偽陽性反応率と関連しているため推奨されない



American Academy of Allergy Asthma & Immunology
にもガイドラインが記載されている。

by internalmedicine | 2006-03-23 16:55 | 医療一般  

鳥インフルエンザ→ヒトへのジャンプは例外か?


鳥インフルエンザは、確実に広がってます

興味のある方は下のURLにてポチしてみたら・・・
 ↓

http://news.bbc.co.uk/1/shared/spl/hi/world/05/bird_flu_map/html/1.stm






トリ → ヒト への jumpは特殊例なのか?


Avian flu: Influenza virus receptors in the human airway
ヒトの気道に分布する結合分子がトリインフルエンザとヒトインフルエンザと異なることを示され、SAα2,3Galと SAα2,6Galサリチル酸がそれである。
Nature 440, 435-436 (23 March 2006)


糖タンパク質および糖脂質に含まれるシアリルラクト系 IおよびII型糖鎖 (SAα2-3(6)Galβ1-3(4)GlcNAcβ1-) を共通のレセプター分子として認識され、トリおよびウマから分離されるウイルスは末端のSialic acid α2-3Gal(SA2-3Gal)結合を、ヒトから分離されるウイルスはSA2-6Gal結合を強く認識していることを見出した。インフルエンザウイルスは末端のシアル酸分子種(Neu5Ac, Neu5Gc, 9-O-Ac-Neu5Ac)も識別している

とのこと


日本の研究者たちは、インフルエンザウイルスは、宿主の受容体シアロ糖鎖のシアル酸結合様式(2-3、2-6)によって進化上の選択を受け、その結果、宿主の壁を越える可能性があることを示していた ・・・とのこと

だが、BBCでは、Wisconsinの研究者たちの話として

"It seems they were just really unlucky and transmitted enough virus to their mouths for it to gain access to the lower lung, a distance shorter in children than adults.

"Casual contact with the virus may therefore not be as dangerous as initially thought."
・・・などと、楽観的に報道されている。



Wisconsinのpress reportをみると、むしろ、日本の研究者たちの悲観的な見解を告げていると思うのだが・・・

by internalmedicine | 2006-03-23 10:20 | インフルエンザ  

降圧剤は住民ベース研究では効果なし?


住民レベルで、降圧剤が効果あるのなら上のごとく変化するが、どうも現実は下のようであったらしい・・・



減塩、肥満、身体運動などの予防医学的なものが効果を果たして、薬物治療はちっともやくだたなかったのだろうか?・・・あやまった解釈が多数出現しそうなので・・・


Pattern of declining blood pressure across replicate population surveys of the WHO MONICA project, mid-1980s to mid-1990s, and the role of medication
BMJ 2006;332:629-635 (18 March),
http://bmj.bmjjournals.com/cgi/content/full/bmj;332/7542/629

MONICA住民の血圧低下は降圧剤使用に夜ものではない。多くの工業先進国での血圧降下h降圧剤使用によるものではない。Tunstall-Pedoeらは、MONICA住民プロジェクトからの結果で、多くの住民の血圧降下のパターンを調査。
血圧の変化は高値群の減少だけによるものでなく、各低、中等、高値血圧群でも同様に低下している。


【主なアウトカム測定】
平均収縮期・拡張期血圧
低、中等、高値測定値20、50、80センタイル値とその変化量

【結果】
38の人口分析プーリングでは、
収縮期血圧において、男性 -2.2 mmHg、女性 -3.3 mmHg、
拡張期血圧において、男性 -1.4 mmHg、女性 -2.2 mmHg
(包括的平均 -2.6 mmHg、中央値 -1.55mmHg)

血圧値高値における、降圧剤治療は0.5%-11.4%増加する

しかし、軽度・中等度血圧値群での平均血圧は高値群と同様の低下で、高血圧治療の影響は無いことが検知される。

【まとめ】
多くの先進国でj住民レベルでの血圧低下がみられるが、そのメカニズムは不明。
高血圧治療の一般住民への栄養は評価しがたいものがあり、時とともに寄与因子が異なる傾向にある。

今回の研究で、血圧低下パターンが異なる一群がみられる(http://bmj.bmjjournals.com/cgi/content/full/332/7542/629/TBL2
1980年代中頃と1990年中頃の血圧減少に関して薬物的降圧治療の関与は検出できない。
他の要因があり、それが広範に強力に効果を示す可能性がある。
血圧に関して公衆衛生的なコントロールが重要であることが判明したが、個別的降圧治療を否定するものではない。



実地医家としてむなしさを感じるが、降圧薬のコンプライアンスの悪さから考えればその通りなのかもしれない。また、時代とともに先進国では、労働時間がかなり少なくなっていることを考えれば、職務上のストレスも減ってきているであろう。また、塩分、運動・肥満に対する啓発が十分なされているのであれば、その効果があったのかもしれない。

by internalmedicine | 2006-03-22 16:05 | 動脈硬化/循環器