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ペグ化インターフェロン+リバビリン vs インターフェロン+リバビリンのシステミックレビュー

Cochrane systematic review: pegylated interferon plus ribavirin vs. interferon plus ribavirin for chronic hepatitis C
Alimentary Pharmacology & Therapeutics, Volume 25, Number 10, May 2007, pp. 1153-1162(10)
約1億7000万人の患者がC型慢性肝炎に罹患。peg化インターフェロン+リバビリン治療が現在推奨されている。
【目的】peg化インターフェロン+リバビリン vs インターフェロン+リバビリンの有益性と有害性効果の比較

【結果】
Cochrane Library, MEDLINE, EMBASE, LILACS, Science Citation Index Expandedと薬剤メーカーやトライアル著者と接触した結果(2005年3月まで)

対象4811名の18のRCT。
11トライアル(61%)で割り当てバイアスリスクがあり、全てでブラインド化が駆けてるため評価バイアスリスクがあった。
インターフェロン+リバビリンに比較して、ペグ化インターフェロン+リバビリンはSVR(sustained virological response)における有意な有益性効果があった[risk ratio (RR): 0.80; 95% CI: 0.74-0.88]
データは長期アウトカムのインパクトを決定するには不十分であった
ペグ化インターフェロン+リバビリンに比較は有意に薬剤減量比率増加(RR: 1.44; 95% CI: 1.14-1.82)し、好中球を含む副作用イベント増加(RR: 2.25; 95% CI: 1.58-3.21)し、血小板減少増加(RR: 2.28; 95% CI: 1.14-4.54)、関節痛増加 (RR: 1.19; 95% CI: 1.05-1.35)し、注射部位反応増加した(RR: 2.56; 95% CI: 1.06-6.22)。


“ペグ化インターフェロン+リバビリンは、インターフェロン+リバビリンに比較比較してSVRの比率増加するが、副作用コストを増加させる”と結論



インターフェロンにて注射部位の長く残存する皮膚潰瘍を経験したことがある。この例はペグ化ではなかったのだが・・・
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by internalmedicine | 2007-04-30 17:38 | 消化器  

抗ARS症候群?

抗Jo-1抗体に比し低頻度であるが、他抗OJ(イソロイシルtRNA合成酵素)抗体を含め、アミノアシルtRNA合成酵素(PL-7:スレオニル-、PL-12:アラニル-、EJ:グリシル-、OJ:イソロイシル-、KS:アスパラギニルtRNA合成酵素)に対する自己抗体がPM/DM患者血清を中心に見いだされているとのこと

そして、OJ抗体陽性であることから、抗ARS症候群ともいうべき疾患提唱?

Clinical characteristics of Japanese patients with anti-OJ (anti-isoleucyl-tRNA synthetase) autoantibodies
Rheumatology Volume 46, Number 5 p. 842-845


7名の患者で抗OJ抗体を測定、ILDと筋炎と関連
3名の間質性肺炎、3名のPM、1名PM-リウマチオーバーラップを報告

全例ILDを有し、筋力低下・多発関節炎が4名でみられた。
Reynaud現象とSclerodactylyはみられない

抗ARS症候群というsubtypeが鑑別可能になるかもしれない

by internalmedicine | 2007-04-29 21:59 | 内科全般  

n3 PUFAが抗炎症作用、神経防御を示すというはなし



n-6:n-3PUFA比食はうつと炎症性プロセスを促進する
http://intmed.exblog.jp/5492354/

以上の報告の一つの説明

n3 PUFAが抗炎症作用、神経防御を示すというはなし


Omega-3 fatty acids, pro-inflammatory signaling and neuroprotection.
Lipid metabolism and therapy
Current Opinion in Clinical Nutrition & Metabolic Care. 10(2):136-141, March 2007.
【目的】DHAは抗炎症性、細胞防御特性をもつstereospecific derivativeを有する
【知見】DHA由来mediatorであるneuroprotecin D1は酸化ストレスに遭遇したときに網膜色素上皮細胞にて賛成される。実験的に作成された卒中における脳、アルツハイマー病の人の脳、細胞培養中のヒトの脳で産生される。
Neuroprotectin D1は抗炎症性かつ神経防御bioactivityを有する

2つのDHA酸化経路
まず、messenger neuroprotectin D1形成を示し、2番目に、アスピリンないで活性化し、resolvin-type mediator(17R-DHA)を形成し、Neuroprotectin D1は抗apoptotic、抗炎症性シグナルを促進し、神経防御的となる





喘息に関しても興味ある知見がある。
Protectin D1 Is Generated in Asthma and Dampens Airway Inflammation and Hyperresponsiveness
Current Opinion in Clinical Nutrition & Metabolic Care. 10(2):136-141, March 2007.
Protectinsは自然の化学メディエーターであり、炎症の消失を促進し、白血球活性と反して働く。ヒトの喘息のうちの、DHAからprotectin D1 (PD1, 10R,17S-dihydroxy-docosa-4Z,7Z,11E,13E,15Z,19Z-hexaenoic acid)の形成し、アレルギー性気道炎症においてPD1が防御的に働くことが示された

by internalmedicine | 2007-04-29 21:34 | 運動系  

Bystander Effect


The "Bystander Effect"は緊急事態における一群として出現する心理学的現象
大人数であるほど、手助けしようとする人が少なくなる現象

1964年のKitty Genoveseの事件をきっかけに有名となったもの

BBC:http://www.bbc.co.uk/dna/h2g2/A585362


通報できなかった40人の心理状態:http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1111411496


この事件は、メディアの決めつけ報道という問題も提起しているされている。
尼崎の事故では執拗にたたかれたJR西日本の保安管理問題にならないのはちょっと不思議だが、JR特急乗車で生じたこの種の暴力事件に関して万全な予防策が必要であろう。人減らしで保安的な意味合いもあった列車内鑑札など減っていることを考えれば夜間の電車というのも決して安全なものではない。


Kyodo,Jpan Timesが英字で情報発信してるが大手メディアでは取り上げられていないようだ。掲示板では、日本固有の問題でないという意見と、日本人の精神性、日本の性的情報氾濫などが議論されている。
http://www.japantoday.com/jp/news/404618

cf.
Bystander effect (照射細胞から非照射細胞への傷害の伝達)

by internalmedicine | 2007-04-29 18:18 | その他  

肥満と労務災害補償

高度肥満者を雇用する場合は、それなりのコスト増大する
職場での事故に関わる労務災害補償増大、労働喪失コストなど関わることとなる



Obesity and Workers' Compensation
Results From the Duke Health and Safety Surveillance System
Arch Intern Med. 2007;167:766-773.
【序】 肥満者は合併症と医療サービス使用増加する。労働の代償への影響について多く知られてない。BMIと労働賠償要求、コストの関連、喪失労働時間の相関を調査

【方法】 後顧的コホート研究
11728名の医療および大学雇用者(34858フルタイム相当[FTEs])は、1997年1月1日から2004年12月31日まで少なくとも一回の健康リスク評価が行われた
賠償要求 、関連するコスト、労働喪失日数、BMI、性別、年齢、民族・人種、喫煙状態、労働期間、労働グループ
影響した身体部分、疾患・傷害の性質、疾患・傷害の原因を調査

【結果】 BMIと損害賠償率は線形関係あり
肥満分類III(BMI 40)の労働者では11.68/100FTEs
推奨体重の労働者では5.80


損失労働時間の影響は
労働喪失日数 (183.63 vs 14.19 lost workdays per 100 FTEs)
医療費要求コスト($51 091 vs $7503 per 100 FTEs)

補償要求コスト($59 178 vs $5396 per 100 FTEs)


BMIに影響される要求として、下肢、肘、手、背と関連あるものが多く、頭痛、炎症、ねんざ・筋違い、打撲、転倒・スリップ、つり上げ、過労である。

肥満と高リスク労働の組み合わせは特に有害

【結論】 健康的な体重を維持することは単に労働者にとって大事というだけでなく、BMIが労務外傷に強い影響を与える労働者にとって高度の重要性をもつ

全労働環境を安全にする一般的な介入を完遂すること、食事・運動をターゲットとした職場プログラムは発展され、評価されるべきである



例の職場での腹囲測定開始になりそうで・・・・
気をつけて!メタボリック予防、職場健診で腹囲測定実施へ

 厚生労働省の労働政策審議会安全衛生分科会は25日、労働安全衛生法で義務づけられている職場健診に、メタボリック・シンドローム(内臓脂肪症候群)の指標となる腹囲の測定を加えることが「妥当」とする答申をした。


 来年4月から腹囲測定が義務づけられることになる。

 腹囲測定については、同省の検討会が3月、「脳・心疾患を予防する観点からも必要」との報告書をまとめたが、経営側は、「予防には、労働者本人の自覚と取り組みが不可欠」などと反発していた。

 25日の答申では、「事業者の健診費用の負担が増すことのないよう簡易な測定方法について周知を徹底する」という経営側の意見が添えられた。同省も、細身の人は測定を省略したり、着衣の上から計測したりすることを認める方針。
(2007年4月25日20時26分 読売新聞)



BMIじゃなく、腹囲測定の意味づけが私にはよくわからないし、そのコストはどうも検診側というか、委託された医療機関への持ち出し要求のようである。

日本におけるメタボリックシンドローム迷走は、官僚と一部偏執的な研究者と軽薄なマスコミにより住民検診・職場検診などその裾野が広がってしまった。科学的根拠は貧弱なまま・・・

ただ、肥満対策は、個人の健康問題を超えて、労務上の問題であることが今回紹介の論文でも明らかとなっている。

by internalmedicine | 2007-04-29 14:51 | 運動系  

服用せず異常行動も11人 2人はリレンザ使用


次の矛先はリレンザに向くよ  ・・・って 担当MRさんに述べたことがあった。

予想通りの展開か・・・


服用せず異常行動も11人 2人はリレンザ使用 (2)
記事:共同通信社 提供:共同通信社 【2007年4月26日】

 厚生労働省は25日、タミフルを服用しないで異常行動などがみられた計11人の事例を新たに公表した。うち2人は、タミフルとは別のインフルエンザ治療薬リレンザを使用していた。

 厚労省は今月4日、11人のタミフルなしの異常行動事例を公表しており、これで計22人となった。

 今回の11人は今月3?17日にかけて医療機関から厚労省に報告された。10代が9人で最も多く、10歳未満と70代が1人ずつ。大半はインフルエンザと診断されており、自宅の窓から飛び降りたり、飛び降りようとするなどの異常行動を取っていた。骨折した人もいたが死亡例はない。

 吸入薬であるリレンザを使用した2人は10代男性と10代女性。幻覚症状などが報告された。厚労省安全対策課は「現時点では因果関係はないとみている」としている。



わたしは、漢方に話がいかないことを願っている
麻黄はいうまでもなくEphedraであり、PPAと類似した作用がある。(http://intmed.exblog.jp/5189910/




かなり不謹慎だが、2ちゃんねるのコピペに
インフルエンザにかかってタミフルを飲まないで飛び降りない
インフルエンザにかかってタミフルを飲まないで飛び降りる
インフルエンザにかかってタミフルを飲んで飛び降りない
インフルエンザにかかってタミフルを飲んで飛び降りる
インフルエンザにかからないでタミフルを飲まないで飛び降りない
インフルエンザにかからないでタミフルを飲まないで飛び降りる
インフルエンザにかからないでタミフルを飲んで飛び降りない
インフルエンザにかからないでタミフルを飲んで飛び降りる
以上のパターンがある。俺は上から6番目で・・・
ってのがあった。


実際、横断調査ではこれを調べなければならない。このコピペを馬鹿にはできないのである。

“タミフル”脳症は反薬グループは既存のことのような活動をし、マスコミは再び偏在的報道を繰り返すようになっている。薬害啓発グループとマスコミの連携は予想以上につながりが強いようである。

by internalmedicine | 2007-04-29 08:54 | インフルエンザ  

剖検の価値

日本の解剖率は3.9%?(参考:http://www.mika-y.com/journal/journal4.html
地方の医療機関の感覚からいえばほぼゼロに近いのではないだろうか?

私が勤務医の頃は、大学病院や専門施設では剖検の許可をとるのが当たり前と思っていたが、大学関係者から聞くと剖検の許可がとれないと嘆かれており、全国的な趨勢のようである。
世界的にも剖検率が減少しているようだが、日本はもともと剖検率が少なく、ほっておけば絶滅しそうな情勢のようである。


“最後の診断”(final diagnosis)と呼ばれる病理が診断の一般的な黄金律である。その黄金律に照らしたときの医師の誤診率、今回のLancetの記事で採用したものでは、約3割である。

昨今、医師の誤診率というのはなにかと話題になる。
誤診、すなわち、刑事罰・行政罰・民事罰を与え、患者やマスコミの前で、土下座せよと迫られることが多いのだが、もともと、臨床診断というのはその程度の誤謬性を具有する蓋然性があるのだ。それを罰しろというのであれば、罰を受ければよろしい。医療という制度や医療関係者自体が世の中から無くなるのも仕方がないのである。

そして、その黄金律である“最後の診断”を得る機会も少なくなり、医師の自己研鑽や医学の発展を障害しているのである。

The Lancetにて“剖検はもはやその権威を失い現代の医療では周辺的役割しか持たない(www.thelancet.com Vol 366 November 19, 2005 (pdf))という主張が掲載されたことがある。

これに真っ向から否定する論が掲載された。
Clinical, educational, and epidemiological value of autopsy
The Lancet 2007; 369:1471-1480


現代の集中的な臨床的検査が発達してはいるが、剖検で生前診断のエラーとして30%ということが判明することがわかっている(引用論文:Arch Intern Med. 2004;164:389-392. )。

剖検は現代の生前診断過誤を明確にし、剖検は医療戦略の基礎となる国家的な死因統計を補完し、信頼性を改善するものである
剖検は薬剤副作用による死亡原因の発見に決定的役割を果たすこともある。


心血管、中枢神経疾患のような生検が簡単でないところでの疾患や新しい治療が急激に発展している分野への知識を深めるために、剖検は重要な位置でつづけるのである。


世界的な剖検率
オーストラリア 21.0%(1992-93) → 12.0%(2002-2003)
フランス 15.4%(1988) → 3.7%(1997)
ハンガリー 100%(1938-51) → 68.9%(1990-02)
アイルランド 30.4%(1990) → 18.4%(1999)
ジャマイカ 65.3%(1968) → 39.3%(1997)
スウェーデン 81.0%(1984) → 34.0%(1993)
UK 42.7%(1979) → 15.3%(2001)
USA 26.7%(1967)  → 12.4%(1993)


臨床的剖検率と影響要因
法律
•同意を得るための必要要件
•罰則

要求率
•臨床教育の臨床専門性と経験蓄積
•剖検に対する給与外報酬
•生前検査

同意率
•宗教
•民族的起源
•文化による態度
•メディアの描写
•社会的な認知




メディアの描写というのは、“白い巨塔”、“Final Diagnosis(Arthur Hailey)”などがドラマ化などされて日本でも人気を博したと思う。私なども病理医ってのは“かっけぇなー”と内心あこがれた。
最近は病理は生検でのニーズが増大しているのだとおもう

現在1,860 名の専門医の広告をしている
グラフのように明らかな地域偏在がある
米国にくらべ人口比医師比とも病理医が少ない
グループより一人病理医の形態が多い(http://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/11/dl/s1130-11d.pdf


日本の医療の普遍的問題である、医師数の絶対数欠如と偏在、医師の待遇、チームとして職務遂行不能という問題がある。政府は医療の現実に予算を合わせるのではなく、予算に医療をあわせてきた・・・その矛盾がこの国の医療の迷走そのものなのである。一度、こわれたものは元に戻るには相当の時間がかかる。

by internalmedicine | 2007-04-28 08:19 | 医療一般  

n-6:n-3PUFA比食はうつと炎症性プロセスを促進する

食事がmoodや炎症に影響を与えるのは当然のようになってきた。


Depressive Symptoms, omega-6:omega-3 Fatty Acids, and Inflammation in Older Adults
Psychosomatic Medicine 69:217-224 (2007)
【方法】
43名の老人(平均 66.67歳 SD 10.09歳)でPUFAsとTNF-α、IL-6、sIL-6測定
うつ症状をCenter for Epidemiological Studies Depression Scale(pdf)を利用


【結果】うつ症状と  高n-6:n-3比はともに単独だけよりも、前炎症性サイトカインをより促進する
すなわちIL-6 13%、TNF-α 31% で、フルモデルでは18%と40%である。


低うつ症状の時は、予測サイトカイン値は 高n-6:n-3 と一致する
うつ状態の高度の時は、高n-6:n-3比はTNF-αとIL-6増加することと関連

sIL-6r高値は高n-6:n-3比と相関


大うつのクライテリアに合致した6名は、合致しない例より、高n-6:n3比、TNF-α、IL-6、sIL-6であった。
6名を除外することで、うつと高n-6:n-3比の説明できる変数であった。

【結論】高n-6:n3PUFAはうつと炎症性疾患のリスクを促進する可能性がある


n6:n3は、アレルギーとの関係は未だ?(Eur Respir J. 2004 Apr;23(4):575-82  Eur J Med Res. 2004 Aug 31;9(8):378-82.


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サプリメント屋のpda

by internalmedicine | 2007-04-27 12:07 | 医療一般  

超高齢者の運動は認知機能低下に役立つ(女性の方が効果あり)

と書いたが、逆かもしれない。体を動かさない人は認知機能低下しやすい。

2ちゃんねるなどをみると、“老人氏ね”などとよく書かれている。相互扶助精神の欠如を感じる。そして、“おまえらがじじいになったときも同じようにいわれる”などとレスが書かれることとなるのだが、認知障害のことを調べると、“祖母仮説(grandmother hypothesis)”の存在に気づく。生物学的な再生産可能年齢を超えた人間は生物が期にも無用ではないのである。世代間情報伝達というのは人間の生活社会にとって重要な役割を果たしているという考えがある。
俗に言えば、“おばあちゃんの知恵”なのだが、核家族化により、世界に稀な“祖父母と孫”の世代間隔絶、これが日本社会にとって非常に危険な要因となっているのである。



・・・と、かなり脱線したが、

以下の論文は、女性では特にそれが顕著ということで、前向きということで評価できる研究なのだろう

身体運動(PA:physical activity)と、認知機能障害(CI:cognitive impairment)の関係を85歳以上で前向き研究

Physical Activity and the Risk of Dementia in Oldest Old
Journal of Aging and Health, Vol. 19, No. 2, 242-259 (2007)
66名の健康な平均88.5歳の高齢者で生存率分析
12名の男性、11名の女性で週4時間超の運動
38名でCI進展(平均発症年齢93歳、平均フォローアップ、4.7年)

運動の影響は性別で影響をうける

運動時間>4時間/週の女性はCIのリスクが88%(95%信頼区間 0.04 0.41)減少

活動性のない女性は、男性に比べてCIの発生頻度は2倍で、身体活動の高い女性に比べれば約5倍である。


この研究は超高齢者における運動の脳の加齢機能悪化への有益性をしめしたもの


身体運動の認知機能予防効果は様々報告がある。たとえば Friedlandら(2001) Kondoら(1994)などの横断的研究

Katzman(1993)は教育レベルが認知症と関係あり、複雑なニューロン・シナプス形成が予防的に働くのではないかという仮説、娯楽活動への参加が予防的に働くという研究(Fabrigouleら,1995 など)

身体運動やレジャー参加の少ないということは早期発見まで時間を経過してしまっているという要因もあるという主張があるが、診断後のケアの有効性が確立してない現状ではたしてそうなのだろうか?むしろ、研究上のベースラインの背景諸因子に影響を与えているのではないかという考えもある(Joe Vergheseら,2003)。


Honolulu-Asia Aging StudyというのもWalkingのアルツハイマー病発症予防効果を示した研究だが、他のライフスタイルや環境要因への影響、動脈硬化要因と、直接の脳のplasticity・構造・機能への影響が考察されている。身体的脆弱性との関係なども研究の余地があるとしている。

直接の影響として
・Exercise: a behavioral intervention to enhance brain health and plasticity
Trends in Neurosciences Volume 25, Issue 6, 1 June 2002, Pages 295-301
海馬の分子cascadeの活動性亢進し、脳の機能やplasticity(可塑性)に影響を与える

COGNITIVE reserve (CR) hypothesis

“Cognitive reserve (CR) is the ability of an individual to cope with advancing brain pathological abnormalities so that he or she remains free of symptoms.”
認知機能予備能は、脳の病的異常に対抗し、症状無しの状態を保つために対抗する個人の能力である



他の霊長類に比べてヒトは寿命が長いために顕著化した現象であり、祖母仮説(grandmother hypothesis)は、世代間情報伝達をより深く可能とした。"human life history stages”をもたらした。ヒトは脳の質量増加と認知機能発達という進化の中で、世代間の社会サポートネットワークの増大をもたらし、それが人間の社会自体の進化をもたらしたのである。
だが、同時に、加齢は、本来有する自然選択という側面もある。特に生殖可能年齢を過ぎたヒトに対する選択である。

高齢生存者の生き残り術として、身体感覚を含め、認知機能(e.g. 記憶、コミュニケーション)の高度維持が必要。脳の加齢・健康な加齢減少要因がこのことと関連している。

脳の画像化技術により60歳までは脳の質量は維持されており、この年齢までは一般的に有意な現象は診られない。脳の質量と認知機能パフォーマンスは生殖可能期間後或いは後期において重要ということになる。“cognitive reserve hypothesis”は脳の質量増加と認知機能改善が脳の老化や痴呆発症蓋然性を減少することにつながるであろうという仮説である。

Am J Hum Biol. 2005 Nov-Dec;17(6):673-89)

Association of Life Activities With Cerebral Blood Flow in Alzheimer Disease
Implications for the Cognitive Reserve Hypothesis Arch Neurol. 2003;60:359-365.




運動をしないsedentaryな人はなぜ・・・認知機能低下という答えはクリアカットでないようだ。

それにしても、高齢者でも男女比があるのはなぜ?

・・・

by internalmedicine | 2007-04-27 08:26 | 運動系  

MRとの関係

MR(製薬会社医療情報担当者)との面会を行わないという開業医も増えてきた。MRさんと会うと情で薬品選定に影響を与えてしまうということだそうだ。そういう考えにも同意する。

ただ、NEJMの論文によると、“小規模な医師しかいないところほど、面会が多い”というのがある。理由としては病院やアメリカのクリニックといった大きなところは、
1)処方箋システムが自動的で医師の個別判断が少ない
2)MRとの接触制限がなされている
3)grand roundsやCMEイベントなどの教育システムがしっかりしている
4)医療情報源としてMRに頼らなくても医療情報に困らない制度・システムが整備されている
などで、大規模な医療施設では別にMRさんからの情報はいらないということなのだろう。ただでさえ情報の乏しい零細診療所で、かつ、講演会にいくのに片道1時間から1時間半以上の田舎にある当地では積極的にMRさんからの情報を得ることは大事な仕事であると私は思っているが・・・


日本でも医療用医薬品に関するプロモーション活動にも規制コードがある

「プロモーションコード」
製薬協コンプライアンス・プログラム・ガイドライン2005
医療用医薬品プロモーションコード


公正競争規約
製薬企業と公正競争規約



・・・と前書きしておいて・・・

A National Survey of Physician–Industry Relationships
NEJM Volume 356:1742-1750 April 26, 2007 Number 17
近年20年ほど医師・(医療関係の)会社との関係が注目されている。Wazanaは2000年16の研究文献(1982-1997年出版分)をレビューし、医師はMRと月4回面会し、年に6回の贈り物をもらっているという報告(JAMA. 2000;283:373-380.)がなされた。
2001年の調査(National Survey of Physicians. Part II: Doctors and prescription drugs. Washington, DC: Kaiser Family Foundation, March 2002.)では薬剤サンプルを92%、食事をイベントのチケット・ただの旅行を61%、経済的な、利益を得るものが13%、臨床トライアルのインセンティブを12%受け取っている。
医師側の属性に関する調査がなされてなかったとのこと。

医師・会社関係についての関心が増したため、職業団体・興行的な団体はそれに関するregulationを勧めた。Pharmaceutical Research and Manufacturers of America (PhRMA) を2002年医師・会社関係に関わる行為コードを組み込んだ。まず患者に利益のあるもので、医療の発展をもたらすものでなければならないとした。患者の利益とならない娯楽的な行事のチケット・商品(ゴルフボールやスポーツバッグなど)は医師に与えてはならないとして、時間の代償や助言として名ばかりのコンサルタント料金やポ自費の経費も思いとどまらせるものである。
米国医師会やACPもこのコードと同様なコードを採用している(NEJM Volume 351:1891-1900 October 28, 2004 Number 18)。

【結果】
94%の医師が製薬会社となんらかの関係を持っている
職場で、食事(83%)、薬剤サンプル(78%)を受け取っている。

アンケート返答者の1/3以上(35%)で医学ミーティング、継続的な医学教育、に関わるコストの償還を受け、1/4以上(28%)でコンサルティング・レクチャー、トライアルの患者参入に関わるpaymentをもらっている。
循環器科医は家庭医の2倍以上のpaymentをもらっている。
家庭医は他の専門医よりMRと会う回数が多い

一人、二人、グループ医療の医師が病院の医師よりMRと会う回数が多い


【結論】国内調査にて医師と会社の関係はcommonであり、専門、診療形態、職業的活動性によってその影響は変わる。


循環器系に関しては、薬剤の種類も多く、その新旧交代もめまぐるしい・・・逆に言えば、製薬会社側からみれば、新薬で多くの利益を得るため、営業活動に力が入るのだろう。

大手後発メーカーのMRは人口150万人程度の県に2名しかいないということであった。むしろMSは子会社のとり扱いにしているという。医師に情報提供するより調剤薬局対策にウェイトをかけているのだろう。一般名処方や後発変更可への道筋をよんでの会社の体制である。

そして、“他社および他社品を中傷・誹謗しない”ということを盾に“先発品と同じ効きめ”という詐欺的宣伝に先発MRさんたちは異議を唱えることさえできないのである。

こういう状況で、深刻な副作用が出たとき、医者はどこに相談したらよいのだろう。全国の医師たちは薬剤副作用に関し厳重に監視すると同時に、後発品メーカーの対応を特に厳重監視すべきと思う。

副作用は先発メーカーに聞いてくれという後発製薬会社は、本来社会にあってはならない存在なのである。

by internalmedicine | 2007-04-26 10:08 | 医療一般