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パーキンソン病:頭部外傷・農薬

パーキンソン病は単一原因疾患ではないようで、遺伝子や環境要因の組み合わせのようである。頭部外傷に関しては有名なボクサーがパーキンソン病になったことでことさら関心があるようである。オッズ比4.3(Neurology 2003;60:1610-1615)とかなり高い関連が取りざたされているが、なにせこういう事態がrareな状態なので・・・より広範な原因Surveyが必要となる。また、農薬は種類限定だけでもされるべきだと思うのだが・・・

パーキンソン病・パーキンソン症状約1000名 vs 対照2000名の症例対照研究
・農薬使用にて41%リスク増加
・外傷頭部打撲、職業的なボクシングなどのスポーツで2.5倍のリスク

Dick F et al. "Environmental risk factors for Parkinson's disease and parkinsonism: the Geoparkinson study." Occup Environ Med 2007;0:1-7.



農薬との関係はくすぶっていてかなり前から検討はされているようだが・・・農薬とパーキンソン病の関係はあるようで( British Medical Bulletin  January 22, 2007 )、農薬全般ではなく特定の農薬の関係があるようだ(American Journal of Epidemiology  Volume 165, Number 4 Pp. 364-374



品のないボクサーをテレビ局は一生懸命後押ししているようだが・・・ああいう態度をテレビで垂れ流すこと自体、ボクシング撲滅をはやまらせてるんじゃなかろうか?

頭をつかうスポーツは頭が悪くなる?
頭をつかうスポーツは頭が悪くなる 続編
文明国ではボクシングは追放されなければならない
ヘッドギアしてもボクシングは頭に悪い

by internalmedicine | 2007-05-31 16:03 | 医療一般  

“脳のペースメーカー”という考え:DBS(Deep brain stimulation)

命名がうまいのだろう・・・“脳のペースメーカー”

アメリカ連邦FDAで認可されており、パーキンソン病や他の振戦疾患に対しては実験治療とは既にいえない状況である。しかしながら、パーキンソン病では視床下部への刺激は推奨されておらず、振戦と固縮の場合のみ視床下部への刺激が役立ち、痛序はglobus pallidus(淡蒼球)への刺激は推奨されている。片方の症状のみであれば淡蒼球の刺激でよい。(Cleaveland Clinic Information Center



(この写真はDBS(Deep brain stimulation)として紹介:CleavelandClinic)

パーキンソン病や他の運動性疾患の症状改善のために電気的シグナルを消し去る方法
1977年FDAが認可し、約3万人のに使用されているのに、メカニズムは完全には理解できていない。
Dukes University Pratt Schoolの生物医学エンジニアは脳深部のrapid-fire電気的パルスを投与したときに“information lesion”と彼らが呼ぶ領域が作られることを発見した。

振戦の患者では周期的burstが生じる、たとえば、「ポン・ポン・ポン・(沈黙)・ポン・ポン・ポン・(沈黙)」のように脳内の病的回路が形成されているというのである。
代わりに“ポン・ポン・ポン・ポン・ポン・ポン”というに置き換えれば“information lesion”は消え去るだろう。高周波深部脳刺激は手術のように働き、重症の振戦疾患やてんかんの治療としての可能性が生じる。

2007年journal IEEE Tranactionに報告している。

ソース:http://www.pratt.duke.edu/news/?id=921



Parkinson's 動画 ビデオのまとめサイト - MICKEY.TV

by internalmedicine | 2007-05-31 12:10 | 医療一般  

VE/VCO2 slope が心不全予後予測に重要

収縮期心不全患者では、VE/VCO2 slopeは、拡張期心不全や正常者に比べて高い。

VE/VCO2 Slope in Older Heart Failure Patients With Normal Versus Reduced Ejection Fraction Compared With Age-Matched Healthy Controls
Journal of cardiac failure Volume 13, Issue 4, Pages 259-262 (May 2007)


酸素消費と炭酸ガス排泄という肺の機能の効率を評価する検査になるが、この検査は入院リスクを予測する指標でもある。拡張期性の心不全頻度が増えているが、その死亡リスクに関してはまだ不明である。

この試験の34というスコアが死亡リスクの閾値となるらしい。
収縮期心不全では37、拡張期心不全では34、健康老人では32という数字


ソース:http://www.sciencedaily.com/releases/2007/05/070530100949.htm
※いまひとつ不安なソース源

by internalmedicine | 2007-05-31 11:56 | 動脈硬化/循環器  

腸管絨毛に存在するMyosin-1aは分子モーターとして働き栄養吸収に関与している

そういえば、腸管のミオシンというのは平滑筋のミオシンに話題が集中していたわけだが、絨毛を形成する腸上皮細胞にもミオシンが含まれており、それが、腸管からの栄養摂取に関与しているという話で・・・なんかの病気と関係するかもしれない・・・という話。

Myosin-1a powers the sliding of apical membrane along microvillar actin bundles
The Journal of Cell Biology, Vol. 177, No. 4, 671-681

腸管細胞の微小絨毛には様々な上皮細胞に共通してアクチン様な膜様突出物が存在し、この腸細胞刷子縁(brush border:BB)の微小絨毛内に、myosin-1a(Myo1a)が原形質膜と偏在するアクチン束をつなぐ規則正しいアンサンブルを形成している。



腸の微小絨毛の中心部にある核となる束が中心構造をなし、構造蛋白アクチンの配列となっている。アクチン束が加算式の横木となり、表面膜に結合している、モーター蛋白myosin-1aが形成される。
ミオシン自体は筋肉収縮と関係あるわけだが、このミオシンは構造的役割のみと考えられている。教科書にも微小絨毛が受動的屋台骨としての役割を果たしており、表面膜の構造をさらに複雑化している役割を果たしているとして書かれているとのこと。確かに、腸内では、栄養処理過程や担体、栄養分摂取処理能力が表面面積が広がるほど有効となるわけだが、モーター蛋白が受動的役割のみと考えられていた。

分離BBにてATPを加えると、微小アクチン束に沿って尖端膜がプラス端へ移動する、この微小絨毛の先端の上で、細胞膜は小胞を形成して消失する。この動きはMyo-1駆動によるプロセスであり、Myo-1のはたらきを栄養源供給ストップすると消失する。
Myo1aは運動性と有しており、腸管の絨毛機能に重要な役割を果たしていることが判明した。


Myo-1は顕微鏡で、 細胞膜がmicrovilli の先端に向かって動き、そして 小胞形成 し、微小な泡つぶの小包となり終端でパッと外れるのを観察した・・・そういう動的働きをしているのだろう。



by internalmedicine | 2007-05-31 11:07 | 消化器  

腰椎変性脊椎すべり症手術:神経根症状改善効果ははっきりした

脊柱管狭窄の非手術的治療で軽度改善があり、椎間板ヘルニア患者と対照的である。脊柱管狭窄症の好ましからざる予後が重要な手術対象の要因であり、選択された対象が必要ということになる。

では、腰椎変性脊椎すべり症はどうか?

腰椎椎間板症の患者は非手術治療で改善傾向があるが、手術トライアルにおいて小程度改善がみられたという報告がある。

脊椎の手術(Back Surgery)というのは持続性腰背部痛に対するすべての患者の共通の治療法というわけには行かない。特異的な症状の組み合わせを有する特異的な解剖学的な問題点に対する特異的な治療と言うことにつきる。病変部位を注意深く同定した上ではじめて、患者への期待できる治療を提供できるわけである。

Spinal fusion surgeryは、構造上の問題や痛みを生じる動きを解決するため行われ、
2004年において30万件以上1600万ドル以上が費やされている。laminectomyや椎間板切開を神経根圧迫解除目的や膝関節置換術や他の費用まで考えればかなりの費用に及ぶ・・・外来ベースlubar diskectomyを含んでいないというほど国家的医療費の問題を含むとされていた。

NEJMの2つのトライアルにて、背部痛・下肢痛は手術により改善したが、背部痛より下肢痛の改善がより急速であり完全となること多い。故に神経根関連症状の改善に手術は大きな役割を果たすだろう・・・とのエディトリアルコメント

Surgery versus Prolonged Conservative Treatment for Sciatic
N Engl J Med. Volume 356:2245-2256 May 31, 2007 Number 22
重症座骨神経痛283名に対し、microdiskectomy手術 vs 保存治療+イベント時手術というStrategyで比較したランダムトライアル

早期手術群は回復急速で、下肢痛の改善も急速。1年後のアウトカムは同様で、両群95%が回復のまま



Surgical versus Nonsurgical Treatment for Lumbar Degenerative Spondylolisthesis
N Engl J Med. Volume 356:2257-2270 May 31, 2007 Number 22
腰椎変性脊椎すべり症( Lumbar Degenerative Spondylolisthesis)に対して手術療法と、非手術療法を比較。データは基本的にランダマイズ化されておらず、as-treated analyesにて比較。2年フォローアップ間に、手術治療された患者は疼痛・機能改善が大きい。非手術の方は中等度の時間経過による改善えられた。




腰椎脊柱管狭窄を伴うすべり症は主に老人の疾患であり、椎間板ヘルニアを伴う場合が多い。加えて、diskectomyよりfusion surgeryが侵襲度が大きく、合併症可能性も高い。手術合併症は80歳以降急激に増加し、リスク・ベネフィットの問題に帰結することも大事

instumented vs non-insturumetの問題もある。未だ結論づけられてない。



追) 基本的知識が間違えているかもしれない・・・ので、ご高配を!

by internalmedicine | 2007-05-31 09:49 | 運動系  

家庭など頻回血圧測定による有害性

家庭や職場、役所・役場、コミュニティーセンターなどに血圧測定器・・・好ましいことなのか?

家庭血圧測定の指針 (日本高血圧学会)なるものが発表されている。

自己血圧測定についてある報告(Can J Cardiol. 1995 Nov;11 Suppl H:18H-22H. )では

利点・血圧目標値の達成率向上
・治療adherence改善
・医療機関受診の減少

リスク
・自己血圧測定に適さない人たちがいる
・不安増加するものがいる



フリーアクセス世界一の日本では自己血圧測定が受診頻度増加につながるか?
特定の患者ではかえって受診回数増加を促進している部分がある。

患者の不適切な知識や不適切な測定、不正確な血圧計が世間では多く、患者の健康に被害を与えているという報告Blood Press Monit. 2001 Jun;6(3):133-8.)がある。


AHA Scientific Statement(Hypertension. 2005;45:142.)では
高齢者はWCH(白衣高血圧)、ISH(収縮期高血圧)、pseudohypertensionの頻度が高い。血圧は腰掛けて測らせること、各受診毎に2回以上測定し、平均値をとること
規律性低下津も生じるので起立時の血圧測定も行うべきで、特に糖尿病合併例で多い。
朝方、食後、起立時に特に血圧上昇しやすい。
降圧剤投与において自己測定はきわめて役立つ。ABPMは時にホルターECGとともに行うことで意識消失発作や夜間呼吸苦のようなものを評価可能となることがある。


・・・・と肯定的意見ばかり書かれているが・・・

偶発的な血圧測定による異常値により不安感をもたらし、さらに不安感により血圧値上昇・・・という患者を毎日何人診ていることか・・・・

市井のみのもんた(みょーに自信を持って、うそ健康情報を垂れ流す世間に良くいる人々)が「肩こりがあれば血圧、頭痛あれば血圧・・・元気が無ければ血圧」と、Quacker(y)となり、時に有害性を伴う情報を垂れ流す。



馬鹿厚労省は、“指用の血圧計は不正確である。手首血圧計は使用が容易であるが、水柱圧補正が困難であること、手首の解剖学的特性から動脈の圧迫が困難である場合があり不正確になることが多く、現状では家庭血圧測定には、上腕用を使用する”と言いながら医療用具承認番号をつけているのである。・・・相変わらず、現行不一致の馬鹿役所である。


頻回の血圧測定を、自宅2回のみの自己測定に減らすよう指導し、一時的な血圧異常値にびくびくしなさんな!・・・と指導して、安定している事例を症例呈示

【症例】
ある高齢女性
夜間時間外受診から当院通院。
きっかけは、血圧自己測定高血圧(180/100以上)として気分不良のため受診
社会歴:高齢夫婦二人暮らし
夜間診療体制を思うと不安になるとこぼす

来院時血圧:180/110程度

聞き取り、血圧についてのリスク説明
抗不安薬投与にて経過観察
不安時ソラナックス(R)頓服指示


自己血圧測定の推移
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【考察】この人は“血圧の異常 イコール 即、死の不安”を感じている。ベースに高齢化に伴ううつ、老夫婦二人暮らしを含む社会的・経済的・人的不安、夜間・休日医療状況に対する不安がある。
アメリカの心身医学学会の円卓会議(J. Amer. Psychoanal. Assn., 1:562-574:http ://www.pep-web.org/document . php ? id = apa . 001 . 0562a)で、、「“高血圧”と“血圧という数値を上げている”のとは別の疾患プロセスであり混同すべきでないことを再認識する必要があるとした。“vasomoter instability”という現象を疾患と混同してはならない。Cannonの情緒と身体反応の概念の誤解からはじまっている。最小動脈の末梢血管抵抗増加というのが仮説の始まりである」としている。
こういった高血圧とは別の心的プロセスがはたらく病態に対して、家庭内血圧測定や頻回の偶発的血圧測定がなされることが果たして安全なのだろうか?・・・血圧高値≠高血圧であることをもう少し気に留める必要があるだろう

 「職場高血圧」・「仮面高血圧」という造語にご用心 ← こういうミスリードを誘発する医者は私は問題あると思うのだが、相変わらず全国で氏の講演会は多い





家庭血圧(home blood pressure:HBP)http://www.lifescience.jp/ebm/sa/2003/0303/index9.html

Self-Measurement of Blood Pressure at Home in the Elderly: Assessment and Follow-up (SHEAF) study


Home Blood Pressure Monitoring Patient Instructions
UMHS Approved Clinical Care Guideline

by internalmedicine | 2007-05-30 09:12 | 動脈硬化/循環器  

マラリア

先週JAMAで掲載されていた分だが、クロロキンという薬はアンチ薬剤のターゲット薬剤であるが、最近抗マラリア効果の復活の兆しがある( N Engl J Med 2006; 355 : 1959 - 66 )そうで、クロロキン耐性熱帯熱マラリアの監視において,一つのマーカー熱帯熱マラリア原虫の pfcrt T76 突然変異が関係あること(N Engl J Med 2001; 344 : 257 - 63 )など研究の進歩が見られる。NEJMなどはずいぶんマラリアに関する記事が多いなぁ・・・と思っていたのだが・・・かなり問題なのだろう。薬剤耐性に関して(N Engl J Med April 14, 2005 15 352:1565-1577



USではマラリアは撲滅されたはずだが、世界レベルではトップの感染症である。
USでは年1200名のマラリア症発症があり、13名が死亡している。
アメリカの臨床家や検査技師などマラリアになれてないことや薬剤耐性パターンが診断の遅れにつながる可能性がある。結果として好ましくないアウトカムにつながる。

US内のマラリア診断・治療の臨床的推奨を医師に提供している
(CDC マラリア:http://www.cdc.gov/malaria/


Treatment of Malaria in the United States A Systematic Review
JAMA. 2007;297:2264-2277.



(http://jama.ama-assn.org/cgi/content/full/297/20/2264/JCR70004F1)
熱帯病治療薬研究班解説から(pdf):マラリアは、メスのハマダラカが刺咬することで生じる原虫性疾患であり、熱帯熱マラリア(原虫はPlasmodium falciparum)三日熱マラリア(P.vivax)卵形マラリア(P. ovale)四日熱マラリア(P. malariae)の4種類がある。
ヒト体内に侵入する時の原虫ステージはスポロゾイトであるが、それは速やかに肝臓に取り込まれる(一次肝臓内ステージ)。しばらくして肝細胞内で数千個に分裂し、分裂小体が血中に放出されて赤血球に侵入する。赤血球内では輪状体(未熟栄養体)、栄養体(成熟栄養体)、分裂体と推移し、分裂体を有する赤血球が破裂すると分裂小体が放出され、新しい赤血球に侵入してこのサイクルを繰り返す(赤血球内サイクル)。マラリアの種々の症状はこの赤血球内サイクルにより生じる。この他に三日熱マラリア(P.vivax)>と卵形マラリア(P. ovale)では、肝細胞に潜伏する休眠原虫(ヒプノゾイト)が形成され、1~数ヶ月、場合により1年以上経ってから再発を生じる。以上はすべて無性原虫であるが、赤血球内サイクルをしばらく繰り返すと、有性原虫である生殖母体が形成されることがあり、重症マラリアあるいは原虫数が多い場合にみられることが多い。これはヒト体内では無害であるが、蚊の体内で合体・受精さらに分裂・増殖するので、流行地では感染源として重要である。
熱帯熱マラリア(原虫はPlasmodium falciparum)では短時間で重症化や死亡の危険があり(重症マラリア)、緊急対応が求められる。重症マラリアの合併症のひとつである脳症は、感染赤血球が脳の細小血管に閉塞する(sequestration)ためと考えられるが、機序の詳細は明らかでない。また、他の臓器・系統の合併症の機序については、脳症ほどには解明されていない。
マラリアはアフリカ、中東、アジア、オセアニア、中南米に広く分布する。サハラ以南アフリカでは熱帯熱マラリア(原虫はPlasmodium falciparum)が殆どであり、ときに卵形マラリア(P. ovale)もみられ、中東と中米では三日熱マラリア(P.vivax)が殆どを占め、アジア、オセアニア、南米では熱帯熱マラリア(原虫はPlasmodium falciparum)三日熱マラリア(P.vivax)の両者があるが、旅行者がかかるのは三日熱マラリア(P.vivax)が多い。



Manifestations of Severe Malaria
Prostration:消耗
Impaired consciousness/coma:意識障害・昏睡
Respiratory distress (acidotic breathing):呼吸困難(酸性血症の呼吸)
Multiple convulsions:多発痙攣
Circulatory shock:循環器系ショック
Pulmonary edema:肺水腫
Acute respiratory distress syndrome:ARDS
Abnormal bleeding:腹部出血
Jaundice:黄疸
Severe anemia:重症貧血
Acute renal failure:急性腎不全
Disseminated intravascular coagulation:DIC
Acidosis:アシドーシス
Hemoglobinuria:ヘモグロビン尿症
Parasitemia >5%:寄生虫血症>5%



(http://jama.ama-assn.org/cgi/content/full/297/20/2264/JCR70004F2)


治療:http://jama.ama-assn.org/cgi/content/full/297/20/2264/JCR70004T1
クロロキン耐性種のない地域の熱帯熱マラリア(原虫はPlasmodium falciparum))の治療にはクロロキンが治療選択として残る。そして、抵抗性のあるエリアでは、atovaquoneとproguanilあるいはquinine+tetracycline or doxycycline or clindamycin併用が最良の治療選択である。


atovaquone-proguanilが最良であるインドネシアやパプアニューギニアの三日熱マラリア(P.vivax)をのぞいて、クロロキンはほかのマラリア種では他のすべてのマラリア種の治療法として残る。mefloquine or quinine+tetracycline or doxycyclineが代替的に用いられる。

キニジンは最近、USにおいて重症マラリアの治療として推奨されたが、代替薬がまだ利用できないからである。

重症マラリアは無性増殖マラリア血症を有する患者や他に確定できない症状で、1つ以上の指定された臨床所見・検査所見を有する場合に生じている。


重症マラリアの補助的なものとして、血漿交換が推奨されている。

【結論】マラリアはUSの臨床科にとって診断・治療両面の難問のままで、マラリア淫侵地域への旅行やそこからの移住者数が増加しているためである。
適切な治療を迅速に行い、死亡率・合併症を最小限にする強いエビデンスが存在する。




寄生虫症薬物治療の手引き —2007—(pdf)(p7-)
治療方針
熱帯熱マラリアは緊急対応を要する疾患であり、初診時に重症マラリアでなくても、短時間で重症化することを念頭におく必要がある。また末梢血原虫数は少なくても、脳などの細小血管には感染赤血球が多数sequestrationしていることがあり、軽視してはならない。通常、合併症がなくて原虫数が少なければ(10万/μL 以下)経口薬を用い、重症マラリアあるいは原虫数が多い場合(10万/μL 以上)には注射薬を選択する。後者の場合、最近では流行地においてアーテミシニン(チンハオス)系薬の坐薬の評価も高まっている。抗マラリア薬の選択に当たっては感染地域での薬剤耐性を考慮するが、タイ・ミャンマーあるいはタイ・カンボジア国境地域ではメフロキン耐性が多いので、同薬剤を避ける。また、重症マラリアでは抗マラリア薬療法以外に、病態に応じた適切な支持療法が必要である。それらは酸血症/代謝性アシドーシスの治療を含む水・電解質・酸塩基平衡の管理、輸血療法、機械的人工呼吸法を含む呼吸管理、血液浄化法などであるが、最近、欧米では重症度に応じて交換輸血が行われている。なお、脳症の場合に脳圧低下のためのステロイド薬、DICを想定してのヘパリンの投与は禁忌とされている。
他の3種のマラリアでは殆どの場合、急性期治療薬としてクロロキンが用いられる。ただし、三日熱マラリア(P.vivax)ではクロロキン耐性が出現しつつある。三日熱マラリア(P.vivax)と卵形マラリアでは急性期治療の終了後、再発の元となる休眠原虫を殺滅するため、特殊な抗マラリア薬であるプリマキンを用いる。ただし、プリマキン抵抗性の三日熱マラリア(P.vivax)が出現しており、そのためプリマキン総投与量を増量する傾向にある。
治療開始後には治療経過の判定を正確に行なう必要があるが、特に三日熱マラリア(P.vivax)では最低限1日1回、重症度が高ければ1日数回血液塗抹標本を作成し、原虫数を算定するのみならず、原虫の形態を観察して薬剤の効果を頻繁に判断する。
なお、クロロキン、キニーネ、メフロキン、プリマキンについては、塩としての表記と塩基としての表記があり、混乱しがちであるが、キニーネ経口薬を除いて塩基として表記するのが一般的である。



国内での薬剤入手について
・ヒューマンサイエンス振興財団・政策創薬総合研究事業 熱帯病治療薬研究班
国内で販売されている抗マラリア薬はキニーネ経口薬、ファンシダール、メファキン「エスエス」の3種類のみであるが、他の抗マラリア薬は「熱帯病治療薬研究班(略称)」(筆者は班員、http://www.ims.u-tokyo.ac.jp/didai/orphan)が保管している。
(http://idsc.nih.go.jp/idwr/kansen/k05/k05_04/k05_04.html)





寄生虫学用語集 第二版
http://jsp.tm.nagasaki-u.ac.jp/~parasite/akao2/yogo2.txt

by internalmedicine | 2007-05-30 07:10 | 感染症  

SAD PERSONS:自殺リスク評価

精神医学のバックグラウンドのない医療関係者に簡単で重要なツールが救急外来で有効であるとのこと
”SAD PERSONS” scaleは1983年Pattersonらが開発したもの
臨床的アクションのためのリスク評価・評価者に対して開発


Miller BP and Giordano R. "Creating a Suicide Risk Assessment Tool for use in the Emergency Department." Abstract NR391, presented May 21.
Primary source: American Psychiatric Association 2007 Annual Meeting

(http://www.psychiatrictimes.com/psychiatryNews/showArticle.jhtml?articleID=199702234&cid=BreakingNews)


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(日本語訳されていた:ソース:http://www.med.or.jp/jams/symposium/kiroku/129/pdf/129040.pdf

by internalmedicine | 2007-05-29 15:51 | 医療一般  

早期積極的治療法がむち打ち症の回復を遅らせる

むちうちは 積極的に治療するほど 回復が遅れる(2005年 10月 25日)で紹介した論文主旨の研究を違う医療状況下で検討したもので、やはり、表題のことが確かめられた。

"Early Aggressive Care and Delayed Recovery From Whiplash: Isolated Finding or Reproducible Result?"  
Côté P et al. Arthritis Care & Research 2007
カナダ・Saskatchewan州のコホート研究で積極的なむちうち治療は結局回復を遅らせるという報告。同じ著者の報告があったが、異なる医療保険スキーム・独立した対象でおこなったもの。
一般医に2回以下受診するのと、カイロプラクティスケアを含めた6回以上受診を比較したもの
1693のカルテ・医療保険記録(1994年7月~1994年12月31日)

以下のグループで検討
* 家庭医に2回以下受診
* 家庭医に2回超受診
* カイロプラクティス1-6回
* カイロプラクティス6回超
* 1度でも家庭医受診+1-6回のカイロプラクティスケア
* 1度でも家庭医受診+6回超のカイロプラクティスケア
* 家庭医の回数を問わず、専門医受診回数を問わず
* 一般の医療群 -- 家庭医受診回数とわず、むちうちと診断されていない


プライマリアウトカムは回復までの期間で、保険申し出開始から終了までの期間と定義

* カイロプラクティスケア利用1-6回の患者:回復までの中央値 375 日
* GPと専門医受診した患者P:405 日
* 家庭医受診6回以下+カイロプラクティスへ移った患者: 516 日
* 家庭医受診2回以上の患者: 517 日
* 家庭医受診回数を問わず、カイロプラクティスケア併用患者:689 

むち打ちの予後は、ケアの種類や強度により影響されるという仮説を支持している。
医療に過度に依存する“passive coping strategy"が、むち打ちのいわゆるdisabilityを強化してしまう事となるのであるという考え方も発生する。
逆に、最小限のケアが急激な回復を促すのだという考えも出てくるだろうと説明もできる。



むちうち≠ 低髄液圧症候群(脳脊髄液減少症)と思うのだが・・(2005年 05月 17日)

“passive coping strategy"としてブラッドパッチが働いた可能性はないのだろうか?
マスコミがこのブラッドパッチを過大宣伝してしまい、結局、患者の回復を遅らせていることにはならないのだろうか?

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by internalmedicine | 2007-05-29 13:54 | 運動系  

マルチビタミンと前立腺癌リスク

マルチ・ビタミンやサプリメントを売りたいためのアンチ・エイジング?
あるいは、アンチ・エイジングで処方できるものがマルチ・ビタミンとサプリメントくらいしかないからアンチ・エイジングという横文字を多用?・・・まっとうな運動指導食事指導した方が遙かにエビデンスがあると思うのだが・・・なにかを処方したり、買わせないと商売にならないし、ありがたみも与えられないと思っているよう・・・?


Multivitamin Use and Risk of Prostate Cancer in the National Institutes of Health–AARP Diet and Health Study
Journal of the National Cancer Institute Volume 99, Number 10 Pp. 754-764

* マルチビタミン使用と総前立腺癌リスクに関連無し (相対リスク:RRk 1.06, 95% CI 0.97 ~ 1.17).

* マルチビタミンと前立腺癌限局病変相関無し (RR 1.02, 95% CI 0.92 ~ 1.14).

* 前立腺進行癌のリスク増加 (RR 1.32, 95% CI 1.04 ~ 1.67).

* 総前立腺癌リスク増加 (RR 1.98, 95% CI 1.07 ~ 3.66).

* 前立腺進行眼の頻度増加 (143.8 versus 113.4 対10万人年).

* 致命的前立腺癌の発生頻度増加 (18.9 versus 11.4 対10万人年).




<参考>
NIHコンセンサスステートメント: マルチビタミン・ミネラルサプリメント(MVM)
現行のMVM使用は慢性疾患予防に関して推奨するに科学的エビデンスが足りない


マルチビタミン・ミネラルサプリメントに関する否定的見解相次ぐ!

抗酸化サプリメントは寿命を短くする

<NIH-AARP Diet and Health Study>
http://dietandhealth.cancer.gov/

by internalmedicine | 2007-05-29 09:51 | Quack